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SAO─戦士達の物語

作者:鳩麦
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SAO編
  二十九話 輝眼の悪魔と双刀の黒衣

「ぬぅ…………」
 リョウは唸った。
久々に、こういう時の自分の不便さに気が付いてしまったのである。

「敏捷値低いって不便だな……」
 今更なのだが、リョウは極端に敏捷値が低い。
当然、どう頑張ってもスピード型の剣士であるアスナはおろか、それなりにしっかりと敏捷値を上げているキリト、同じくクライン及び、その限りでは無いはずの[風林火山]のメンバー達にまで、足の速さでは圧倒的に劣る。
 というのは、リョウの(というかSAOの)戦闘領域はあくまでも近・中距離に限られるのであり、本来ならば長距離のダッシュというのは最悪の場合、すなわち逃走する場合のみしか使用しないからだ。

 プレイヤーが元々として敏捷値に求めるのはあくまでも攻撃や、咄嗟の反応の速さ、間合いを詰めるスピードで有り、疾走。即ち継続的な速さというのをリョウは余りにも軽んじていた。
その結果が……これである。

「くっそ、やっぱ早すぎるぞあいつ等……」
 現在、一人。
様子を見に行く提案をした本人にもかかわらず、一人。
足の速さにより、他のメンバーに追いつけず、自分から言い出しておいて置いて行かれて、一人。

「えっほ、えっほ」
 キリト達と別れて、既に十分。此処に来るまで、キリト達も軍の連中に追いついていないのか誰にも追いついていないが……
しかしこの状況では、今この時だけ、筋力値を全て敏捷値に変えられやしないかなぁ?なんて、ありもしない事を思ってしまうも仕方ないというものだろう。

「はぁ……」
 この先の道のりもあり、タメ息をついてしまった。と。
メッセージの新着音が耳のなかで涼しげな音を立ててに鳴り響く。

「ん?……っ!?」

From Clain
Main 急げ

 読んだ瞬間、リョウは跳躍した。
跳躍移動で長距離を移動するのは結構な集中力が必要であり、精神的にも疲れるのだが、そんな事を言ってもいられないらしい。
本当なら「奥の手」を使いたいのだが、今は待機期間だ。
と言うか……

『これはいざって時のための最終手段なんだからな!?』

 義弟に言われたあの言葉の意味を、体感しないと覚えないとか自分は馬鹿かと、リョウは自身を叱責するしかない。
とにかく、今は急ぐ。

『くそっ……!』

────

──有り得ない。

 軍の攻略部隊隊長だった男。
コ―バッツの最後の言葉は、無言のそれだった。

 言葉の通り、彼は最後の最後まで、自分の身に起こった事や事態を受け入れられていなかったのだろう。
そう言った次の瞬間、彼は一瞬で自身の身体をポリゴンの欠片として四散させた。
あまりのあっけなさに、隣に居たアスナが小さく悲鳴を上げる。

 余りに無謀。
そしてボスへの対処の仕方を知らない無知。
この二つが重なり、既に敗北寸前だった軍の部隊にとって、曲りなりにも指揮官たるコ―バッツの死亡は見事に最後のとどめとなった。

 戦線は瓦解し、軍の人間達は逃げ惑う。
この時点で、既にこの部隊は撤退すべきなのだが、走って逃げようとすれば間違いなく中央に居るボスモンスター《The Gleameyes》の餌食だし、性質の悪い事にこの部屋はボス部屋には珍しい《結晶無効化空間》(回復、解毒、転移等の、全ての結晶アイテムを無効化するプレイヤーにとって最も注意すべき空間トラップ)であったため、それすらもままならない。

 既に軍の全員がHPバーを半分を切っている中、キリトは必死に事態を収拾する方法を脳内で模索する。が、

「だめ……だめよ……もう……」
 喉の奥から思わず出て来た様と言った風なアスナの言葉に、キリトは意識を現実に引き戻され、咄嗟に彼女の腕を掴もうとした……しかし、一歩遅かった。

「だめ──────ッ!!」
 手が届くギリギリの所で、アスナは一気にグリームアイズに向かって駆け出す。

「アスナッ!」
「ええぃ……どうとでもなりやがれ!!」
 こうなってしまっては最早仕方が無い。
キリトも抜剣しながらアスナの後を追い、続いてクライン達も「オォォーーーーーー!!」と言うときの声と共に部屋の中へと突っ込む。

 キリト達の戦闘開始の初撃。
 アスナの捨て身とも言える突進攻撃は、此方とは逆方向を見ていたグリームアイズの背を捉えたが、体長三メートルを超えるであろう巨大な蒼い悪魔に対し、一撃の攻撃力を特化させたタイプでは無いアスナの攻撃は蚊が刺した程度なのだろう。
ろくにHPバーは減らず、むしろ悪魔の注意をこちらに引き付けただけの一撃になってしまう。

