DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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我らの目的地は…
<ドムドーラ>
「さて…私達は『メルキド』という町の情報を仕入れました」
リュカの子供等(血縁の有無は関係なし)によるコントが終了したところで、マリーが発表したのは地図にも載っている町の事だ。
「まぁ、地図にも載っているけど…ここより東にあるメルキドの町には、ゾーマの島へ渡る方法を知っている人が居るらしいのです。コレは行くべきでしょ!」
「地図で見る限り、結構な距離がある町よね…道は険しい山道になってるみたいだし…しっかりと準備をしてから出立になるわね!」
パーティーリーダーのアルルが仕切る様に、これからの予定を思案する…何やら会議を早く終わらせたいご様子だ。
「これからの事を考えているところ申し訳ありませんが、アルル殿には何も情報は無いのですか?リュカ殿・ビアンカ殿・ハツキ殿はオリハルコンとマイラの情報を…マリー殿・ウルフ殿はメルキドの情報を…私はカンダタ殿とモニカ殿と共に、町の皆様方に魔法をお教えする手伝いをしておりました。アメリア殿とラーミア・ミニモンはともかく、勇者と呼ばれるお二人だけ、何の情報も無いというのは…ねぇ!?」
既に情報を纏めようとしているアルルに対し、ラングストンが人の悪い表情で問いかけてくる。
「わ、私達は…「許してやれよラング!」
慌てて何かを言おうとするアルルの言葉を遮り、リュカが優しくラングストンを宥める。
「ヤリたい盛りの若い男女が、2人きりになったらどうなるかくらい分かるだろ!世界平和より…旅の情報より…腰振り合ってたいんだよ!許してやろうよ…大人として…な!」
「な!?ちょ、ちょっと…「コレは失礼しました!」
リュカの優しく理解のある言葉に、ティミーは大声で否定しようとするが、更に大声を上げるラングストンの謝罪に遮られ、殆ど何も言えないでいた。
「私とした事が…お二人は愛し合われておりましたね!なのに『情報は何もないのか!?』等と…非常識極まりない言葉、お許しください!『疲れた!』とか言って、昼にもなってない時間から宿屋に篭もる様なご両人ですものね…今日も大分頑張った事でしょう!いやぁ~申し訳ございません!」
ラングストンは勇者2人に対し大袈裟に頭を下げて謝罪する。
「い、いや…」「あ、あの…」
アルル・ティミーは何とか反論を試みるも、まったく何も言えずリュカとラングストンで話が進んで行く。
「世界全体の未来より、自分たちの未来の事で頭がいっぱいなんだ!」
「そうですよね…重要情報を得るよりも、可愛い子供さんを得る事に大忙しですよね!」
「そうさ!少し待ってれば僕は『お爺ちゃん』になるんだぜ!いいだろ~………でも『お爺ちゃん』って呼んだらぶっ飛ばすけどね!」
「羨ましいですねぇ…私なんか、自分のお相手を見つけるのに苦労してますから…どうでしょう、お孫さんが出来る訳ですし、奥さんくれませんか?」
「意味分からん!何で孫が出来ると、奥さんを手放さなければならないんだよ!?」
リュカとラングストンが大爆笑をしながら会話をしている…止まる事を知らぬかの様に…
すると、
「い、いい加減にしてください!」
「そうですよ!僕達だって色々情報を集め回ったんです!」
遂に怒った勇者カップルが、大声でリュカとラングストンの会話を遮断する。
「情報を集め回ったぁ~?………本当かよ!?」
「(ムカッ!)本当ですよ!ただ、大した情報が無かったから言わないだけです!」
「そうよ!エッチしかしてない様な言い方するの止めてください!私もティミーも、町中を歩き回ったんです!」
「でも、お二人ともエッチはしたんですよね?」
「したよ!時間が有り余ってたからエッチしたよ…わりーかよ!父さんだってしたんだろ!?」
開き直る勇者。
「うん。でも有力情報も集めたよ」
「ぐっ…だ、だから…碌な情報が無かったのよ!」
「では、どんな情報があったのですか?お二人が得た情報を教えてください。有益かどうかは皆で判断しましょうよ。そんなに急いで会議を終わらせる必要はないでしょう!」
