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髑髏天使

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第十八話 力天その二


「それが出ようとしている」
「ひょっとしてそれって僕達とは違う存在?」
 声はその言葉を聞いてまた彼に尋ねてきた。
「つまりそれは」
「そうだ。貴様が考えている通りのことだ」
 こう答えるのだった。
「それになろうとしている」
「じゃあ置いておいたら危ないんじゃないの?」
 声はまた言ってきた。
「今度の髑髏天使は」
「そうだ。しかしだ」
「しかし?」
「あれはまだ人だ」
 限定ではあった。しかし人だと言うのだった。
「それにそれならば動くことはない」
「そうなんだ」
「私が今刈るように言われているのは魔物だけだ」
「じゃあ髑髏天使が魔物になったら?」
「その時は刈る」
 こう言うのである。
「しかしだ。人であるうちはだ」
「わかったよ。君は動かないんだね」
「そして見ていきたいものだ」
 言葉は二つであった。危険だと感じながらもそれでいて興味も持っている。相反するものが同時にある、そうした言葉であった。
「これからどうなるかな」
「何かわからないけれど今回の髑髏天使は変わってるんだね」
 声は少し考えるような声になっていた。
「僕も向こうの世界に行けたら見られるんだけれどね、詳しく」
「残念だったな」
「そうだね。けれど仕方ないかな」
 声は今度は諦観を見せてきた。
「それもね。まあとりあえずさ」
「何だ?」
「私はまたあの世界に行く」
 虚空を見たまま声に告げる。
「そしてあの者とまた会う」
「その魔物になっていってる髑髏天使とだね」
「そうだ。強くなる度に心をなくしていく」
 彼の言葉は続く。
「果たしてどうなっていくのかをな」
「そして魔物になれば」
「刈る」
 今度は一言だった。
「その時はだ。しかし今は見ていく」
「魔物でない限りはなんだ」
「今の髑髏天使は急激に強くなっていっている」
 これは博士も見ていることだった。彼は牧村に対してこのことを語っていた。しかしそれを見ているのは博士だけでなく彼もであったのだ。
「急激にな。それは魔物と幾度も激しい死闘を繰り広げた結果だ」
「その中で魔物に染まっていってるんだ」
「そうだ。魔物と闘う者は魔物に染まっていく」
 彼は言う。
「そうして果てにはだ」
「けれど今までそんな髑髏天使いた?」
 声はふとこのことも言った。
「何か記憶にないんだけれど」
「いなかった」
 そして死神はこのことも彼に告げた。
「これまではな」
「そうだよね。それにもう能天使だし」
「普通はそこまで早くとも十年はかかる」
「それが数ヶ月だし」
「全てにおいて異常だ」
 そしてまた述べるのだった。
「あの髑髏天使はな」
「その異常な髑髏天使がどうなるかな」
 声はまた声だけで首を傾げていた。 
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