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髑髏天使

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第五十三話 怪地その四


「夏にもおったという説もあるがな」
「あの悪女か」
「そうじゃ。王を惑わしたあの悪女達じゃ」
 周にも出たとされている。王達を惑わした悪女の正体は九尾の狐と言われているのだ。
「無論あの狐とは別の狐じゃがな」
「それでもだな」
「そうじゃ。あれとはまた違う九尾の狐じゃ」
 十二魔神のそれはというのだ。違うというのである。
「狐といっても色々じゃからのう」
「それでなのか」
「そういうことじゃ。まああれが四千年前じゃったか」
 博士はその王を惑わした狐の年齢を述べた。
「そう考えると最低でも五千歳じゃな」
「あの殺生石になってるのだよね」
「あいつだよね」
「うむ、あれがそれ位じゃ」
 その九尾の狐は中国だけでなくインドでも悪事を働き遂には日本にまで来た。そのうえで鳥羽法皇を惑わさんとし見破られ討たれたのである。 
 そして石になった。それが殺生石なのである。
「どう少なく見てものう」
「九尾の狐になるのは千年かかるからね」
「どうしてもね」
「そうなんだよね」
 二本の尻尾を持つ猫が言う。猫又である。
「僕で今三百年生きてるけれどね」
「猫又になるのって五十年だよね」
「そうだよ」
 猫又はがんぎ小僧の言葉に答えた。
「猫が五十年生きたら尻尾が二本になってね」
「それからだよね」
「そうだよ、猫又になるんだ」
 こう話すのだった。
「晴れて妖怪になるんだ」
「そうだよね」
「九尾猫もいるけれどね」
 尻尾が九本になるのは狐だけではないというのだ。
「けれど。あそこまでになるのは」
「千年かかるよね」
「猫も」
「うん、かかるよ」
 実際にそうだとだ。猫又は仲間の妖怪達に話した。
「そこは狐と同じだよ」
「九尾になると凄いよ」
 狐もいる。勿論狸もだ。
「ああして神様になるからね」
「だよね。力が尋常じゃなくなるからね」
 その狸も言った。
「尻尾って凄いね、考えると」
「全くだね」
 狐と狸も話す。そして猫又は話を戻してきた。
「それで。百目って正確な年齢はわからないんだね」
「そうだ。わしが知らぬのじゃ」
 天狗が答える。子供の頃から彼と共にいるその天狗がだ。
「あ奴も知らぬな」
「ううん、そうなんだ」
「とにかく古く生きておるとそれだけの力を持つしのう」
 博士がまた言った。
「その魔神達が君と共闘すること自体はじゃ」
「いいことか」
「そうじゃないと勝てる相手でもない」
 相手の神達の力をだ。踏まえての言葉だった。
「とてものう」
「今の俺達ではか」
「そうじゃ。それまでの相手じゃ」
 牧村にだ。ここはあえて正直jに言う博士だった。
「それは前も言ったと思うが」
「確かにな。それはな」
「だからじゃ。あの魔神達が力を貸すならじゃ」
「頼りになるか」
「なる」
 それは間違いないというのだ。
「安心していいな」
「敵としては恐ろしくてもか」
「味方になれば違う」
 よく言われる話だがそれはここでもだった。
「かなりのう」
「そうだな。それではな」
「君にとって大きいぞ」
「そしてあいつにとってもだな」
 牧村は死神のことも述べた。 
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