髑髏天使
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第五十一話 解放その三
「だからそれで」
「生徒のことを考えてか」
「そういう面も確かにあるわ」
「一年のうち三分の一が休みか」
「やっぱり凄いわよね」
「そう思う」
牧村もそれを否定しない。
「そこまでか」
「それがその娘の通っている高校なの」
「今もその高校に通ってるのか」
「いえ、もう卒業したわ」
今はそうではないというのだ。
「それでその上の大学に通ってるの」
「エスカレーター式にか」
「半分ね」
「半分か」
「一応選定試験みたいなのあるそうなの」
「それだとエスカレーターだろう」
「ううん、そうなるかしら」
この辺りは二人の認識の違いだった。とにかくだった。
「それで今はそっちの大学に通ってるから」
「まだそちらにいるのか」
「そう、奈良にね」
そこにその学校があるのだという。
「顔も背丈も私そっくりなの」
「何もかもがか」
「歳はその娘が一つ下で」
そこは違うのだった。
「後はね」
「殆ど同じか」
「ううん、性格は違うわね」
「それは流石に違うか」
「その娘あれなの」
その性格についての説明がはじまった。
「物凄く真面目で頑張り屋さんだけれど」
「それでもか」
「おっちょこちょいなの」
まずはそこから話すのだった。
「もうかなりね」
「そうなのか」
「そう、しかも慌て者だし」
その娘の話がさらに続けられていく。
「鈍感だし」
「何か随分問題のある娘だな」
「性格はいいのよ」
それ自体はいいというのだ。
「けれどね。そうした抜けたところが多くて」
「それが心配か」
「顔も背丈も殆ど同じだし」
だから気になるという若奈だった。
「親戚だし。子供の頃から付き合いあるし」
「特別な相手か」
「かなりね」
若奈もそれは否定しなかった。
「だからちょっと以上にね」
「しかし鈍感か」
「そう、実はその娘を好きな子がいるの」
「同じ奈良にか」
「高校時代の後輩の子で」
つまり年下から好かれているというのである。
「その子縁のある人が神戸にいるのよ」
「この街にか」
「そう、それで神戸でその子を見たけれど」
「彼女にべたべたとしてか」
「それで大変なことになってるの」
こうだ。牧村に話すのだった。
「誰が見てもわかるっていう位のね。ベタボレなんだけれど」
「しかし当人だけはか」
「全く気付いてないの」
若奈の顔は困り果てたものになっていた。
「どうしたものかしらね」
「それはかなりまずいな」
「まずいなんてものじゃないのよ、これが」
若奈はかなり困った顔になっていた。
「その娘何で自分に近寄ってくるかわからないっていうし」
「自分ではだな」
「そう、自分だけはね」
「わからないか」
「漫画とかでよくある展開だけれど」
若奈はこんなことまで言うのだった。
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