スーパー戦隊総決戦
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第十六話 最後の戦士その三
「その通りだ」
「わかったぞ。では今からじゃな」
シタリは彼等のその言葉に頷いて述べた。
「行くとするか。その滋賀にな」
「はじめるとしよう」
パルジファルの右手に何かが出て来た。それは。
槍であった。外見はただの質素な槍である。しかしそれがただの槍でないことはやり自体から放たれる厳かな雰囲気から明らかであった。
そしてだ。その槍を見てヒカルが言った。
「ロンギヌスの槍もここで」
「この槍には多くの力がある」
槍をゆっくりと円を描くように動かせながらの言葉だ。
「その中の一つを使わせてもらう」
「それで僕達を滋賀に」
「全ては一瞬だ」
それで終わるというのである。
「では行ってもらう」
「何か聖杯城の王様って」
「凄くない?」
「だよなあ」
皆槍一本で全員を動かすという王に対して素直に驚いていた。
「それが聖杯城の王様なんだ」
「これは凄いっていうか」
「私達より全然上だし」
「私達にも匹敵しますね」
スフィンクスが冷静に述べた。
「いや、ン=マ様ですら」
「そうよね。こんな力あるなんて」
「あるなんて」
ナイとメアも顔を見合わせて話す。
「私達でも勝てないかも」
「勝てないかも」
「ところで君達バンキュリアにはもう戻らないの?」
ワイバーンはこのことに突っ込みを入れた。
「ずっと二人に分かれたままだけれど」
「気が向いたら戻ります」
「戻ります」
こうワイバーンに答える彼等だった。
「何時でも戻れますから」
「戻れますから」
「安心して下さいね」
「下さいね」
「それはわかったけれど」
今度はスワンが首を捻りながら二人に言ってきた。
「君達って元に戻ったら性格全然違うんだけれど」
「頭の出来まで違ってるしな」
まほろはこれを言った。
「ほんまに同一人物なんか?」
「そうよ」
「そうよ」
二人はそうだというのである。
「何なら今ここで合体してみせるけど」
「合体してみせるけれど」
「ああ、はじまったな」
そんな話をしている間にだった。パルジファルが儀式に入った。
槍を静かに円を描かせる。それにより皆白い光に包まれて。
光が消えたその前には巨大な湖があった。そこは。
「琵琶湖だよなあ」
「ああ」
「紛れもなくな」
誰が見てもであった。琵琶湖に他ならなかった。パルジファルの言葉は偽りではなかった。
「本当に一瞬で着いたし」
「もうびっくり」
「そしてだ」
ここでまたパルジファルの声がした。見れば彼は湖の上に浮かんでいる。それは現実では有り得ない筈だが彼がしていると頷ける姿であった。
そしてその湖に浮かんだままでだ。戦隊の面々にも敵達にも言うのだった。
「では今からだ」
「今からですね」
「何かするんですね」
「この世界に戻るがいい」
またあのロンギヌスの槍を出しながら言う。右手に握られているそれはマントから出たように見える。今度はそれを前に出してそのうえで、であった。
その槍の光が静かに湖の上を照らした。そしてそこから。
白い服の男が出て来た。凌駕がその彼を見て思わず声をあげた。
「仲代先生!?」
「はい、間違いありません」
アスカも彼を見て驚きの顔で言う。
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