髑髏天使
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第二十八話 監視その十四
その両手を突き出してきた。それも一度や二度ではない。
幾度も突き出してであった。髑髏天使を貫こうとする。
「この速さに追いつけるか」
「俺も言おう」
その彼の攻撃を左手のサーベルで防ぎながら返すのだった。
「甘く見ないことだ」
「貴様もだというのか」
「そういうことだ。俺もまた伊達に多くの闘いを繰り広げたわけではない」
「そうだな。座天使だな」
「天使としての階級だけではない」
それだけではないというのだ。
「これまでの闘いでだ。俺もまた貴様等を見てきた」
「そして倒してきた」
「だからだ。俺もまた」
「敗れはしないか」
「それを言っておく」
そうだというのだ。
「わかったな」
「わかった。それではだ」
魔物はその言葉を受けると。その腕を変えてきた。
形が変わった。木そのものになったのである。
そしてそれを自由自在に伸ばし。彼をさらに狙ってきた。
「腕をか」
「言ったな。俺は木だ」
彼はまたこのことを言ってみせてきた。
「だからだ。こうして木そのものの形にもだ」
「なれるというのだな」
「さて、これはどうする」
攻撃はさらに速くなってきた。しかも突くだけではなく叩くこともしてきた。尚且つリーチもまるで違うものになっていてそれもあった。
「この攻撃は。防げるか」
「防げると言えばどうする」
髑髏天使の言葉はここでも強気であった。
「その場合はだ」
「ならばあれになるのか」
魔物はそれを聞いて察したようであった。
「座天使になるのか」
「そうさせてもらおう」
こう言ってだった。実際にその身体を輝かせた。そうして黄色の天使になるのだった。
まさしく座天使だった。その姿になってみせた。
そのうえで。魔物に対して問う。
「これでいいのだな」
「力のある者を倒す」
魔物はまた言った。
「それこそが魔物の本懐だ」
「それでは権天使としての俺はだ」
「何の興味もない」
まさにその通りだというのだ。
「全くな」
「そうか。何もか」
「そうだ、ない」
彼はまた言ってみせた。
「人としての貴様はさらにだ」
「何の興味もないというのか」
「俺が興味があるのは強い貴様だ」
「そしてその俺を倒す」
「そうさせてもらう。いいな」
言いながらであった。
再び攻撃を仕掛ける。また両手を木にしてそれで突きと叩きを同時に繰り出す。それはまさに密林の中で荒れ狂う嵐そのものであった。
「さて、これはだ」
「防げるかどうかだな」
「どうだ、それは」
「かわせる」
そうだというのだ。
「いや、防げる」
「防げるか」
「この俺の今の力はだ」
その座天使の力だというのだ。
「それも防げる」
言いながらであった。その身体に渾身の力を出し。全身から凄まじい雷を放った。
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