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髑髏天使

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第三十四話 祖父その十三


「ひ、ひいいいいいっ!」
 彼はそのままひっくり返ってしまった。これで三人共倒れてしまった。牧村は本当に何もすることなくだ。三人を倒してしまったのである。
「この通りだ」
「な、何て野郎だ」
「御前何やねん」
「何やっちゅうねん」
「人間だ」
 三人に返す言葉はこれだけだった。
「ただの人間だ。それだけだ」
「人間!?」
「嘘つけ、何処が人間だ」
「化け物やろが」
 だがゴロツキ達は何とか起き上がりながら。こう彼に言うのだった。
「この化け物が」
「何ちゅう強さやねん」
「そんだけ強くて人間なんかい」
「強さで言うのか」
 牧村はその彼等の言葉を受けてまた述べた。
「成程な」
「!?何や」
「何やこいつ」
「何もない」
 彼等にはこれといって言おうとしない。
「ではな」
「何処行くねん」
「御前何やってんや」
「だから人間だ。それよりもだ」
 その彼等に対する言葉だ。
「言ったぞ、相手は」
「んっ!?しもた」
「あの連中何処行ってん」
「逃げられたんかい」
「手が空けば当然のことだ」
 牧村はまた彼等に告げた。
「それに気付かなかったか」
「忘れてたんや」
「気付かなかったんちゃうわ」
「同じよ、それじゃあ」
 未久は呆れた声で突っ込みを入れた。
「それだと」
「ちっ、こうなったらだ」
「もうここにいても仕方がねえ」
 三人はいらだった顔で言ってきた。
「覚えてるんやな」
「今度会ったらな」
「忘れているから安心しろ」
 牧村は彼等の言葉を聞いてこう返した。
「御前等のことはだ」
「ちっ、くそっ」
「ふざけた奴だ」
 こんな捨て台詞を残して消える彼等だった。一人残った牧村のところに未久が来た。そうしてそのうえで兄に対して声をかけてきたのだった。
「あっさり終わったのね」
「どうということはない」
 こう返す牧村だった。
「所詮はな」
「所詮はなの」
「そうだ。ただの人間だ」
 牧村が言った言葉はこれだった。
「ただのな」
「ただのなのね」
「そうだ。しかも何もしていない人間だ」
「だからどうでもいいのね」
「そうだ。では帰るか」
「うん、それにしても」
 ここで未久はまた兄に言ってきた。
「お兄ちゃんって何か」
「どうした」
「かなり強くなったのね」
 言うのはこのことだった。 
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