| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

髑髏天使

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十二話 死風その十四


「ですが生きらたいならばです」
「それだけの心構えが必要だな」
「そういうことになります」
 こう話すのだった。
「私達としてはです」
「どうだというのだ」
「是非生きて欲しいのです」
 そうだというのである。
「貴方達にはです」
「戦いたいからか」
「はい」
 まさにそうだというのである。
「だからこそです」
「貴様等の為にもか」
「私達の楽しみの為にも」
「だからだよ」
 ここで子供も言うのであった。
「君達には生きてもらいたいんだよ」
「その通りです。ですが」
 ここで老人の言葉が変わった。
「私達は最近はです」
「変わってきたんだよね」
「この世界にいるうちにです」
「どうもそうなってきたんだ」
 こうだ。老人と子供がだ。魔神達を代表して話すのだった。
「戦い以外の楽しみを覚えてきました」
「色々とね」
「楽しみをか」
 死神がその彼等に言った。
「それをか」
「はい、食べることに遊ぶこと」
「大きく言えばこの二つだね」
「この世界には様々な美味しいものがあります」
「ゲームに映画に。他にも色々あるしね」
 彼等がこれまで楽しんできたことをだ。話すのだった。
「いい世界です」
「思った以上に」
「そうだとするとだ」
 彼等のその話を聞いてだ。牧村はこう思ったのだった。そしてその思ったことをだ。今は実際に言葉に出して言ったのだった。
「妖怪と同じだな」
「はい、そうですね」
「そうなるね」
 そしてだ。彼等もそのことを認めるのだった。
 そのうえでだ。彼等はこう二人に話した。
「私達は元々妖怪でしたし」
「戦いが楽しいと思ってそれから魔物になったからね」
「魔物は。戦いだけを楽しむ存在です」
「それが魔物なんだ」
 妖怪と魔物の違いはそれだというのだ。
「その私達が戦いの他に喜びを見出せば」
「妖怪に戻るのかな」
「戦い以外も楽しいものじゃ」
 老婆も笑いながら話してきた。大きく開いたその口には歯が殆どない。しかしそれでも彼女はその口を大きく開いて笑うのだった。
「実にのう」
「変わったのか」
「うむ、変わった」
 老婆は死神に答えた。
「いや、戻ってきたのかのう」
「そしてそのうえでか」
「はい、戦わせてもらいます」
「君達とね」
 また老人と子供が言ってきた。
「ですから。何としてもです」
「最後まで生き残ってね」
 また二人に告げるのであった。
「それは絶対にです」
「頼んだよ。それじゃあね」
 ここまで話してだ。彼等は。
 姿を消していった。そうしてその中で最後に告げるのだった。
「また会おうね」
「次の戦いの時にまた」
「次か」
「これからの戦いでは協力させてもらいます」
 老人は消えゆく中で牧村に述べたのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