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髑髏天使

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第五十八話 嘲笑その二十


「これはそれなのだ」
「何があっても狂気に陥るなというのか」
「そういうことだ。もっとも私の姿を見て何もなかったな」
「そうだな。それならだな」
「それはないな」
 また言う神だった。
「考えてみれば。だが」
「だが、か」
「私とは違うことは知っておくのだな」
 それはだというのである。
「よくな」
「そうだな。では我々はだ」
「先に行き。精々最後まで戦うことだ」
 また嘲笑を戻しての言葉だった。
「では。消えよう」
「別れの言葉は言わない」
 髑髏天使は神に告げる。
「では。先に行く」
「そうするのだな」 
 こう言い合いだ。そうしてだった。
 神は炎の中に消えた。それを見届けたうえでだ。
 髑髏天使がだ。仲間達に告げた。
「先に行くか」
「混沌のさらに奥に」
「そこにだね」
「そうだ」
 その通りだと答える。死神と目玉に対して。
「中に進むとしよう」
「そうですね。何だかんだ言ってもです」
「あと二つだしね」
 百目とクマゾッツもここで言う。
「残る神はそれだけです」
「あと僅かだしね」
「そうだ。残り僅かだ」
 髑髏天使は彼等にも話した。
「ようやくな」
「長かったと言うべきか」
 逆さ男はこんなことを言った。
「ここに至るまでは」
「そうかもな。しかし思えばだ」
「思えばか」
「ここまで来るのは一瞬だった」
 時間の流れをだ。そう感じたというのだ。
「まさにだ」
「一瞬だったか」
「そう感じる」
 こう話す髑髏天使だった。
「今思うとな」
「今思うとだな」
「そう思う。そして最後はだ」
 その最後の戦いに向かううえでの言葉だった。
「その二つだ」
「二度の戦いが終わればだ」
 ヤクシャも話す。
「これで完全に終わりだな」
「じゃあ終わらせに行くとしよう」
 狼男の言葉だ。
「今からな」
「終わらせそして」
「後は悠々自適の生活ですね」
 バンパイアと虹蛇の言葉だ。
「さて、好きなことをしてだ」
「楽しむとしましょう」
「今もそうしているのではないのか」
 髑髏天使が魔神達に言う。
「違うか、それは」
「そうかも知れないわね」
 九尾の狐は笑いながら応える。
「けれどそれでもね」
「戦いが終われば遊ぶか」
「そうするわ。絶対にね」
「それならだ」
 遊びたいならというのだ。髑髏天使は魔神達に言うのである。
「残り二つの戦いに生き残ることだな」
「そうだな。それではだな」
「勝って生き残ろうね」
 死神と目玉がここでも同じ口で話した。それも同時にだ。
「その最後の二つの戦いにだ」
「向かおうか」
「そうする。それではな」
 こうしてだった。彼等はだ。
 混沌のさらなる中心に向かうのだった。混沌のあらゆるものが渦巻き状に入り混じったその世界の中を進みだ。最後の二つの戦いに赴くのだった。


第五十八話   完


               2011・4・28 
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