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髑髏天使

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第五十三話 怪地その十六


「戦うことは嫌いではない」
「その様じゃな」
 老婆が彼のその言葉を聞いて述べた。
「気配でわかるわ」
「それでか」
「わし等と戦いたいと言っておる」
 そうだというのである。
「心の奥底でのう」
「大地に勝てるとは思ってはいない」
 今彼等が対峙しているその大地の神にはというのだ。
「だが。私と戦う時になればだ」
「その時はか」
「思う存分戦うつもりか」
「そういうことだ。そのことを言っておこう」
 こう魔神達に話すのであった。
「今ここでな」
「話は聞いたわ」
 これが男の声に対する老婆の今の返答だった。
「聞きはした」
「しかしだというのか」
「そうじゃ。少なくともわし等はここでは倒れぬよ」
「そうね。それはね」
「決してありません」
 美女と小男もそれを言う。
「目の前にいるこの巨大な相手にも勝って」
「私達は貴方に辿り着きましょう」
「言葉を偽りとするか真実とするか」
 男は彼等のその言葉を受けた。そうしてまた話すのだった。
「それは貴様等次第だ」
「そういうことじゃな。では見ておるのじゃな」
「そうさせてもらおう」
 こうしてだった。男は今は姿を消したのだった。その気配もだ。後に残ったのは魔神達に混沌の神、そして牧村と死神だった。
 魔神達はすぐにそれぞれの真の姿を現した。そうしてだった。
 牧村と死神もだ。構えに入った。そのうえでだ。
 魔神達、そして混沌の神に対してだ。こう言うのだった。
「ではだ」
「戦うとしよう」
「待っておいてやろう」
 神は余裕を以て彼等に告げた。
「貴様等が戦う姿になるまでだ」
「待つのか」
「そうするというのか」
「そうだ。本来の強さの貴様等を倒す」
 これが神の彼等への言葉であった。
「そうでなくては面白くとも何ともない」
「だからか」
「そえでなのか」
「その通りだ。では待っておこう」
 神はそうした。そして魔神達もだった。
 牧村と死神に対してだ。こう告げたのだった。
「じゃあさ。君達が変身してからね」
「はじめるぞ」
 クマゾッツと逆さ男が彼等に告げる。
「それまで僕達は動かないから」
「待っておいてやろう」
「待つのか」
「貴様等もまた」
「僕達だけで先にはじめてもね」
 クマゾッツが二人に話す。その彼がだ。
「面白くないから」
「面白くないか」
「そうなのか」
「そうだよ。だからだよ」
 また言う。二人に対して。
「では今はね」
「少し待っていろ」
「私達の姿が変わるまでな」
 こうしてだった。二人はそのまま変身に入るのだった。
 牧村は両手を拳にして己の胸の前でその先と先を打ち合わせる。死神は右手を拳にしてそれを己の胸の前に置く。そうするとだった。
 二人共それぞれ青、白の光に覆われてだった。その光の中で。
 髑髏天使と戦う姿になる。そのうえでだった。
 右手を一旦開き握り締める。鎌を一閃させる。それからだった。 
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