とある星の力を使いし者
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第10話
前書き
コミケから無事に生還できました。
TYPE-MOONの商品を買う事ができて良かったです。
朝、常盤台の女子寮の洗面器で美琴はパチン!と自分の頬を叩き気合いを入れる。
前回、麻生を追いかけようとしたが麻生の冷たい目を見てしまった日から、なぜだか分からないがいつもより元気がなかったが、グジグジしているのも自分らしくないと朝から自分に喝を入れる。
「いつまでもグジグジ引きずってらんないわね!
あの馬鹿達はいつか必ず倒すとして、今は自分にできる事からこなしていこう!!
まずは・・・・・・」
そう意気込むと美琴は女子寮を出て、ある所に向かった。
場所は変わり風紀委員の第一七七支部で、白井は初春に傷の治療を手伝ってもらっていた。
「幻想御手」の情報を少しでも集めようと「幻想御手」を取り扱っている不良達に情報を聞こうとしているのだが日頃、風紀委員に邪魔をされているのがむかついていたのか白井が風紀委員だと分かると、襲いかかってくる者もいれば犯罪に走る者も少なくはない。
しかも、相手は「幻想御手」でレベルが上がっており白井が苦戦する場面も何度かあった。
その為、日に日に生傷が増えている。
日常生活にまで支障が出そうなくらいの傷も出来ていた。
世間では「幻想御手」を使用すれば、植物状態になると言う事実はまだ知られていない。
これが知られれば「幻想御手」を使用した生徒が、自暴自棄になりどんな行動を起こすか分からない。
それに植物状態から回復した生徒はまだ一人もいない。
白井はまず「幻想御手」の拡大を阻止し、昏睡した使用者の恢復させ、最後にこの一連の騒動を引き起こした者を捉える。
これが白井達が解決しなければならない事だ。
その事を初春に伝えると白井は自分で巻いた包帯に違和感を覚え、初春に巻き直すようお願いをする。
「そうだ、白井さん。
この一件、御坂さんや麻生さんに頼まないんですか?」
「お姉様にわたくしのこんな姿を見せる訳にはいきませんわ。
ただでさえここ数日元気がないのに。
麻生さんに関しては何度も助けてもらってますし頼むに頼めませんわ。」
包帯を巻いて貰いながら初春と話をしているとある事を思い出す。
「そういえば麻生さんは前に気になる事を言ってらしたわね。」
「えっと、「幻想御手」と言う曲自体が五感に働きかけているかもしれない、でしたね。
一体何を言っているのでしょうか?」
「確か似た様な話をどこかでした覚えが・・・・・」
白井はどこで話をしたのか考えている時だった。
突然支部の扉が開くとそこにおっす!!、と掛け声と共に美琴が入ってきた。
その瞬間、白井は初春の身体を美琴の頭上に空間移動させ、美琴にこの傷を見られないよう初春で目隠しさせて美琴の頭と初春の頭がぶつかり二人が伸びている隙に急いで服を着る。
美琴は一応、「幻想御手」の事はあらかた知っており何か手伝える事はないか、と捜査を手伝いに来たのだ。
白井は美琴を巻き込みたくなかったが初春が美琴に自分達が知っている情報を美琴に教える。
「ふーん、「学習装置」かぁ・・・・」
「五感全てに働く機材がない事には能力開発はできないとの事なのですが・・・・」
「植物人間になった被害者の部屋を捜査しても「幻想御手」以外に何も見つからないんです。」
完全に手詰まりであることを美琴に知らせるが、その報告を聞いていた美琴はある事を思い出す。
「逆に仮の話だけど「幻想御手」という曲自体に、五感に働きかける作用がある可能性はないかしら?」
「そういえば、麻生さんも同じ事を言ってましたね。」
麻生の名前が出た事で美琴の顔が一瞬、ムッとした表情になるが今は気にせず話を続ける。
「前にカキ氷を食べた時の会話覚えてない?」
「えーと何でイチゴ味を注文してしまったのか・・「いや、そっちでなく」・・あとは赤い色を見ると暖かく感じるとか・・・・」
その会話を思い出すと美琴と同じ答えを答える。
「「共感覚性!!」」
「?」
共感覚性。
共感覚性とは一つの感覚を刺激することで二つ以上の感覚を得る事。
