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髑髏天使

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第五十三話 怪地その二十四


「食べようね」
「そうだな。それではだ」
「どんなアイスを作ってくれるのかな」
「抹茶アイスはどうだ」
 それはどうかというのである。日本独自のアイスの一つだ。
「あれはどうだ」
「いいわね。私あれ好きなのよ」
「ではそれをな」
「期待してるからね」
「わかった。それとだ」
 ここでだ。妹を見てだ。こうも言った兄だった。
「牛乳をくれ」
「御兄ちゃんも飲むの」
「牛乳は美味い」
 最初の理由はこれだった。
「そしてだ」
「そしてなの」
「身体にもいい」
 それで飲むというのである。
「飲んでいて損はない」
「そうよね。飲んだら背も高くなるしね」
「だが御前は背は」
「ああ、私はそれはね」
 いいとだ。笑顔で兄に話すのだった。
「実際にそうだけれどね」
「しかし他のことでか」
「そう。カルシウムがあるし」
 牛乳はカルシウムの塊である。その他の栄養も当然ながら豊富である。
「だからね」
「それでだな」
「そう。体操もしっかりとした身体がないとね」
 未久はにこりと笑って述べた。
「いざって時に怪我とかするから」
「怪我だな」
「体操もね。怪我が怖いのよ」
 未久の顔がここでは真剣なものになった。
「骨折とかもあるし」
「筋や腱もだな」
「そうそう。ぶちっとかいったら怖いのよ」
 こう兄に話す。
「だから。そうならない為にもね」
「牛乳も飲むか」
「そうしているのよ。御兄ちゃんよね」
「そうだ。食べることも強くなるうちの一つだ」
「そうよね、本当に」
「しかし。御前はそれでもだ」
 また妹を見る。そうして今度言う言葉は。
「アイスキャンデーはな」
「独占し過ぎだっていうのね」
「そうだ。あまりにもな」
「だからアイスクリームは残してるじゃない」
「だからいいか」
「そう思うけれど?」
「全く。勝手な話だな」
 そうは言ってもだ。しかしだった。
 結局のところ妹の言葉を受け入れた。そうしてだった。
 牛乳を受け取って飲んでだ。それからだった。
 牧村はだ。牛乳を飲みながらまた話した。
「今度は俺でアイスキャンデーを買う」
「それで自分で食べるの」
「そうする、食べたい時はな」
「うん、それがいいわね」
「家にあると御前が全部食べるからな」
「実際食べるわよ」 
 悪びれずにだ。堂々と言い切る未久だった。
「あればね」
「我慢するしかないか、俺が」
「我慢はしなくていいけれど」
「しかし御前は家にあるアイスキャンデーは」
「家にあるのを食べるだけよ」
「俺が買ったものは食べないか」
「家にないとね」
 その場合はというのだ。やはり悪びれない。
 そして悪びれない未久は兄と共に牛乳を飲んでいく。確かに言い合いはする。しかしそれでもだ二人は共にその牛乳を飲むのだった。


第五十三話   完


            2011・2・14 
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