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髑髏天使

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第三十一話 赤眼その二十一


「存分にな」
「お任せ下さい」
 そして魔物もまたロッカーに顔を向けて述べてきた。
「その任は私が」
「頼んだぜ。それと御前もな」
「はい、私もですね」
「楽しめよ」
 こう彼にも言うのだった。
「それはいいな」
「有り難き御言葉。それでは」
 魔神のその言葉を受けてであった。魔物も応える。
「今から」
「さて、話は終わったな」
 ロッカーはここで姿をゆっくりと消してきた。
「それじゃあな」
「やがてだ」
 死神はそのロッカーの消え行く姿に声をかけた。
「貴様も倒す」
「へへへ、相変わらずの威勢だね」
「威勢ではない」
 それは否定するのだった。
「これからのことだ」
「未来ってわけか」
「そうだ、貴様達全員刈る」
 そうすると強い言葉で言うのだった。
「それは覚えておくことだ」
「オッケー、わかったぜ」
 ロッカーは楽しげな笑顔で彼のその言葉に応えてみせた。
「それじゃあな」
「そういうことだ。覚えておくことだ」
「ああ、それじゃあな」
 こうしたやり取りのうえで別れる両者だった。そうしてであった。
 死神はあらためて魔物と向かい合った。そのイルとである。
「さて」
「わしと戦うことになったな」
「そうだ。既に心構えはできているな」
「無論」
 これが彼の返事だった。
「そのことについては安心するのだ」
「そうか。それならだ」
「来るのか?」
「その命刈らせてもらう」
 大鎌を両手に持っての言葉だった。その鎌が銀色に鋭く輝く。
「いいな」
「刈れるものならだ」
「その言葉確かに受けた」
 両者の間にさらに緊張が走った。そうして。
 死神は空中を駆った。足を動かさずそのまま滑ったのだ。
 そのうえでだ。魔物に襲い掛かろうとする。
 だが魔物も動いてきた。その翼を動かし飛翔して来たのだ。
 驚くべき速さだった。それで襲い掛かって来たのだ。
「来たか」
「思ったよりも動きがいいな」
「私のこの動きがか」
「翼がないというのにだ」
 死神には翼はない。それは見ればわかることだった。
「しかしそれでもだな」
「私には翼は不要だ」
 これが死神の返答だった。
「翼がなくともだ」
「自然に動けるというのだな」
「その通りだ。空を駆ることができる」
 言いながらその両手に持っている大鎌を投げた。それは激しく回転しながら魔物に襲い掛かる。 
 だが魔物は左に動いてだ。その鎌をかわしたのだった。
「かわしたか」
「生憎だったな」 
 魔物はにこりともせず彼に告げてきた。
「いい攻撃だがわしに通じるものではない」
「この程度では、というのか」
「この程度とは言わない」
 それは違うというのである。 
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