「お!ラングは良い事言うねぇ…よし、お前等の得た情報を出しなさい。子供の作り方以外の情報を披露しなさい!」
どうやらリュカとラングストンの2人は、バカップル化してきた勇者カップルを戒める為に、嫌がらせを行っていた様だ…多分…
「わ、分かりましたよ…本当に大した情報はないんですよ!………えっと、武器屋のご夫婦に赤ちゃんが生まれるらしく、旦那さんが名前を一生懸命考えていて、買い物が出来ませんでした…」
「あと…あ、そうだ!町外れに居たエルフが、マイラの温泉の南に、『妖精の笛』と呼ばれるアイテムが埋まっているって言ってたわ…だから何なの?って感じだけど、何れマイラに行くのなら、ちょっと探してみます?」
「あぁ…それと、井戸の中に人が居て、もうすぐ水が枯れるって嘆いてましたね…」
「えっと…それに………」
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「………と、こんなところです」
アルルとティミーは20分もかけて、くだらない情報を出し尽くした。
意地になって情報収集をした事をアピールする2人…
「本当に碌な情報が無いですね…」
嗾けた片割れのラングストンは、全てを聞き終え疲れ切って呟く…
しかし相方のリュカは、情報を聞いてる間中ずっとマリーの表情を見ており、情報の選別を行っていた。
「うん…マイラの情報は重要そうだね。行った時に探してみよう!温泉の南…だったよね?」
「え!?本気で言ってます?…笛が埋まっているってだけですよ…」
この情報を得た張本人が、驚いた表情でリュカを見る。
「本気だよ…もしかしたら凄いアイテムかもしれないだろ。取り敢えずは見つけてから考えよう」
「「は、はぁ………?」」
アルルもティミーもポカンとしてリュカの事を見ている。
「何が重要で何が不要かなんて、誰にも分からないのだから、手に入れた情報はともかく出し切ろうよ…最近のお前等はエッチの事しか頭にないだろ!?今だって早く終わらせて部屋にしけ込みたいと考えてるだろ!?」
「「ゔ…」」
リュカの…何時もはいい加減で適当なリュカの言葉に、言い返す事が出来ない勇者カップル。
「ティミーはいいよ…お前はこの世界の人間じゃないんだ。この世界がどうなろうと関係ないからね!…でもアルルはダメだろ!?君は世界を平和にする為に自ら旅立ったんだよ…彼氏とイチャつくのは構わないけど、使命をおろそかにしちゃダメだよ。自らの旅路を有意義な物にする為、手を抜いてはダメだよ!表の世界での幽霊船の事もあるんだ…無意味な事柄に思えても、実はアルルの旅に必要不可欠だったろ!?収集して仕入れた情報は、みんなの共有にしないとね」
リュカは怒るのではなく、何時もの優しい口調でアルルの最近の行動を戒める。
アルルも自覚はしていたので、重い表情でリュカの言葉を聞き頷く。
そして彼氏のティミーも、かなり反省した表情で俯いている…
「あ!ご、誤解するなよ…僕は2人が仲良くする事を注意しているワケじゃないからね!エッチ…大いに結構!本当に早く、孫の顔を見せてほしいよ!…ただ、やる事やってから、ヤる事ヤろうって意味だからね!」
「「はい………」」
勇者カップルは互いに頷き、真面目な顔で答える。
「父さんの仰る通り、僕はアルルの事が好きすぎて、少しばかり浮かれてました…もっと自重する様心がけます…」
「私も…初心を忘れてました。ありがとうございますリュカさん…大事な事を気付かせて貰いました」
アルルもティミーも根は真面目で、リュカの言わんとする事を理解している。
まぁ真面目すぎるからこそバカップルになりかけたのだ。
今回の事で、2人は大分落ち着きを取り戻すだろう。
ただ…
マリーはこのやり取りを見ていて、
【お前が偉そうに言える事じゃないだろ!!】
と突っ込みたかったのだが、キレイに纏まっていったので我慢したらしい…
後書き
遂に150話です。
思えば遠くへ来たもんだ!
200話までにはエンディングを迎えるかな?
あと2ヶ月で、このDQ3を1年間書き続けている事になるけど、それまでに終わるかな?
最近スピード落ちたからなぁ………
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