 自身を傷つけんとする愚かな乱入者に対し、部屋の主たる巨体の悪魔は怒りの声と共に向き直り、凄まじいスピードで斬馬刀の様な巨剣を振り下ろす。
それを何とかステップで横に回避したアスナはしかし、避けきる事は出来ずに余波によって地面に倒れ込む。
彼女の目の前にいる悪魔がその隙を逃そうはずも無い。
グリームアイズはもう一度振り上げた斬馬刀を情けも容赦も無く振り下し──

「アスナ────ッ!!」
 そこにギリギリのタイミングでキリトが飛び込み、手に持った愛剣《エリュシデータ》によって何とか攻撃軌道を逸らした。

「下がれ!!」
 後ろのアスナ達に向かって怒鳴りつつ、キリトは追撃に備えて剣を構え直す。
振われる悪魔の剣はその一撃一撃全てが圧倒的な威力を孕んでおり、反撃どころか距離を取る事すら難しい。

 人型でなおかつ武器を持つモンスターは原則として、プレイヤーと同じく剣技《ソードスキル》を使う事が出来る。
グリームアイズもその例に漏れず、両手大剣技を打ち出してくる。それ自体は良い。
しかし、プレイヤーの物とは微妙に違いがシステムによって付け加えられており、先読みする事も難しい。

 武器防御《パリィ》、ステップ、自身の知る限りのあらゆる手段持ってキリトは防御に徹するが、その凄まじい威力を持った斬撃の嵐は、キリトの身体を掠める度、確実に彼のHPを削って行く。

「くぅっ!?」
 捌ききる事が出来なかった一撃が、ついにキリトの身体を捉え、そのHPバーを大きく減少させる。
アスナが悲鳴じみた声でキリトの名を呼ぶが、それすらもキリトの耳には届いていない。

 今、此処には囮となってボスの攻撃に耐える役である壁戦士《タンク》が一人も居ない。
現時点で状況を打開するには、最早キリトには攻撃特化仕様《ダメージディーラー》たる彼の切り札を使う以外に方法が無かった。
それには本来、色々と不都合が伴うのだが……今はそんな事を言っている場合では無い。
ただ、それには少々メニューウィンドウを操作する時間がいる。
その時間稼ぎを、同じくタンクでは無いアスナとクラインに任せるのは非常に不安が残るが、今最も此処に居てほしかった人物は此処には居ないため仕方ない。
キリトは後ろの二人に向かって叫ぶ。

「アスナ!クライン!十秒もちこたえて「十秒で良いのか!?少年!」……ふぅ」
 その声を聞いた瞬間、まだ何も解決していないにもかかわらず安堵の息を漏らしている自分がいる事に、キリトは内心苦笑した。

「遅いんだよ!クソ兄貴!」

────

「十秒で良いのか?少年!」
 そう叫びながら、俺はキリトに向かって斬馬刀っぽい巨大剣をふるっていた頭が羊の巨体の顔面に白いライトエフェクトを纏った跳び蹴りをブチ込む。
足技 重単発技 流星脚《りゅうせいきゃく》

「グオオオ!?」
 顔面に蹴りを喰らった悪魔は大きくのけ反る。
着地点はキリトと悪魔の丁度間、地面に足を突いた瞬間に後ろから義弟の怒鳴り声を喰らった。

「遅いんだよ!クソ兄貴!」
「なっ!?しょうがねぇだろ!!お前等じゃねぇんだから!──で!?十秒ってのは?」
「あぁ、「あれ」使う!もうちょい延長で時間稼ぎ頼む!」
「脱出は!?」
 一応跳んだ時、上から見て状況は察した。この状況では脱出して時間を稼ぐのが最も好ましいはずだが……

「結晶が使えない!時間がかかり過ぎる!」
「っ!心得た!」
 まさかボス部屋が《結晶無効化空間》になっているとは誤算だった。
そうなると、此奴を倒しにかかったほうが良い。素早い転移での脱出が不可能な以上、最後に残る殿の脱出が危険すぎるし、徒歩で脱出するにしても、中央で大戦闘をしていてはそれも難しいからだ。

 そこまで話した所で、悪魔が再び立ち直り、咆哮した。

「グオオオオオオオ!!」
「っち、なるべく早くな」
「分かってる、頼んだ!」
「任せろ!」
 その会話を最後に、キリトは後ろへと下がった。
俺の眼前には三メートルを超す巨躯を持った蒼い悪魔が眼をらんらんと輝かせ、此方に向かってくる。
正直凄まじい威圧感だが……まぁ何とかなるだろ。

