髑髏天使
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十二話 大鎌その十
「それはな」
「覚えてはおく、か」
「覚えてはおく」
彼はまたこの言葉を口にした。
「それだけだ」
「死神の言葉と鎌は絶対だ」
鎌は出してはいないが背負ってはいた。その心に。
「神としてな」
「神か」
「ただしあの魔神達とは違う」
魔物達を統べるその魔神達だ。二人にとっては共通の敵だ。共通の敵にはなるがそれでもだった。二人には結び付きは何一つ見られなかった。
それは今もであった。死神は冷たい、氷そのものの殺気を牧村に向け言葉を出していた。しかしその視線は顔を前に戻してそれは彼から離した。
「また会おう」
「おそらく今度は魔物の前でだな」
「またすぐに来る」
死神は今度はただ冷たいだけの言葉になっていた。
「奴等もな」
「それはわかっている。だが魔物を倒すのは俺だ」
牧村は先程の話に対する返答をここでもした。
「何があろうともな」
「私もまた魔物を刈る」
死神は己のハーレーに乗りながらその彼に告げた。
「それだけだ」
最後にこう言ってその場を後にしたのだった。牧村は死神がハーレーのエンジンを入れヘルメットを被ったうえで場を去ったのを見届けてから彼も大学生活に戻るのだった。それが終わってから家に戻りシャワーを浴びてから夕食に入った。夕食は今は妹の未久と二人だった。
「お父さんもお母さんも遅くなるんだって」
「そうなのか」
「帰る時に携帯から連絡があってね」
未久は右手に赤い箸を持ち左手に持っている茶碗の飯を食べながら彼に述べた。
「二人で映画館行くんだって」
「映画か」
「うん。それで今日は私達二人だけよ」
また兄に話した。
「だから今日は私が作ったのよ」
「米も炊いたのか」
「そうよ」
「この米もか」
牧村はここで己が左手に持っている飯を見た。見ればその飯は普通の白米だけではなかった。他にも様々なものが入っているのだった。
「色々と入ってるな」
「十六穀よ」
未久は言う。
「それ炊いたんだけれど」
「十六穀か」
「そうよ。身体にいいっていうから」
「それでか」
「それでおかずは」
今度はおかずについて言及する。
「鰯とお豆腐と若布のお味噌汁だけれど」
「それに梅干か」
「どう?」
兄の目を見て問う。
「今日のメニューは」
「健康志向というわけか」
「ダイエットにいいらしいから」
「ダイエットか」
「最近太ったのよ」
未久は言いながらそのまだ幼さが残りはしているが整っている顔を顰めさせた。
「ちょっとね」
「お菓子の食べ過ぎだな」
その妹に対して素っ気無くきついことを言う牧村だった。
「それはな」
「またストレートに言うわね」
「だが事実だな」
やはり容赦がない。
「それはな。そうだな」
「まあね」
妹も渋々ながらそのことを認めた。
「アイスキャンデーとかタルトとか一杯食べたし」
「俺もそうだがな」
「お兄ちゃんが太らないのってやっぱり運動してるからよね」
未久は今度はこう兄に問うてきた。
「テニスにフェシングにって」
「そうだな」
少しだけ自己分析してから答える牧村だった。
ページ上へ戻る