分かりやすい例を述べると暑い時に風鈴の音を聞くと涼しく感じる時があるだろう。
このように目や耳など一つの情報で五感に働きかける事を指す。
初春は木山の元に向かいながら早速、この事を報告する。
木山自身も共感覚性については見落としていたらしく、それらの理由があれば|「樹形図の設計者」《ツリーダイアグラム)の使用許可がおりるらしい。
「樹形図の設計者」。
ものすごい高性能な並列コンピューターで、正しいデータさえ入力してやれば、完全な未来予測が可能。
そのため学園都市では天気予測は「予報」ではなく「予言」、確率ではない完全な確定事項として扱われる。
それを使えばすぐに結果が出てくると初春は安心し、初春も木山の所に向かう為にバスに乗り込む。
その時、電話がかかってきたので画面を見ると佐天の名前が映っていた。
佐天とは最近連絡も取る事が出来ず、初春はとても心配していたようですぐに出る。
「佐天さん!!何日も連絡がとれないから心配したんですよ!!」
バスの中である事を忘れ、大声で話す。
すると周りの視線が初春に集まり、ようやく状況を掴み一旦切ろうとした時だった。
「アケミが急にっ・・・倒れちゃったの。」
「!?」
佐天の話では佐天もたまたま「幻想御手」を手に入れたのだが、前に喫茶店で白井が所有者を捕まえると言っていたので、誰にも相談することが出来ずに一人で悩んでいた。
その時、偶然アケミやその他の友達と会いアケミ達が能力の補習があると言い出した。
そして、試しに「幻想御手」を使ってみるという話になったらしい。
「でも、でも、本当は一人で使うのが怖かっただけ。」
「と、とにかく今どこに・・・・」
初春は佐天の様子が気になり近くのバス停で降り佐天の元に急ぐ。
「あたしもこのまま眠っちゃうのかな・・・そしたらもう二度と起きれないのかな?
あたし何の力もない自分が嫌で・・でも憧れは捨てられなくて・・・・」
佐天は学園都市に入れば誰でも能力者になれると思っていたが、実際に入ってみると無能力者と言う結果で何も能力を得る事が出来なかった。
同い年なのに大能力者白井や超能力者である美琴に少なからず嫉妬していたのだ。
「ねぇ初春、無能力者は欠陥品なのかな?
それがズルして力を手にしようとしたから罰があたったのかな?
危ない物に手を出して周りを巻き込んで・・わたしっ!!!」
「大丈夫です!!!」
初春の言葉を聞いて佐天は言葉を失う。
「もし眠っちゃっても私がすぐに起こしてあげます!
佐天さんもアケミさんも他の眠っている人達もみんな!!
だからドーンと私に任せて下さい、佐天さんきっと「あと五分だけ~」とか言っちゃいますよ?」
「初・・春?」
「佐天さんは欠陥品なんかじゃありません!!!
能力が使えなくたっていつも私を引っ張ってくれるじゃないですか!!
力があってもなくても佐天さんは佐天さんです!!
私の親友なんだから!!!・・・・だから・・だから・・そんな悲しい事言わないで。」
周りの目を気にすることなく涙を流しながら初春は佐天に言うと佐天は涙声で笑い初春に言った。
「迷惑ばっかかけてゴメン。
あと・・・よろしくね。」
その言葉と同時に電話が切れ初春は急いで佐天のマンションに向かう。
部屋を開けると佐天も他の被害者と同様に昏睡状態になっていた。
初春は病院に電話をして佐天を病院に運んでもらう、付き添いに行こうとしたが初春は行かずそのまま救急車が去っていくとある男に電話をかけた。
いつも通りに起きると麻生はいつもの服に着替える。
初春に電話番号を教えてからの三日間は何事もなく平和な三日間だった。
美琴に会う訳でもなければ白井や初春に会う事もなく、上条も電話で状況報告以外に連絡もなく魔術師からの襲撃もなかったので、麻生はようやく元の生活に戻ったか?、と思った時麻生の携帯の電話が鳴り響く。
学生寮を出て歩きながら画面を見ると初春の名前が映っていた。
麻生はまた面倒な事が起こると思ったが出ない訳にはいかず着信ボタンを押す。
「麻生さん・・・・」
元気な声で名前を呼ばれるかと思ったが以外にも初春の声は小さく元気がなかった。
「どうした、元気がないぞ。」
「佐天さんが倒れました。」
「・・・・・」
麻生は驚くわけでもなく初春の言葉を聞いていた。
