インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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起きたらいつの間にか一週間後
―――どれだけ眠っていたのだろうか?
そんな疑問を感じ、今まで閉じていた目を覚ました。というか何故か股間辺りが重い。
「………祐人」
声がした方に振り向くと、そこには簪…様がいた。
「おはようございます、簪様」
「様は……いい。それに……敬語も止めて……」
「かしこまり……もとい、わかった」
「うん。……やっぱり、祐人はいつも通りじゃないと……」
いや、それは意味がわからない。
「ところで、今は何時だ?」
「午後、11時。タッグマッチから、一週間経ってる」
「へー………って、えぇ!?」
そんなに寝ていたのか。っていうか、
「早く寝ろよ………」
「こんな時は……夜更しは見逃して……」
「ダメだ。大体、美容に良くないだろ」
「……また、そんなことを言う。昔からずっと……」
「そりゃあ、主のために気配りをするのが執事の役目ですから」
俺は簪を撫でながらそう言った。
「……やっぱり……昔のことを……」
「ああ。完全に思い出した」
そう言うと、簪は急に俯いた。
「……ごめん、なさい。私のせいで―――」
「ストップ」
急に謝りはじめた簪を止める。
「俺はあのことに関しては別に気にしてないから。だから何も言わなくていい。あんまり気にしていると押し倒すよ」
「………でも、本音に聞かれる」
そう言って簪は視線を俺の股間に向けた。その理由は色々ある。例えば―――本音がそこで丸まって寝ているのが原因とか。
「どこで寝ているんだ、こいつは………」
「ここ最近は……ずっとそこ……」
もっと女としての恥じらいを持って!!
「でも……ずっと心配してたから……」
「せめて胸の上で寝て欲しかった。重いことには変わりないが」
「それは……失礼……」
「わかってるよ」
俺たちが談笑していると、本音が起きたのか寝言を呟いた。
「……おにいちゃ……」
ヤバい。鼻血出るかも……。
「……お義兄ちゃん……」
今度は簪、そして上目遣いだった―――って、殺傷能力高いって!!
「止めろ簪、マジ死ねるから……。って、字が違う!?」
「………気にしない方がいい」
気にする。気にするから。それだとまるで、俺と楯無が結婚することは簪の中で確定しているってことじゃねえか。
ダメだ。あんな痴女となんて絶対にダメだ。振り回されることは確実だろう。
「だから、合法的に一緒に寝ても……大丈夫」
「バレたら俺は一瞬の内に灰になると思うんだよ」
最近、人の話を聞かなくなっているからな。特に楯無は。しかも動機が羨ましいだぜ。んなこと知るか!!
「とにかく、俺は少し寝かせてもらう。本音のことは心配するな。起きれたらちゃんと学校に行かせるから」
「……わかった」
簪は頷いてそのまま医療室を出ていった。
そして俺は体を痛めながら本音を降ろし、隣に寝かせる。
『相変わらずシスコンね』
「家族を大事にしていると言え」
足を伸ばし、頭を撫でていると、
「んぅ……おにい……ちゃん?」
「ああ。というか今すぐ寝ろ」
「お兄ちゃん!!」
騒がしいとか言って怒られるぞ。
「静かにしなさい」
「あ、うん。じゃなくて、いつ起きたの?」
「ついさっき。そしてお前に言っておくが、怪我人の股間の上に乗るな」
俺がそう言うと本音は顔を赤くした。
「とにかく、今日は遅い。お前ももう寝ろ」
「うん」
そう言って寝かせる。さて、俺も寝るか。
■■■
「……起きたか」
第一声がそれだった。
「何でいるんですか、織斑先生。それとも何ですか? 俺を襲いに来たんですか?」
「それだけ軽口を叩けるのならいいだろう。今すぐ起きろ。事情聴取だ」
その声を聞いて俺は不快な顔をして、
「お断りします」
即座に断った。
「だがIS委員会の役員がお前を捕まえに来るぞ」
「………受けてもいいけど、しゃべらないからな。別に俺が犯罪になることなんてしてないし」
ここは大人しくしておいたほうがいいだろうな。
俺はまだ隣で寝ている本音の体を揺すって起こす。
「んにゅ………」
「本音、朝だ。今日は学校は?」
「う~んと、ないよ~」
「だったら部屋に帰りな」
とりあえずシヴァに本音の護衛を指示した。
「ところで織斑先生」
「何だ?」
「少しだけ、上で話をしませんか? それに俺もシャワーを浴びたいので」
「………いいだろう。少しだけ許可する。それに私も少しお前と話したいこともあるんでな」
なんとか許可をこじつけて俺は医療室を出た。
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