髑髏天使
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第五十九話 精神その十六
「人間ってそこまではとても生きられないからね」
「絶対にもう一度戦えないね」
「それじゃできないよね」
「そうじゃ。できないのじゃ」
まさにそうだと話す博士だった。
「牧村君が戦うことはない」
「他の髑髏天使になるね」
「そうなるんだね」
「五十年に一度のその復活もじゃ」
髑髏天使のだ。その復活についても話が為される。
「変わるのう」
「魔物が敵じゃなくなるから」
「そういうことだよね」
「その通りじゃ。もう魔物と戦うことはない」
博士はそのことはネクロノミコンからではなくだ。今の状況から話した。
「決してじゃ」
「もう。彼等が戦い以外に楽しみを見出したから」
「それでだね」
「そういうことじゃ。妖怪が戦いに魅せられ」
そうしてだというのだ。
「魔物になったな」
「それがまた遊びの楽しみに触れてだね」
「戦いから離れるから」
「それでもう魔物と戦うことはない」
「そういうことだね」
「左様、もう魔物は魔物ではない」
彼等はそうした存在でなくなったというのだ。
「妖怪になるのじゃ」
「妖怪にね」
「それに戻るんだ」
「魔物の話は終わりじゃ」
博士はこう述べた。
「そしてそのうえでじゃ」
「それでだけれど?」
「っていうと?」
「何かあるの?」
「うむ、お菓子じゃ」
博士は話をそれに移すのだった。
「牧村君のお菓子は楽しみじゃな」
「そうだよね。牧村さんのお菓子ね」
「その日本のザッハトルテだけれど」
「どんな味かな」
「楽しみよね」
「かなりね」
こうだ。妖怪達も話すのだった。
そしてそのうえでだった。彼等はだ。
ここでだ。こんな話をするのだった。
「ねえ、ザッハトルテもいいけれどさ」
「他のお菓子も食べたいよね」
「そうそう、お菓子は多い方がいいし」
「種類も量もね」
そのだ。どちらもだというのだ。
「それに飲み物もね」
「飲み物があるといいよね」
「そうね、飲み物もね」
「コーヒーも用意して」
「紅茶も用意してね」
そうした話もするのだった。飲み物もだった。
その話をするとだった。彼等はだ。
今もだ。飲み物の話もした。
「ねえろく子さん何か飲み物ある?」
「コーヒーか紅茶か」
「何かあるかな」
「カルピスはどうですか?」
ろく子がここで勧めたのはそれだった。
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