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髑髏天使

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第五十三話 怪地その二十


「ダイアにもだ」
「ではそこをか」
「そうだ、衝いた」
 まさにそうだというのである。
「そうさせてもらった」
「宝石の細工と同じだな」
 死神がその髑髏天使に横から話した。
「そういうことだな」
「その通りだ」
 まさにそうだと答えるのだった。
「それを応用させてもらった」
「そうか。貴様はどうやら」
「どうだというのだ」
「我の思った以上の存在だな」
 髑髏天使はだ。神の考える以上の存在だというのである。
「それを今認めよう」
「そうか、それをか」
「認める」
 また言う神だった。身体を青白い炎が包もうとしていた。
 その死の中でだ。また話す神であった。
「確かにな。どんな石や鉄でもだ」
「その急所、欠点を突けばだ」
「崩れる。それがわかっていたか」
「言った筈だ。弱点のないものは存在しない」
 髑髏天使は落ち着き払っていた。確信している言葉だった。
「そういうことだ」
「そうか。それではだ」
 神は髑髏天使の言葉に頷いた。そしてだ。
「我は消えるとしよう」
「消えるか」
「そうだ。消える」
 こうだ。髑髏天使に告げた。
「我はな」
「しかしだな」
 死神は動いていない。だがその青白い炎の中に消えようとする神を見据えてだ。そうしてそのうえでその神に対して告げた。
「貴様が消えようとも」
「まだ二つの元素の神がいる」
 彼等がだというのだ。
「そしてその先にもだ」
「あの男だな」
 死神がまた言った。
「あの黒い男か」
「ナイアーラトホテップには誰も勝てはしない」
 神は断言したのだった。
「何があろうともな」
「俺でもだというのだな。貴様を倒した」
「あの男は混沌を司る司祭だ。その司祭にはだ」
「俺ではか」
「そうだ。勝てない」
 その言葉は変わらなかった。
「それを言っておく」
 ここまで話してだ。神は青白い炎の中に消えた。これでこの戦いは終わった。
 戦いが終わるとだ。神の代わりにだ。あの男が出て来た。そしてだった。
 男はだ。髑髏天使達を前にしてこう言うのだった。
「まさかああして勝つとはな」
「貴様も予想外だった」
「そう言うのだな」
「そうだ。私の思惑を超えるとはな」
 こうは言ってもだ。男の言葉には感情が見られない。その感情の見られない言葉でだ。髑髏天使達に対して告げ続けるのだった。
「貴様達はもしやな」
「もしや」
「どうだというのだ」
「私と戦うかもな」
 このことをだ。今言ったのだった。
「そうなれば面白そうだな」
「貴様だけではない」
 だが、だった。髑髏天使はこうその男に話した。
「貴様の向こうにいる」
「混沌の中心の二柱もか」
「あの連中も倒して滅ぼす」
 そうするというのであった。
「それは言っておく」
「話は聞いた」
「聞いたか」
「だが。言葉は現実になるとは限らない」
 そのこともだ。髑髏天使達に対して告げたのだった。 
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