FAIRYTAIL-ダークブリングの力を操りし者-
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第五話 フェアリーテイル
前書き
この話は凄い短い
眼を覚ますと、眼前には綺麗な青空が広がっていた。前の世界のときは中々青空だけを見れることなどなかった。少なくとも東京ではお目にかかれなかったので少し感動してしまった。
……何故か身体が重く感じ目線を自身の右腕に向けるとエルザがしがみ付いていた。一瞬動揺するも、すぐ近くにあるエルザの顔をまじまじと見てしまう。
綺麗な緋色の髪が肩口まで伸びており、整った顔立ちは誰が見ても美少女だ。将来は凄い美人になるであろうことが容易に想像できる。しかし、右眼につけてるガーゼを見ると痛々しい。恐らく楽園の塔で戦ったときに負傷したのだろう。そこでふと左目も見てみると。
――涙のあと、か
これを作った原因は間違いなくあの蒼ガキ、いや、今思えば恐らくあいつがジェラールという奴なのだろう。牢屋にいた頃、エルザとの他愛もない会話によくでてきていた奴の外見の特徴と一致している。
蒼い髪と目元付近の刺青。こんな特徴のやつそうそういないよな?……いないと信じよう。洞窟で会ったときはあまりにも【RAVE】に登場するジークハルトに似すぎてて、この情報をド忘れしていたが。
しかしエルザとの会話に出てきたジェラールという男は正義感が強くリーダー的存在で皆からも頼られている人物らしい。だとすると、正義感という部分以外は納得できる。洞窟から外へ出たとき見たあいつのリーダーシップは物凄いものがあった。しかし何故いきなりエルザを邪魔者扱いし殺そうとしたのか。
(まったく理解できないな。……それにエルザにも直接は聞きにくい)
信頼し信用していた相手なのだろう。裏切られたのは辛いに決まってる。それを無理に聞き出すことはないか。とりあえず、エルザの心がある程度安定してからだな。
しかし、これからどうするか。憑依するときにもらった知識はDBについてと言語のみだ。
ただ、たまに戦闘している最中やDBの練習をしているときにも知識らしきものが流れ込んでくるのだが、それはもらった知識というよりか最初から自分が持っていた知識のような気がする。いや、こんな知識俺は持っていないのだが。……自分で何を言っているかわからなくなってきた。
とにかくこの世界の一般常識などはわからずじまい。ここがどこかすらもわからないし予測もつかない。フェアリーテイルを読んでいれば、もしかしたら多少の地形の把握ができたのかもしれない。前作のRAVEでは確か一部分ではあったが、その世界の地図が描かれていたはずだ。まぁ原作知識があったとしても、かなり読み込んでもいないかぎり地図などすぐに忘れてしまっているだろうから意味はないのだが。
これからのあれこれを考えていると、もぞもぞと俺の右腕を枕に寝ていたエルザが未だ眠そうではあるが起きた。少しボーっとしているのか眼の焦点が合っていなかったがすぐに元に戻った。そして現状を把握したのか、顔を真っ赤に染めながらも慌てだした。
「あ、ああうあう、こ、これはその違うんだ! えっとその」
「何がどう違うのかよくわからないが、おはよう」
「あ、ああ、おはよう」
俺の右腕を枕にしてたことが恥ずかったのか。どもりながらもきちんと挨拶してきたのはさすがだ。しかし、やはりエルザも年頃の女の子だったか。……なんかおじさんっぽいな、俺。
エルザはまだ恥ずかしいのか、下に俯いている。これからのこともあるし、話のきっかけとしてこれからどうするかを聞いてみるとするか。
「これからどうしようか。生活するにもお金がないんじゃ話にならないし」
「あ、あぁ、それなら私に考えがある」
「へぇ、どうするんだ? もしよければ俺も着いて行っていいか?」
「もちろんだ。私もルシアがいれば心強い。そうだな、ルシアはギルドというのを知っているか?」
「ギルド? 名前だけなら聞いたことはあるが、詳しくは知らないな」
まさかギルドだなんて単語がでてくるとは思いもしなかった。しかしギルドか、ちょっと楽しそうだな。少し前までは高校三年生だった現代っ子の俺からしてみれば興奮度が急上昇だ。しかし、さっきから違和感を感じるんだが……何故だろう。
「まぁ一種の組合みたいなものだ。そこでいろいろと依頼を受けて生計を立てることができるらしい。私も人づてで聞いたから詳しくはわからないが、ギルドと言ってもいろいろとあるらしい」
「なら、まずいろんなギルドの情報収集から始めるとするか」
「いや、その必要はない。ロブおじいちゃんから勧められたギルドがあるんだ」
あぁ、今さっきから感じている違和感に気がついた。いや、何故今まで気がつかなかったのだろう、俺は。そう、違和感の正体はエルザの口調だ。エルザの口調が初めて会ったときに比べてかなり変わっている。……何か心境の変化があったのだろう。恐らくは楽園の塔のときに。ならば口調に関しては触れずにいるのが最良だろう。とりあえず、俺は疑問に思ったことを聞いた。
「ロブおじいちゃん?」
「……私を庇って亡くなった人だ。その人がかつて所属していたギルドに行こうと思っている。自分の名前を言えば入れてくれるだろうってロブおじいちゃんが言っていたよ」
しまったな。よほど、親しい間柄だったのだろう。目に見えて落ち込んでいくのがわかる。何か力になってやれればいいのだが、かけてあげる言葉が見つからない。ならばと俺は震えているエルザを優しく抱きしめる。
「あっ……」
「初めてエルザと会ったあの時と逆になっちまったな。……大丈夫、大丈夫だから」
人肌は落ち着きをもたらしてくれる。親しい人との繋がりがなくなってしまったときは特に。
「……ありがとう。ルシアが共に居てくれるなら私も安心だ」
エルザの身体の震えが止まったのを確認すると、俺はこの雰囲気を吹き飛ばすために、柄にもなく陽気な感じで言葉を発した。
「では、さっそくその目的のギルドへ行くとするか!」
「ふふっ了解だ」
とりあえず今現時点で自分たちがどこにいるかを知らなければならないため、町を探すことにした。そこで短期で働いて、当面の生活費やら地図などを購入しなければならない。そうじゃないと目的地に着けるはずもないからな。……馬車か何かで目的地へ一気に連れて行ってもらえればかなり楽なのだが。
「おっと、大事なことを忘れてた。目的のギルドの名前を知らなきゃどうしようもないからな。何て名前のギルドなんだ?」
「あぁ、確か【FAIRY TAIL】 フェアリーテイルという名前だ」
「…………フェアリーテイル」
原作知識を知らない俺だけど、この名前を聞けば馬鹿でもわかる。
何の因果か神の悪戯かは知らないが、どうやら俺はこれから原作に介入するらしい。
後書き
に、日刊ランキングでまさかの三位。((((;゚Д゚))))
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