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髑髏天使

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第二十七話 仙人その十五


「わかったら来るのだ」
「その前に名乗っておこう」
 彼から言ってきたのだった。
「我が名は有翼魔だ」
「まさに空の魔物というわけか」
「その通りだ。これで覚えたな」
「覚えた。だがそれは一瞬のことだ」
「何故一瞬だ?それは」
「貴様はここで俺に倒される」
 冷徹そのものでの言葉だった。
「だからだ。俺が覚えておく時間はそれだけでいい」
「だからだというのだな」
「そういうことだ」
 やはり冷徹な言葉は変わらない。
「では。いいな」
「いいだろう。来い」
 こうして両者の闘いがはじまった。そして死神とバックベアードとのそれもだ。
 死神は宙に漂いながら彼を見ている。まずは対峙であった。
「それでだ」
「何だ?」
「貴様まで出て来るとはな」
 その魔物を見据えての言葉であった。
「魔物としてもかなりのものになってきたのだな」
「座天使だ」
 髑髏天使の今の階級を述べる魔物だった。
「それならばだ。私が出るのもだ」
「当然だというのだな」
「如何にも。貴様の相手をすることも考えていたがな」
「そうだったのか」
「そうだ。そうしてだ」
 魔物はさらに言ってきた。
「貴様も倒すつもりだ」
「そうか」
「それが我等の神ウェンティゴ様の御心でもある」
 見れば彼の姿が見えない。いつも通り闘いを離れた場所で見ているらしい。しかし死神はこのことには特に思うことはなかった。
「それこそがだ」
「その為に貴様が来たというのだな」
「如何にも。私が来たからには貴様も終わりだ」
「バックベアード。魔物達の中でもその名前は知られている」
 死神はその彼のことを今呟いた。
「その強さにおいて」
「ではいいな」
「いいだろう。来るのだ」
 言いながらその目を鋭くさせる死神だった。
「私がこの鎌で冥府に送ってやる」
「受けるがいい」
 言うとだった。早速その目を輝かせた。そうしてその単眼から強烈な眼力を出してきたのだった。
「そうか」
 その眼力を見てまた呟いた。
「それが貴様の力か」
「私の目は全てを射抜く」
 死神はそれだと返すのだった。
「そう、全てをだ」
「では私を射抜いてみせるのだな」
 言いながらその姿をスライドさせた。するとだった。
 彼の身体が幾つにも分身した。そうしてその眼力をすり抜けさせたのだった。それにより彼の攻撃をかわしてみせたのである。
 そのうえでだ。今度は姿を消してみせた。
「消えた!?」
「今度は私の番だな」
 彼の声だけがした。
「では行かせてもらうぞ」
 その言葉が終わってすぐだった。魔物に左に現われた。そうしてその両手に持っている鎌を一閃させた。
 しかしだった。彼が切ったのは空だけだった。そこにはもう魔物はいなかった。
「消えただと」
「姿を消せるのは貴殿だけではない」
 魔物の声だけがした。
「私もまた然りだ」
「だからだというのだな」
「如何にも。そしてだ」
 少し離れた場所から声がした。そうしてだった。
 そこから再び眼力が来た。死神は今度は身体を右に捻った。それにより紙一重でかわしてみせたのであった。
 かわしたうえでだ。彼は言った。 
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