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髑髏天使

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第五十三話 怪地その九


「わしとてそうじゃ」
「博士もか」
「それは昔からじゃよ」
「俺もそうだ」
「君もじゃな。やはり」
「そうだ。髪の毛があるにこしたことはない」 
 実際にそうだという牧村だった。
「どうしてもな」
「そうじゃ。それでなのじゃが」
「今度は何だ」
「昔の欧州じゃが」
 その頃の話をするのだった。
「欧州では肉食じゃな」
「そうだな」
「それに風呂にも入らなかった」
「髪の毛も洗わないな」
「おまけに髪の毛を脂で固めておった」
 髭にもだ。ワックス等をしていたのである。
「あまりよくない脂でのう」
「しかもさらにだな」
「欧州の人間は毛深いのも知っておるな」
「そうだな。日本人よりも遥かにな」
「男性ホルモンが多いのじゃ」
 全体的に言えることだった。欧州の人間は日本人に比べて毛深い。これは髭を見てもわかることだ。それは男性ホルモンの影響であるのだ。
「男性ホルモンが多いとじゃ」
「髪の毛にも影響するな」
「左様。ここから出される結論はじゃ」
「かつての欧州では禿げが多かったか」
 牧村もこの結論に達した。
「そういうことか」
「そうじゃ。わしはそう見ておる」
「成程な。そういえばだ」
 ここで牧村はこのことにも気付いた。それは。
「フランスの人間は日本に比べてな」
「多いじゃろ。髪の毛の薄い者が」
「そういうことか」
「ドイツはもっと多いぞ」
 ドイツはさらになのだった。
「何しろソーセージにビールじゃからな」
「その二つは最強か」
「痛風の問題もあるがのう」
 それもあるのだった。
「食べ物や清潔に注意じゃよ」
「結論はそれか」
「そうじゃ。そうすればかなり防げる」
「あとはストレスだな」
「髪を染めるのも要注意じゃぞ」
 博士の指摘はそこにも及んだ。
「それもくるぞ」
「そうらしいな。俺は髪は染めないが」
「髪を傷める。一番駄目じゃ」
「では脱色も」
「無論駄目じゃ。同じじゃよ」
「やはりそうか」
「確実にくるからのう」
 博士の言葉はしみじみとしたものさえあった。
「染めたり脱色はじゃ」
「絶対に駄目だな」
「禿たければよいがな」
「普通はそうした人間はいないな」
「そういうことじゃ。女の子でもあれはくるぞ」
 女の子という言葉にだ。妖怪達が突っ込みを入れてきた。
「あれっ、女の子も禿るんだ」
「最近はそうなんだ」
「くるんだ」
「禿げはせんがやはり髪は傷める」
 それがあるというのだ。
「確実にのう」
「そうなんだ。それはあるんだ」
「やっぱり」
「そして歳をとってからじゃ」
 髪の毛にまつわる絶対のことであった。 
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