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髑髏天使

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第三十四話 祖父その七


「それもかなりな」
「大阪?大好きよ」
 実際にその賑やかな街を見回しながら言うのだった。
「もうかなりね」
「そんなに好きなのか」
「だって楽しいじゃない」
 こうも言ってきた。
「それもかなりね」
「確かに楽しい街だ」
 左右には様々な店が並んでいる。食い倒れの人形や蟹、それに河豚、エイリアンにあとは金龍ラーメンといったものが立ち並んでいる。まさに大阪である。
 牧村もこの街は好きだ。ここでまた言うのだった。
「神戸とはまた違ってな」
「神戸って奇麗だけれどこうした賑やかさには欠けるから」
「この大阪の賑やかさは独特だな」
「そうよね、だからいいのよ」
「全くだ。しかし」
「しかし?」
「御前はまたかなりだな」
 こう妹に言うのである。
「大阪が本当に好きだな」
「食べ物も美味しいし」
 さらにこれであった。
「神戸のよりもまだ美味しいわよね」
「そうだな。美味い」
「そうそう。それに何処に行くの?」
「何処にか」
 ここでまた言う牧村だった。
「一つでは済まないな」
「それはね。食べても食べてもお腹が空くのよ」
 未久は笑いながら話す。
「もうね。幾らでもね」
「では店の一つでは足りないな」
「お金はお爺ちゃんから貰ってるわよね」
「一人五千だ」
「それだけあれば充分食べられるわね」
 そうだと話す未久だった。
「もうかなりね」
「ではまずはカレーにするか」
「カレー?」
「自由軒のカレーがいいな」
 それだというのだ。
「それか金龍ラーメンもだな」
「他には?」
「たこ焼きにお好み焼きもだな」
 そうしたものも挙げていく。
「後は何がいいかだな」
「とりあえず最初は?」
「場所が近い。まずはラーメンだ」
 それにするというのだ。金龍ラーメンが丁度右手に見えた。それを見てなのだった。
「それを食べるか」
「カレーはそれから?」
「たこ焼きにお好み焼きか」
 その二つが先だというのだ。
「自由軒に行くのはそれからだな」
「わかったわ。じゃあそうしましょう」
「そして最後は」
 牧村の言葉はさらに続いていた。
「デザートだが」
「何がいいかしら」
「善哉だな」
 それだというのだ。
「それでいいな」
「夫婦善哉かしら」
「それだ。それでいいな」
「うん。ただ」
 ここでふと言ってきた未久だった。
「夫婦善哉よね」
「それがどうかしたのか」
「してるわよ。私もあの小説読んだのよ」
 こう言ってきたのだ。
「織田作之助のあの小説ね」
「小説も読むのか」
「読むわよ。これでも文学少女なのよ」
 意外な事実がここで一つわかった。 
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