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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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痛いのは一瞬、辛いのは一生

隠し通路は確かにあった!
尤も、私は最初から知っていたけどね。
更に言えば、この先の牢屋には本物の王様が幽閉されているはず…
薄暗い通路に目を凝らして見ると…ほ~ら、牢屋が2つありますわよ!

先頭を歩くお父様(正確には、先頭を歩いているのはあのゲス野郎)が振り向き、みんなに目で合図をする。
アルル様が慌てて最後の鍵で牢屋を開け、中を確認すると…
「へ、陛下!?」
さっき助けた元兵士さんが、目の前の死に損ないを見て『陛下』と叫ぶ。
「陛下って…この国の?」
気持ちは分かる…
さっき程見た贅肉デブと、この骨皮筋エモンとでは似ても似つかない!
Before→Afterにも限度がある!

「やっぱり玉座に居るのは偽者か…だからラーの鏡の事を聞いて、恐れたんだな!ラーの鏡で正体を暴かれたくないから…」
よし!よくぞ言いました!
正体暴いてイオナズン♪何でもかんでもイオナズン♪
オラ、ワクワクしてきたゾ!
「ではではお父様!ラーの鏡を使って、アイツの化けの皮を剥がしちゃいましょう!そうしたら『イオナズン』でぶっ飛ばしちゃっても良いですか?」
「………あの偽者だけだよ…ぶっ飛ばしても良いのは」
「は~い!」
ちぇ~っ!ものっそい物足りないけど、言う事を聞きましょうか!

「…カンダタ済まないが、このオッサンを担いでくれ。とても自力で歩けそうにないからな!」
あれ?聞いてた?
その人、この国の国王様なのよ!
何で『オッサン』呼ばわりするの?
つか、良く考えたら…このオッサンも国王だったわね…
その死に損ない以上に、そうは見えないけども…


さて…
本物王を救出し、通路を奥へと進んで行くと…
何時の間にやら袋小路!
でもでもちゃんと出口はあって、天井に向けて階段が設置されている設計なのです。
薄暗いのでとっても見にくい不親切設計!

お父様が階段を登り、とっても重そうな鉄扉を力任せに押し開ける。
因みに、あのゲス野郎越しなので、さびた扉が軋む音と同時に骨の砕ける音が響いてる。
ついでに悲鳴もね♥
「ぎゃー!!いでででででで!!!!!痛ってば!!」

お父様はそんな悲鳴を一切気にせず、天井に水平に取り付けられた鉄扉を開けきった。
ゲス野郎の両腕と両肩は、見るも無惨に複雑骨折。
今日はお父様の素敵さに、ヌレヌレですわ!

「シュールだな…牢獄を抜けると其処は墓地!」
お父様は外へ出て呻くゲス野郎を捨てると、辺りを見回し呟いた。
「いて~よ~………」

「まさか墓地に続いているとは…」
誰もゲス野郎を心配する人は居ない…
良心的なアルル様ですら、シカトこいてるこの状況。
「くそー…いて~…」
それでも尚、このゲスの呻きは止まらず苛つきが募る我々。

「うるせぇ!今治してやるから黙ってろ!」
え!?
治しちゃうの?
「ベホマ」
お父様はゲス野郎のグニャグニャな腕を、あり得ない方向に曲げながらベホマで治療した。

つまり…この男の両腕は、一生使い物にならないのだ!
もし使える様に治そうとするのなら、今回くっついてしまった骨を、寸分違わずに同じ所を骨折させて、正しい位置に治してから治療しなければ両腕・両肩とも動かない…今の状態だと、神経や筋組織が連動しないからだ。

「ひでぇ………」
カンダタの呟きが聞こえてくる…
ヌルい事言いやがって!
このゲスは、フィービー達にもっと酷い事をしてきたんだ!
因果応報!

「酷くない!この男はマリーを犯そうとしたんだ!殺してやりたいけど、勘弁してやったんだ!命ある事を喜べ!」
はぅぅぅ………
お父様ってば、格好良すぎですぅ………
今、お父様にエッチさせろって言われたら、喜んで股を開いちゃうわね。
ゴメンねウルフちゃん…貴方の事も愛してますわよ。

「リュカさん、そいつどうするの?出来れば、フィービー達の元には連れて行きたくないんだけど…」
おや?
マイダーリンが、怖い顔してこのゲスを睨んでるわ…
もしかして、私に手を出そうとしたので、怒っちゃってますか?

「…ウルフはどうしたい?」
「…俺は……俺はコイツをこ「ウルフ様!」
私は嬉しくなってウルフちゃんに抱き付いた!
同時に、これ以上怖い顔をしてほしくなかったので、『私は貴方の虜です』って、オッパイを押し当ててアピールしちゃった♡
「ウルフ様にはそんな怖い顔は似合いませんわ!私は優しい顔のウルフ様が大好きですぅ!この(クズ)は、こんな腕では碌な人生を送れませんわ…だから放っておきましょうよ、ねっ!?」
私はウルフちゃんの瞳を見つめながら、可愛らしく小首を傾げて見せた。
「………う、うん…分かった…マリーがそう言うなら…」
うん。素直で良い子ね!

「と言うわけで、コイツは此処に捨てて行きましょう!………でも、フィービーさん達の秘密の隠れ家まで付けられたら厄介ですから……お・と・う・さ・ま♥」
私は可愛く笑顔でお父様にサムズアップしてお強請りする…そして笑顔を消すと同時に、親指を下へと向けて素敵な合図!

以心伝心とはこの事だ!
完璧に連動した私とお父様…
お父様は合図と同時に、ドラゴンの杖を勢い良く振り下ろし、蹲るゲス野郎の両足の骨をコナゴナに粉砕する!
(ゴキャ!)
「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」
静かな墓地に響き渡る汚い悲鳴。
ちょっとちょっと…
安眠妨害ですわよ!
此処には永い眠りについてらっしゃる方が、大勢居られるのですからね(笑)

等と、お馬鹿な事を考えていたら、マイダーリンがゲス野郎に近付き、折れた両足にベホイミを唱えましたわ。
私の愛しい彼は、心優しいのね!って思ったら…折れたままの状態での治療!
あ~ぁ…コイツ二度と歩けないわ!
まぁいっか!
そんな事より、一旦フィービーの元へ戻りましょう。
死にそうなオッサンの手当もしなければならないし…
一応王様だからねぇ…



 
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