「グオオオオオオオ!!」
「むん!」
 床を削るがごとく、下からすくい上げるように振われた大剣を、冷裂を横にして防ぐついでにバックステップで威力も逃がす。慣れていない事をしたが、何度か見た技術ゆえか何とかうまくいった。これを見せてくれた連中には感謝だ。
 しかしこのくらいの威力なら……

「ガァアァァァァァァ!!」
「おっ……羅ァ!!」
 大上段から振り下ろされた斬馬刀を、今度は振り上げるように振った冷裂によって真正面から受け止める。
金属同士がぶつかり合う凄まじい音と共に、俺とグリームアイズ双方の武器が止まり、鍔迫り合いの様になる。

「グルルルルル……」
「うおぉぉぉぉ……」
 たがいに唸り合い、相手の武器を押しこもうと武器に力を掛け続ける。
本来ならば、上から切り下ろす力であるはずのグリームアイズの方が勝るはずなのだがしかし、冷裂は、徐々に悪魔の持つ斬馬刀を押し返し始めた。

 ダッシュで遅れた分、無駄に筋力値を上げていた訳ではないと言う事を……教えてやる!!

「うっ……オォォォォォォォ!!」
「ガァ!?」
 瞬間、筋力値を最大にして冷裂を押しこんだ俺は、悪魔の持つ斬馬刀を大きくはじいた。
グリームアイズは剣を持ったま万歳するような体制を余儀なくされ、大きな隙となる。

「割れろ、山羊頭ァ!」
 振り上げた勢いのまま、俺が先程の此奴のように大上段で構えた冷裂の刃が、赤黒い光を帯びる。

「破ァァァァァ!!」
薙刀 重単発技 剛断《ごうだん》

 振り下ろされた一撃は、グリームアイズの左肩に命中し……その腕と胴体を、分離させた。


「ギャアアアアアアァァァァァァァ!!?」
 悪魔の頭上のHPバーがガクンと眼に見えて減少し、HPバー表示の下に《部位欠損アイコン》が表示される。

「っしゃあ!」
 見たか!と言った風に、俺は硬直時間中に内心ガッツポーズ。
そしてその横を、黒い風が通り抜ける。どうやら十秒以上経ったらしい。
走るキリトの手には何時もの黒剣。そして背には、もう一本。リズの作った純白の剣《ダークリパルサー》が背負われてる。

 片腕を俺に持って行かれた悪魔は、それに対応する事も出来ずに懐への侵入を許し……先程まで防御させ続けられたお返しをするかのように、キリトのラッシュが開始された。

「うおおおああああ!!」
 二本の剣がすさまじいスピードで上下左右に動き、悪魔を切り刻む。
本来あり得ないし、出来たとしてもろくに使えないとされた、二本の剣を同時に操る技術。

エキストラスキル《二刀流》

それが、キリトの切り札の名である。


 足元で二本の刃を振り回すキリトに対し、グリームアイズは残った右腕で斬馬刀を持ち、抵抗する様にそれを振るうが、片腕を俺が切り飛ばしたため奴のメインスキルである両手大剣技を発動させる事が出来ず、脅威が半減している。
状況だけを見れば、攻撃するという点でキリトにとってはこれ以上ないチャンスと言えよう。
 だが、だからと言ってグリームアイズの筋力値が消えてなくなった訳ではない。
悪魔は片手でも軽々と斬馬刀を振り回し、その度にキリトのHPは確実に削られていく。
しかしアドレナリンが過剰分泌されているのか、それすらもキリトは意に介することなく二刀流のソードスキルを繰り出し続けて行く。
ある意味で、狂気すら感じさせる姿だ。

「キリト君……」
「キリトぉ……」
 アスナとクラインが、不安げな声を出す。
その横で俺は何をしていたかと言うと……凄まじい速さで動くキリトの剣を眼で追い続けていた。

『11、12……13、14、15……』

 繰り出され続ける連撃。
みるみるうちに、悪魔とキリトのHPが減って行く。そして……

「…………ぁぁぁああああ!!」
『16!』
 キリトが喉よ裂けよとばかりに咆哮しながら放った十六発目の突きが、悪魔の胸に吸い込まれるように直撃した瞬間。
まるでその存在がまるで幻だったかのように、蒼い悪魔は断末魔の叫びを残して四散した。

 と同時に、キリトは糸が切れた操り人形のように床にうつ伏せで倒れこむ。

『《スターバースト・ストリーム》……』
 キリトから聞いていた特徴から、あいつの使った技を推測する。

『一発じゃ慣れねぇとはな……』
 あのスピードは異常だった。
いや、スピードに関してのみ言うならば、アスナの方がキリトよりも勝っているだろう。
しかし、それをおいてもなお、あのスピードであの連撃を繰り出し続ける姿には、正に別次元ととも言うべき強さが垣間見えた。
俺の物とはまた違う、圧倒的な攻撃力。

