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髑髏天使

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第十五話 子供その九


「魔神でもそうだけれど」
「己に相応しい相手と闘う」
「そうだよ」
 にこりと笑ってその笑みで彼に答えた。
「だから。今君とは闘わないよ」
「そうか」
「うん。君と闘うのはまた今度」
 また言った。
「君が僕と闘うに相応しい相手になった時にね」
「その時にか」
「あの時の髑髏天使は凄く強かったよ」
 にこりとした笑みはそのままだった。
「おかげで僕達全員不覚を取ったから」
「その時に封印されたのか」
「それで今やっと出て来れたんだ」
 そうなのだった。彼等は今まで封印されていたのだ。その時の髑髏天使によって。
「それでね」
「ではまた俺が封印してやる」
 髑髏天使は子供を見据えて言うのだった。
「俺がな。覚悟しておくのだ」
「覚悟はしないよ」
 子供はそれはしないと言う。
「そんなの僕らしくないから」
「ではどうするのだ?」
「楽しみにしておくよ」
「楽しみにか」
「早く強くなるんだね」
 にこやかな笑みはここでも消えていない。
「早くね。いいね」
「ではその時を楽しみにしていろ」
 牧村も今はこう言葉を返すのだった。
「その時をな」
「そうさせてもらうよ。それじゃあ」
 ここでまた彼に背を向けた。今度は完全に帰るつもりだった。
「またね」
 こうして子供は彼の前から姿を消した。そしてそれと入れ替わりに博士が戻ってきた。その手にはCDやDVDが何枚もあった。
「いやあ、大漁大漁」
 そのCDやDVDを手にして御満悦の顔であった。
「見つかったわ。これで当分は楽しめるな」
「それはよかったな」
 牧村は険しい顔で彼に言葉を返した。
「見つかってな」
「うむ。しかしじゃ」
 博士はここで彼の顔を見た。その険しい顔から不穏なものを感じ取ったのだった。そしてそのことを直接彼に対して問うのだった。
「若しかしたらじゃ」
「何だ」
「魔物にでも会ったのか?」
「魔物じゃ」
「そうじゃ。違うか?」
「魔物どころかな」
 彼は険しい顔をそのままにして博士に告げる。
「それで済めばいいがな」
「では魔神か?」
「そうだ」
 鋭い目で博士に答えたのだった。
「それがわざわざ目の前にまで来てくれた」
「何かそういうことが多いのう」
 博士は牧村の話を聞いて述べたのだった。
「この前の大男もそうだったそうじゃな」
「確かウェンティゴと名乗っていた」
 牧村はこのことも博士に話した。
「そうな」
「ウェンティゴは北米じゃったな」
 何処にいた魔神なのかはもう博士の頭の中にあった。
「確かのう」
「そうだな。自分で言っていた」
「それで今度は何処の魔神じゃ?」
「クマゾッツと言っていた」
「クマゾッツ?ああ」
 名前を聞いてだけですぐに何処の魔神かわかった博士であった。納得したような顔になってしきりに頷く顔をしてから言うのだった。 
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