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髑髏天使

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第三十四話 祖父その四


「ああした場所は止めておけ」
「危ないのね」
「かなりな」
 だからだというのだ。兄らしい言葉であった。
「だからだ。一人では行くな」
「わかったわ。じゃあ二人でね」
「そうだ。二人で行け」
「お婆ちゃんと一緒に行こうかしら」
 そして言う言葉はこれであった。
「こうなったら」
「そうだな。それがいい」
「お婆ちゃんとだといいのね」
「お婆ちゃんも強い」
 牧村は不意にこんなことを言った。
「だからいい」
「強いからいいの」
「そうだ。少なくとも御前を護ってくれる」
 それが理由であった。
「だからいい」
「まあ私だってね」
「御前も?」
「バネはあるわよ」
 まずはそれを話す未久だった。
「それに脚力もね」
「体操だからか」
「そうよ。体操って身体全体を使うから」
 それをしていればというのである。未久にしても鍛えているのだ。
「当然身体の柔らかさもね」
「それが一番凄いな」
「そうよ。凄いのよ」
 まさにそうだと話すのだった。
「喧嘩は嫌いだけれどね」
「喧嘩になれば。いや」
「いや?」
「悪い男が来ればだ」
 その場合を話すのである。用心としてだ。
「その場合はいい方法がある」
「どうすればいいの?」
「潰せ」
 まずは一言だった。
「急所を衝け。いいな」
「随分物騒な言い方ね」
 未久も兄の言葉に少し辟易した様子で返した。
「急所をって」
「別に金的だけではない」
 当然そこが第一だというのだ。
「みぞおちにしても眉間にしてもだ」
「多い、そんなに」
「他にも目と目の間、口と鼻の間」
 その急所を次々と話していく。人間の身体の急所は中央に集まっている。なお中央にはあのクンダリーニのチャクラも集まっている。
「そして喉や脳天もだ」
「そういうところを攻めればいいの」
「そうだ。怯むことなくそうしたところを潰せ。いいな」
「大勢だったらどうするの?」
「一人をそれで潰せば大したことのない奴等なら逃げる」
「逃げるの」
「そうでない場合はだ」
 その場合もしっかり話すのだった。
「逃げろ」
「逃げるの」
「危険が及ぶ前に逃げるのもまた手だ」
 そうだというのである。
「その為にも足は速くしておくことだ」
「それと体力ね」
「そういうことだ。人間相手はとにかく急所を狙う」
 とにかく物騒な話が続く。
「一番いいのは目を潰すことだ」
「何かさっきから物騒な話ばかりしてない?」
 流石に未久もいい加減言うのだった。
「目とかって。殆ど殺人拳じゃない」
「そうだ。殺すつもりでないと駄目だ」
「駄目なの」
「その辺りのチンピラなら殺してもどうということはない」
 やはり物騒な言葉だった。
「だからだ。いいな」
「一応話は聞いたけれど」
 それはだといってもであった。 
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