髑髏天使
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第三十三話 闘争その十二
「そいつ多分生徒を暴力で萎縮させたり恐がらせてそれで威圧して支配していたんだよね」
「その通りだ」
牧村もそうだというのだ。
「それはな」
「やっぱりね。それで悦に入ってるんだよね」
「傲慢な歩き方で学校中を練り歩き常に威張り散らしていた」
「だろうね。聞くまでもなかったよ」
「そうだよね」
他の妖怪達もそれに頷く。
「そういう奴だから暴力振るうんだね」
「そういうことだね」
「生徒を支配して常に有頂天にあった」
つまりそれで自分が偉い、権力を持ったと思っていたのだ。こうした人間が存在できる世界というのは学校の教師の世界以外には存在しない。
「その証拠にだ」
「砂場でガッツポーズしながらジャンプでもしてたの?」
「それもちょっと跳んだだけで」
「よくわかったな」
何とその通りだった。
「そうしていた」
「馬鹿だね」
「本当にいい人って教師にならないんだね」
「全くだね」
妖怪達の言葉は呆れ果てたものになっていた。
「普通の社会じゃ絶対に通用しない人間だけれど」
「そんなのが普通に存在しているのが学校の教師なんだ」
「教育がおかしくなる筈だよ」
「全く」
まさにそうだというのだった。
「そんな人間がいるんじゃね」
「それもお咎めなし」
「普通に腐ってるね」
「腐ってるなんてものじゃないんじゃ」
「今も学校に存在している」
また言う牧村だった。
「実際にだ」
「まだいるんだ」
「余計に凄いけれど」
「腐敗の極みだね」
妖怪達はまた呆れてしまった。呆れざるを得ないことだった。
「けれど牧村さんってそんな人間みたいにならないようにしてるんだね」
「それじゃあ」
「よかったんじゃない?」
「よかったのか」
牧村は妖怪達のその話を聞いてその鋭い目を向けた。
「それもまた」
「牧村さんは少なくとも暴力は嫌っている」
「そしてそんな最低最悪な人間にはなるまいと思っている」
「じゃあよかったじゃない」
「人には最低限守らなくてはならない事柄がある」
牧村はこうも言った。
「何があってもだ」
「さもないとその教師みたいになる」
「そういうことだね」
「教師は権力者だ」
牧村はまたある事実を述べた。
「生徒に影響を及ぼし力を行使できる権力者だ」
「そして権力を握るべきでない人間がなったら」
「そういうふうになるんだね」
「そういうことになる。教師は本来人を選ぶべきなのだ」
我が国で最も為されていないことの一つである。教師の中に占める人格障害者の割合は異常に高いのではないかとさえ思えるのが今の我が国だ。
「しかしだ」
「そうはならずに」
「実際は」
「そんな人間もいる。しかし俺は確かにああした人間にはなるまいと誓った」
「そうそう、それそれ」
「それなんだよね」
妖怪達は今の彼の言葉を一斉に指摘してきた。
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