佐天が「幻想御手」に手を出しそれの影響で昏睡状態になったと報告を聞く。
「麻生さん、佐天さんは欠陥品なんかじゃないですよね?」
あの電話の時に佐天にはああ言ったが、その答えを誰かに聞きたかったのだ。
そして、麻生なら良い答えが返ってくると思ったが麻生の口から返ってきた言葉は初春が思っていた言葉と逆だった。
「そうだな、欠陥品だ。」
「!?・・どうしてそんなこと言えるんですか!!!!」
周りの視線を気にせず電話越しに声を荒げて麻生に伝える。
麻生は最後まで聞けと初春を落ち着かせる。
「初めに言っておく、完璧な人間なんてこの世の中には存在しない。」
「えっ・・・」
「誰しも人間は人それぞれだがどこか欠陥している。
それは俺もそうだし美琴も白井もお前もどこか欠陥している。
たまたま佐天は能力のレベルが0という事実が、その佐天の欠陥している所なんだろう。
というより能力のレベル何てなものは自身の努力で幾らでも上がるものだ。
だが、佐天が努力してレベルが上がってもまた佐天のどこか欠陥が出来る。
人間はその欠陥を埋めようとしても、またどこか欠陥してしまう者なんだよ。」
麻生の答えは難しく初春はその意味をうまく理解できないでいる。
それを見透かしたように麻生は大きくため息を吐く。
「簡単に言うと佐天が欠陥品だ。
だが、それは人間である限り仕方がない事だ。
こういう俺もどこか欠品しているしな。
いいか、初春。
大切なのは自分を信じる事だ。
例え、周りがどんなに自分の事を無能だの欠陥品だの言われても自分を信じ続けろ。
自分で自分を信じられなくなった時こそ、本当の欠陥品になってしまうのだからな。」
簡単に言われても完璧に意味を掴めることはできなかった。
それでも麻生の言葉を聞いて初春の気持ちは軽くなった気がした。
「ありがとうございます!!!
私、佐天さんや他の人の目を覚ませるように頑張ります!!」
「ああ、それじゃあ切る「それと・・・」・・まだ何かあるのか?」
「麻生さんも手伝ってはもらえませんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気分が乗ったらな。」
答えを曖昧にしたのに初春はありがとうございます!!!、と大声でお礼を言い多分電話の向こうでも自然とお辞儀しているな、と想像しているとブチッ!!と勝手に電話を切られた。
まだ行くとは言ってないんだけど、と思ったがもう聞こえないかと諦め麻生は散歩を止めて一七七支部に足を向けた。
一方、白井と美琴は佐天が昏睡状態になった事を聞いて、すぐに病院に向かうとあるカエル顔をした医者が美琴達に話しかける。
その医者が言うには患者の脳波に共通するパターンを見つけたらしい。
通常人間の脳波は活動によって波は揺らぐらしいのだが、その波を無理に正せば人体の活動に大きな影響が出るらしい。
被害者たちは「幻想御手」に無理矢理脳波をいじられ植物状態になったのか?、と美琴は推測する。
その医者は人間の脳波をキーにするロックがあり、それに登録されているある人物の脳波と植物患者のものと同じだという。
二人はパソコンに映った人物の顔写真を見て、驚きの表情を浮かべた。
初春も木山の部屋にたどり着き佐天が倒れた事、そして自分が今まで集めた情報を木山に伝える。
自分を責める初春を見た木山は落ち着かせるためにコーヒーを入れてくる、と言って部屋を出ていく。
その間に部屋を見渡していると棚の隙間から一枚のプリントがはみ出ている事に気づき、初春はそれを棚の中に直そうとして棚を開けるとそこには木山が調べたであろう研究の資料がたくさん入っていた。
ただの資料なら初春も気には留めなかったが、そこのファイルに書かれている題名を見て目を奪われる。
そこには共感覚性や音楽を使用した脳への干渉などの資料が書かれていたファイルが入っていた。
初春はそれを読むのに夢中になっていると後ろから木山が来ている事に全く気づかなかった。
「いけないな、他人の研究成果を勝手に盗み見しては。」
「登録者名、木山春生!!」
後書き
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