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髑髏天使

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第五十一話 解放その十二


 遂に本体の彼等だけになった。誰がどう見ても追い詰められた形であった。だが。
 彼等の目はだ。死んでいなかった。その声もだ。
「それではだ」
「そろそろだというのだな」
「そうだな。終わらせてもらう」
 神の中央の頭が言ってきた。九つの頭の中央がだ。
「次の一撃でだ」
「喰らわせてもらおう」
「是非な」
「頭は駄目だ」
 髑髏天使がふと言った。
「貴様のそこを狙ってもな」
「そうだな」
 そしてだ。死神も言うのであった。
「例え胴を狙ってもだ」
「両断してもそれはくっつくな」
「そうなるな」
「神を甘く見ないことだ」
 実際にそうだとだ。神からも言ってきた。
「その程度のことは造作もない」
「やはりそうだな」
「胴もだな」
「神は不死だ」
 今度はこの言葉を出すのだった。
「その程度では死なない」
「決してな」
「その程度では、だな」
 だが、だった。髑髏天使はその言葉に目を向けたのだった。
「言ったな」
「それがどうした」
「何があるというのだ」
「その言葉に」
「その程度では死なないと言った」
 髑髏天使はまた指摘してみせた。
「つまりそれはだ」
「貴様は不死と言ったがそうではない」
 死神もだった。ここで気付いたのであった。
「死ぬのだ。間違いなくな」
「そうだな」
「ふむ」
 それを聞いてだ。神は言うのであった。
「確かに神は不死ではない」
「先程の言葉はそういう意味でだ」
「真実ではない」
 彼等もそれを認めるのだった。
「偽り、いやはったりと言おうか」
「それだった」
「それは確かだ」
「やはりな」
 髑髏天使もそれを聞いて頷く。
「それを認めるか」
「神は嘘は吐かない」
「決してな」
「この神はだ」
 ヒドラはだというのだ。彼自身はだというのである。
「嘘を言うことはない」
「だからそれは訂正しよう」
「神は死ぬ」
「決して不死の存在ではない」
 あらためてだ。こう話すのであった。
「しかしだ。それでもだ」
「貴様等に倒せるか」
「この神が」
「どうなのだ」
「頭も胴も無理でもだ」
 今度は死神が言うのであった。
「それでもだ」
「その通りだ」
 髑髏天使も続く。
「倒す方法はある」
「決して倒せない存在なぞない」
 死神はこのことを断言するのだった。
「完全な無敵なぞな」
「ありはしない」
「そういうのか」
「この神もか」
「そうだ、今の貴様も倒せる」
 こうだ。死神は断言した。またしてもだ。 
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