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髑髏天使

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第二十話 人怪その二十


「だからこそだ」
「相変わらずかなりの自信だな」
 髑髏天使はまだらミイラのその言葉を見て取りこう返した。
「しかも根拠があるか」
「何度も言うが私は根拠のないものは言わない」
 このことには絶対の信念を見せるのだった。
「それはわかることだ」
「わかった。それではだ」
 髑髏天使はそれを聞きながらも力天使の姿を取っていた。だがそこに何か考えがあるかというとそうではなかった。それでも力天使であるのだった。
「俺もまた力天使の力を見せよう」
「見せてみることだ」
 また挑発めいた言葉を出す魔物だった。
「よくな」
「受けろ」
 今度は右手に持つその剣に冷気を及ばせた。青く凍えるような冷気である。
「この力をな」
 今度は力天使の力を使う。彼等の戦いはまだ続くのだった。
 死神はシャールカの攻撃を受け続けていた。その葉の刃にただ傷付けられていた。
「貴方もこれで終わりね」
「私が終わるというのか」
「動けば動く程」
 この女の魔物の声が笑っていた。
「動かなくても。今のようにね」
「私の身体を切り刻んでいくか」
「それをどうして防ぐのかしら」
 死にいくものを眺めて笑う声だった。
「防ぐことができて?貴方に」
「確かに今は無理だ」
 これが死神の返答だった。
「今はな。だが」
「だが?」
「貴様を倒すことはできる」
 しかしここでこう言う死神だった。
「貴様をな」
「面白いことを言うわね」
 魔物は今の死神の言葉を聞いて今度は楽しむような笑みになった。
「それじゃあ。見せてもらうわ」
「見るのだな」
「ええ。貴方がどうやって」
 言いながら。その目を細めさせ口の両端を吊り上げさせた。それにより整っていた魔物の顔がまさに異形の顔に変貌してしまった。
 その異形の顔で魔物は。さらに死神に問うのだった。
「私を倒すのかしら。今のこの状態で」
「面白いものを見せよう」
 死神はここでこう言うのだった。
「私の力の一つをな」
「力?」
「そう、力だ」
 また力という言葉を魔物に対して出してみせた。
「私はただ分身し空を漂うことができるだけではない」
「他にも力があるというのね」
「そうだ。では見てみるのだ」
 この言葉と共にであった。
「私のこの力をな」
「んっ!?」
 女は今自分の目の前で死神がしたことに目を瞠った。何と彼は己の影の中に己自身を沈めたのだ。彼が己の影の中に完全に消えるとそれと共に影も消え去ったのだ。
「消えた!?」
「これもまた私の力の一つだ」
 死神の声だけがする。
「これがな」
「影の中に消えるというのも」
「これで貴様のその葉は効かなくなった」
 今度の死神の言葉は微かに笑っていた。
「私がこうして姿を消したのだからな」
「確かにね」
 シャールカもそれは認めるしかなかった。忌々しい思いはしたが。
「これでは私の葉も」
「そしてだ」
 また死神の声がしてきた。 
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