『こーりゃあいつにも届くんじゃねぇのか……?』
 アスナ達が名を呼びながらキリトに駆け寄る姿を見ながら、俺はそんな事を考えていた。

────

 気絶したキリトが目を覚まし、アスナに叱責されたり、クラインから被害の報告を受けたりしている。

 結果として、第七十四階層フロアボス。輝く目こと、《The Gleameyes》討伐戦は、軍の無謀な突撃に救援を行った少数の攻略組プレイヤーによるギリギリの勝利と言う、少々奇妙な形で終わりを告げた。

 被害としては、軍の精鋭部隊から、コ―バッツ中佐を含む三名が死亡。
幸いなことに、俺達攻略組の人間に死者は出なかったが、《一人の死者も出さない》と言う事を目標に攻略を進めているSAOの攻略としては辛勝と言えるだろう。

 そんな事を思っている内、どうやら話は進んでいたらしい。
クラインが、キリトに切り札について興奮気味に詰め寄っている。

 エクストラスキル 《二刀流》
 本来、SAO世界には存在しないとされてきた二つの剣を同時に扱う技術。
二刀流の能力をスキル化したものらしい。
専用に、異常な攻撃回数を持つソードスキルが設定されており、俺の知る限り最も攻撃能力に特化した武器スキルと言えるだろう。

 ちなみに、《エクストラスキル》と言うのは、そのスキルの出現する条件が、まだはっきりとは確定されていない武器スキルの事だ。
身近な物としては、クラインの使う《カタナ》のスキルや、もっと分かりやすい所では俺の《薙刀》もそれに含まれる。
 まぁ、《カタナ》については曲刀の武器スキルを使いまくっていれば出る場合が多いし、俺の《薙刀》に至って言えば、「両手槍系ソードスキルの中で、槍その物を薙いだり、はらう等するスキルを多様すれば出る」と言うのが、最早定説となっている。
ちなみに、どちらのスキルも持ってる奴は少なくとも十人以上居るはずだ。

 が、キリトの二刀流及びコーブの団長の持つとあるスキルに関しては、まったく別。
この二つのスキルは、どちらのスキルも習得者が一人しかいない、言うなれば《ユニークスキル》
超が付くほどの、レアスキルなのである。

 そんな訳なので、キリトは今日まで、自身の中のこのスキルの存在を、ひた隠しに隠して来た。(俺に関しては、キリトのスキル及びステータスを見る事が出来たため、隠しようが無かったのだが)
何しろ、ゲームマニアの集まるSAOである。
 もともとMMORPGに有る、「リソースの奪い合い」と言う特徴もあって、原則的にネットゲームをプレイする者たちは他人の利益及び優位性等に、とても敏感に反応する。
様は、妬み嫉みが多い。

 《二刀流》なんて言う一人しか持っていないなんてスキルも持っていれば、周囲の反応はさぞかし大仰な物になるだろう。
目立つ事があまり好きではないキリトは、それを恐れた訳である。
 ちなみに、本人も気づいているだろうが今のキリトにはもう一つ、妬み嫉みを受ける理由がある。
今も胸に泣き付かれてるし……どういう事かは言うまでも無い。

 その後、クラインは軍の連中に今回の報告をするよう指示し、75層の転移門を開放《アクティベート》するといって、上層へと続く階段を上って行った。

『キリトよ、おめぇがよ、軍の連中を助けに飛び込んで行った時な……おれぁ……なんつうか、嬉しかったよ。そんだけだ、』
 最後に、友人思いのあいつらしい言葉を残して。

────

「ふぅ……んじゃまぁ、俺も帰るわ。流石にいきなりボス戦とか、きっつ」
「あぁ……兄貴もありがとな。腕無くなって無かったら、正直危なかった」
 背中に、キリトの声が投げかけられる。

 幾分か真剣味を帯びたその声に対し、おれは何時ものように笑って、転移結晶を取り出しながら首だけ振り向いてキリトに言った。

「まぁ、遅刻した料金みたいなもんだあれは。……それよか、早くそれを何とかしてやんな」
 う……と言って黙ったキリトに、俺は再びニヤリと笑って……

「転移!コラル!」
 その後は何も言わずに、二人の前から姿を消した。

────

 その晩。
もう何度目かも分からないが、再び、俺の寝室にて新着のメッセージが届いた事を知らせるチャイムが鳴る。

「ん、」
 メッセージには、字には感情は表れない。
しかし、その文字の羅列から、俺は容易にキリトの迷いやある意味での苦悩を感じ取ることが出来た。

From Kirito
Main 俺は、また求めてもいいのかな?

「…………」

To Kirito
Main お前のしたい事が答えだ。
 
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