髑髏天使

「ここは」
「何、簡単なことだ」
　バジリスクが同胞のその言葉に応えて言う。
「これは充分にできる」
「というと」
「どうするのだ」
「虹が我等を消す前に」
　その前にだと。バジリスクは言うのである。
「あの神を倒せばいいのだ」
「混沌の原初の神をか」
「あいつを」
「それだけだというのね」
「どうだ、簡単な話だな」
　また言うバジリスクだった。
「実にな」
「言うのは簡単だね」
　それはだと言うクマゾッツだった。
「それはね」
「しかしそれは難しい」
　ヤクシャである。
「いざ実行に移すとなると」
「そう思うか」
「思うからこそ言うのだ」
　ヤクシャはバジリスクに対して述べてみせた。
「違うか、それは」
「その通りだな。しかしだ」
「不可能ではないというのだな」
「この世に不可能という言葉は存在しない」
　バジリスクは言い切ってみせた。
「できないことはないのだ」
「それを言うか」
「そうだ。それを言おう」
　神に対しても言うのだった。
「今ここでだ」
「話は聞いた」
　それはだと返す神だった。
「しかしだ」
「しかしか」
「圧倒的な力の前にはどうか」
　神が言うのはこのことだった。
「それはどうだ」
「つまり不可能だというのだな、我々が貴様を倒すことは」
「例えで話そうか」　
　神は言葉を変えてきた。
「象という生き物がいるな」
「あの生き物のことか」
「そうだ、象だ」
　こうヤクシャに話す。
「象が蟻に敗れるか」
「つまり貴様が象か」
「そして貴様等が蟻だ」
　神は実際にそうだと話すのだった。
「そういうことだ」
「蟻は象を倒せないというのだな」
「蟻はどれだけいようと蟻だ」
　また言う神だった。
「その貴様等は私には決して勝てないの」
「蟻か。言うものだな」
　髑髏天使が神のその言葉を聞いて述べた。
「確かに原初の最初からいるという貴様から見ればそうかもな」
「理解したか」
「話は聞いた」
　ここでもこう返す髑髏天使だった。
「しかしだ。それは間違いだ」
「肯定はしないか」
「確かに貴様は象だ」
　それは認めるというのだ。神が象だということはだ。
　そしてそれを言ってだ。さらにであった。
　神はだ。こうも言ってみせたのである。
「しかし俺達は蟻ではない」
「では何だというのだ」
「狼だ」
　それだというのである。