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髑髏天使

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第三十六話 日常その十三


「何だって美味しいけれどね」
「それは確かだけれど叔母さんはコーヒーが一番上手なのよ」
 若奈はカウンターに座った。牧村もその横に座った。そうしての話になっていた。
「それにお菓子もね」
「そうなのか」
「叔父さんも上手なのよ」
 今はいないその叔父の話もするのだった。
「叔父さんはどちらかというと紅茶なの」
「紅茶か」
「そうよ、紅茶よ」
 また話す若奈だった。
「叔父さんはね」
「お菓子か」
「ええ、叔父さんお菓子も得意なのよ」
 つまりどちらもそれはいけるというのである。
「ただ。叔父さんのお菓子はね」
「ケーキか?」
「ケーキよりアイスクリームの方が得意なの」
「アイスクリームか」
「あっ、そういえば」
 若奈は牧村の話を聞いてだった。そうしてそのうえで言うのであった。
「牧村君ってアイスクリームも好きだったわよね」
「好きだ」
「やっぱりね。牧村君って甘いもの好きだし」
 それはよくわかる若奈だった。
「それもかなりだからね」
「そういえばアイスクリームでだ」
「何?」
「最近は豆腐のアイスクリームもあったな」
 このアイスクリームの話を出したのだ。
「そうだったな」
「ええ、最近あるわね」
 若奈も彼の言葉に頷いた。
「豆乳で作るのよね」
「そうだったのか」
「実は今新しいお菓子考えてるのよ」
 若奈の目の色が少し変わった。考えるものになった。
「お父さんもお母さんもね」
「その中にか」
「そうなの、豆乳を使ったお菓子も考えの中にあって」
「美味いのか、それで」
「美味しいわよ」
 叔母がここで二人に対して言ってきた。
「もうかなりね」
「えっ、叔母さん知ってるの」
「勿論知ってるよ」
 笑顔で二人に答えてきた。
「だってうちにもあるしね」
「えっ、それ本当!?」
 それを聞いてであった。若奈は思わず声をあげたのである。
「このお店って・・・・・・あっ」
「あるわね」
「ええ、確かに」
 若奈は今メニューを開いていた。実際にはっきりと載っていた。
「あるわね」
「そうでしょ。美味しいわよ」
「ううん、けれどもう頼んだし」
 さくらんぼのケーキだ。それを変更するつもりはなかったのだ。
「それじゃあどうしようかしら」
「追加メニュー頼む?」
「それもいいけれど」
 難しい顔で答える若奈だった。
「ただ」
「ただ?」
「最近ちょっと食べ過ぎて」
 若奈は顔だけでなくその声もそうさせていた。
「それでね」
「太るの気にしてるの」
「そうなの」 
 ここで今度は困った顔になる若奈だった。
「実はね」
「ああ、それね」
「甘いものってそれがね」
 太る、それであった。
「それが気になって」
「それじゃあまた明日ね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 若奈は叔母の提案に苦笑いと共に頷いた。 
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