髑髏天使
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第二十九話 小男その二十二
「とてもな」
「そうだよね。それはね」
「そしてだ」
「そして?」
「智天使になればだ」
それからのことも述べていくのであった。
「人であるかどうかが問われる」
「人であるかどうかが」
「そういえばだ」
ここで死神は魔神達を見た。そのうえでの言葉である。
「貴様等は十二柱だったな」
「はい」
老人が微笑んで彼の今の言葉に応えた。
「それが何か」
「十二柱と決まっているのか」
「今のところは十二ですが何もそうとは決まっていません」
こう死神の問いに返してきたのであった。
「別にです」
「そうなのだな」
「それが何か」
「十三になる可能性もあるということか」
今度はこう呟いた死神であった。
「つまりは」
「そうなるのも面白いですね」
老人もその場合について考えて述べた。
「確かに」
「魔神が増えるか」
死神はそのことをあらためて認識して目を鋭くさせた。
その彼にだ。また目玉が尋ねてきた。
「ねえ」
「そうだ。そうなればことだ」
まさにそうだというのである。
「そしてその場合はだ」
「髑髏天使を」
「冥界に送る」
一言であった。
「その場合はだ」
「じゃあ魔物よりも先にってことだよね」
「その場合も有り得る。魔神をこれ以上増やすわけにはいかない」
「けれどさ。髑髏天使っていったら」
「何だ?」
「魔物を倒すものだよ」
目玉が今言うのはこのことであった。
「魔物を倒す髑髏天使が魔物、それも魔神になるっていうのは」
「有り得ることだ」
しかし死神の言葉は動かなかった。
「それもだ」
「有り得るの」
「有り得る」
そしてまた言ってみせた。
「魔物はだ」
「闘いに溺れるから魔物だからね」
「そうだ。そしてその神がだ」
「魔神」
彼等は彼等の認識での話をしていっていた。これが彼等の魔物、そしてそれを司る魔神という存在への認識に他ならなかった。
「じゃあ闘いに溺れ人の心をなくせば」
「髑髏天使として同じことだ」
「魔物を倒す存在でありながら魔物になっていくというんだね」
「そうなる危険はある。ましてやだ」
死神の言葉は続いていく。
「あの男はだ」
「変わってきているね」
「まだ人ではある」
言葉が限定系になっていた。それも見逃せないものだった。
「しかしだ。徐々に」
「人ではないものも混ざってきているね」
「貴様等に近い」
ここでまた魔神達を見据えたのであった。
「そうしたものも入ってきている」
「はて。それは面妖な」
老人は死神の今の言葉を受けて微妙な様子の言葉を出した。
「髑髏天使が魔神にですか」
「それは今までなかったことだな」
「聞いたことは寡聞にしてありません」
これが魔神の返答であった。
「そうしたお話はです」
「今まで例のないことだな」
「それこそ数え切れないだけの髑髏天使を見てきましたがそれでもです」
「少なくとも今まではなかった」
それをまた言う死神であった。
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