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髑髏天使

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第十八話 力天その二十三


「そこでな。じっくりとな」
「うむ。そうさせてもらう」
 こう言葉を交えさせそのうえで今牧村は変身に入った。
 両手を拳にしてそのうえで胸の前で打ち合わせる。するとそこから白い光が放たれ忽ちのうちに彼の全身を包み込んでしまった。
 それが消えた時そこにいたのは眩い白銀の甲冑を身に纏った髑髏の男だった。牧村来期はまた髑髏天使になったのであった。
「行くぞ」
 肘を曲げたままの右手を前に出しそれを握り締める。これがはじまりの合図となった。
 髑髏天使はすぐに能天使の姿になった。翼が生えその顔の色も変わる。そうしてその姿でまずは羽ばたきそのうえでペクチョンの翼に対抗しようとしてきた。
「ふうん、君も飛んでくるんだね」
「そうだ、俺にも翼がある」
 このことを魔物にも告げながら部屋の中を飛翔する。部屋の中は舞うには狭い。しかし彼はその中で身体を横にさせて飛翔し魔物の隙を窺っていた。
「それがこれだ」
「そしてそれだけじゃないんだね」
「その通りだ。受けるがいい」
 言いながら魔物に向けて剣を一閃させた。するとそこから鎌ィ足を放ったのだった。
 それで魔物を撃とうとする。しかしであった。
「甘いよ」
「むっ!?」
 それは呆気なくかわされてしまった。まるで何とでもないように。魔物はその細長い身体からは想像もできない素早さでその鎌ィ足をかわしたのだ。
「これ位じゃ。僕は倒せはしないよ」
「貴様を倒すのには鎌ィ足では無理か」
「こんなのさ。どうやって当たれっていうんだよ」
 楽しそうに話しながら動き続けている。宙を泳ぐようにsて。
「無理言っちゃいけないよ。そうだろ?」
「俺の鎌ィ足が効かないか」
「ああ、一つ言っておくよ」 
 闘いを見ている子供が楽しそうに笑いながら宙を舞い続けている髑髏天使を見て言うのだった。
「ペクチョンは素早いよ」
「素早いか」
「そうだよ。素早いよ」
 こう彼に言うのだった。
「だからこんなの当たらないよ。残念だったね」
「そういうことか」
「近寄らないと駄目だよ」
 魔物もまた彼に対して言ってきた。
「そうじゃないと僕に攻撃は当てられないよ」
「それではこれもか」
 しかし牧村はまだ攻撃を仕掛けた。今度は炎だった。それを地上から出し下から魔物を焼こうとする。しかしそれもあえなくかわされてしまった。
「だから無駄だって」
「炎もか」
「風も炎も遠くからじゃ僕に当たらないよ」
 こう言うのだった。
「残念だけれどね」
「ならばそれでわかった」
 髑髏天使はそれを聞いても冷静な態度は崩してはいない。
「それでな」
「じゃあどうするの?」
「簡単なことだ。それではだ」
 飛翔する髑髏天使が魔物に向かう。そうして。
 その両手の剣で一斉に切ろうとする。左のサーベルが魔物を斬る。それにより魔物のその細長い身体から一条の黒い血が流れた。
「あっ、やったね」
「あれっ、左の剣で?」
 攻撃を受けた魔物とそれを見ている子供で声がそれぞれ違っていた。
「意外と斬れるね。もう少しかわすのが遅かったら危なかったよ」
「左の剣は守る為のものじゃなかったのかな」
「そういえばそうだったな」
 死神もそのことを思い出して述べた。彼等はこれまでの髑髏天使の闘いでは左のサーベルは守る為に使っているのだけを見ていたからだ。
「しかし今は斬るのに使った」
「何か変わったのかな」
「そうだ。俺は身に着けた」
 髑髏天使は一旦前に飛びそれで魔物から離れた。そうして弧を描いて反転しそのうえで魔物にまた向かう。そうしながら彼等に語るのだった。 
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