髑髏天使
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第三十話 智天その十六
「それでは」
「倒すか」
「無論です」
今度はおどけた動作であった。
「闘うからにはです」
「ならばそうするまでだ」
牧村は魔物に言葉をまたしても返した。
「俺もまた」
「闘いとは最高のショーです」
またしても道化師らしい言葉を出してきた。
「それではウェンディゴ様」
「うむ」
魔神も彼の言葉に応える。
「楽しむがいい。そのショーをだ」
「観客がいないのが残念ですが」
「それは安心しろ」
「左様ですか」
「我々が見ている」
だからだというのである。
「見ている。だから安心するのだ」
「有り難き御言葉。それでは」
「楽しませてもらう」
また魔物に対して告げた言葉であった。
「ではな」
「はい、これで」
「それではだ」
男は今度は小男に顔を向けてその声をかけた。
「我々は去るとしよう」
「はい、それでは」
小男はもう姿を消している。声だけが返ってきた。
「我々の場所で見ることにしましょう」
「そうする。それではだ」
「ええ、では」
「髑髏天使よ」
あらためて彼にも言う。
「この闘いも見せてもらうぞ」
「一つ言っておく」
その魔神に対して彼も言葉を返してきた。
「いいか」
「何だ、その言葉は」
「俺の闘いは見せるものではない」
そうだというのである。
「生きる為の闘いだ」
「生きる為か」
「生きて人としての人生を送る」
まずはこう言うのであった。
「その為の闘いだ。そして」
「そして?」
「倒す為の闘いだ」
そうでもあると。言うのであった。
「魔物を倒す為の闘いだ」
「それは生きる為ではないのか」
「生きる為でもある」
二つの理由は混ざり合い一つになっているということであった。
「しかしだ。貴様等を倒すことはだ」
「髑髏天使の勤めだというのだな」
「だからだ。貴様等を倒す」
そうするというのである。
「必ずだ。髑髏天使として貴様等を倒す」
「そうか。それではそうするといい」
「いずれ貴様等も倒す」
魔神達への宣戦もする。
「それも覚えておくことだ」
「今は座天使だったか」
男は今の彼の言葉に思い出したように述べた。
「そうだったな」
「それがどうかしたのか」
「間も無くか」
こう言ってきたのである。
「それならばだ」
「貴様等と闘うことがか」
「智天使になり」
そこからであった。
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