スーパーヒーロー戦記
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第43話 立ち上がれ!不屈の戦士達
グレートマジンガーが出撃した頃とほぼ同時刻。ダブルライダーは新たな怪人【カメバズーカ】を相手に苦戦を強いられていた。
「ガハハッ! 踊れ踊れ仮面ライダー! 貴様等の弱点は拳の攻撃しかない事だ! その点この俺は遠距離から貴様等を葬る事が出来る! 貴様等の命運も此処までよ!」
笑いながら尚もカメバズーカが砲撃を行う。確かに彼の言う通りだ。仮面ライダーの致命的欠点は遠距離武器がない事だ。その点を突いたカメバズーカの戦法は有効とも言える。
「だが、奴にも欠点はある」
「あぁ、どうやらあいつ次弾の発射まで少しタイムラグがあるみたいだな。それが俺達には有効って奴だぜ!」
ダブルライダーは見抜いていた。カメバズーカのバズーカ砲は確かに強力だ、だが連射が出来ないと言う欠点があった。
それはスピードを重視している仮面ライダーにとっては大いに有利な欠点である。所詮は亀、と言った所だろうか。
「行くぞ一文字!」
「おう! ひっくり返して立ち上がれないようにしてやらぁ!」
二人はチャンスを待った。攻撃のチャンスはカメバズーカが砲撃を行ったその直後だ。
「これ以上遊んでいるつもりはない! 死ね! 仮面ライダー」
カメバズーカの背中から砲撃が発せられた。ダブルライダーは再びそれを避ける。カメバズーカが次弾を発射しようとした時、その時にはダブルライダーは既にカメバズーカの目の前に居た。
「何ぃ!」
「貴様のモウ一つの弱点、それは近距離でその砲弾を使えない事だ!」
「生憎だったなぁ。てめぇにも欠点はあったいたいだな」
ダブルライダーの拳が放たれる。その拳を食らったカメバズーカの巨体が倒れる。
「ぐおぉっ、馬鹿な! 次の発射の数秒の間に此処まで接近するだと!」
「俺達のスピードを舐めたツケが回ってきたようだな」
「覚悟しな亀野郎! 今まで躍らせてくれた分たっぷりお返ししてやるぜ!」
***
その頃、カメバズーカと別行動をとっていたハサミジャガーはデストロンアジトの跡地を捜索していた。情報によればこの施設内で風見志郎を目撃したとの情報が入ったのだ。
首領から風見志郎抹殺を命じられたハサミジャガーは何としても風見志郎の首を持ち帰ろうと躍起になっていたのである。
「流石に此処まで瓦礫の山になってしまっては風見の首を取ると言う事は出来ないか」
首を得られないと言うのであればこれ以上無駄に時間を費やす必要はない。急ぎカメバズーカの援護に戻った方が良さそうだと判断した。
だが、そんな時であった。
「待て、ハサミジャガー!!」
「む!」
背後から声が聞こえた。振り向くと其処には探していたハサミジャガーが探していた風見志郎が立っていたのだ。
「風見志郎! わざわざ自分から殺されに来るとはなぁ!」
「ハサミジャガー! 俺は風見志郎ではない! 風見志郎は既に死んだ!」
「何だと!?」
「今からその証拠を見せてやる!」
そう言うと風見志郎は構えた。その構えは1号の構えと2号の構えを合わせた様な構えであった。
そして志郎が叫ぶ。
「変、身! ブイ、スリャァァ!!」
志郎が叫ぶと、その腰には二つの風車の取り付けられたベルトが現れる。二つの風車が高速で回転し、体全体にエネルギーが回ってくる。そのエネルギーを纏ったまま、志郎は空高くジャンプした。
志郎の姿がみるみる変わっていく。その姿は赤いマスクに白いマフラーをし、緑のボディをした全く別の姿の仮面の戦士だった。
「か、仮面ライダーだと!?」
「そう、俺は仮面ライダー3号! その名も仮面ライダーV3だ!」
風見志郎、嫌仮面ライダーV3は名乗った。その言葉を聞いたハサミジャガーは一瞬たじろぐ。新たな仮面ライダーの出現に驚愕したのだ。
「お、おのれぇ! 仮面ライダーV3よ、この俺のハサミの前に死ぬが良い! シザァァァァァス!」
「行くぞハサミジャガー! 俺の家族の仇、とらせて貰う!」
V3がハサミジャガーに飛び掛る。強烈な蹴りが放たれる。それを食らったハサミジャガーは苦痛にのた打ち回りながらやたらめったらにハサミを振り回す。そのハサミを掴み両手の物を全て根元から叩き負ってしまった。
「ぐわぁ!」
「これで貴様のハサミで殺される者は居なくなったな!」
「おのれ、おのれぇぇぇ! こうなれば俺と共に死ねぃ!」
「死ぬのは貴様だけだ!」
迫り来る怪人を指差し、V3は空高く飛翔する。空中を舞うように飛び回り、ジャガー目掛けて急降下キックを放った。それを食らったジャガーは何とか耐え切る。しかし、その目の前でV3は更に空中で回転を加えて飛び込んできた。
「食らえ! V3キィィィック!」
反転の勢いを加えた更に強力なニ発目の蹴りが叩き込まれた。それを食らったハサミジャガーも溜まらず吹き飛ばされる。体中から火花を撒き散らし最早立ち上がる力すらない。
「終わりだ、ハサミジャガー!」
「フフッ、フフフッ、馬鹿め、終わりなのは貴様等の方だ! 今ダブルライダーと戦っているカメバズーカの体内には超強力な水素爆弾が内臓されているんだ。あれが起爆すれば日本は終わりだ!」
「何だと!?」
「最期に笑うのは我等デストロンよ! デストロンに、栄光あれぇぇぇぇ!」
断末魔の叫びを上げた後、ハサミジャガーは爆発した。残骸が残るジャガーをV3は黙って見ていた。
「ハサミジャガー。お前はとんだ墓穴を掘ってくれたな。俺は改造された事によりダブルライダーと脳波で繋がっているんだ。今の貴様の言葉は一言も漏らさずダブルライダーに届いたさ。貴重な情報を感謝するぞ」
風見志郎こと仮面ライダーV3は改造手術を受けた事によりダブルライダーと脳波でリンクする事が出来る。従って、V3が聞いた情報、見た情報をそのままダブルライダーに送信する事が出来るのだ。
「急ごう。何か悪い予感がする」
胸に巣食う黒いもやを振り払うかの様に仮面ライダーV3は自身のマシンであるハリケーンに跨り道を急いだ。何か悪い事が起こる予兆ではないのか。
そんな思いが志郎の脳裏から離れなかったのだ。
***
力尽き、倒れたマジンガーZの周囲を謎のロボット軍団が取り囲んでいた。既にマジンガーZには闘う力も立ち上がる力も残っていない。そんなZの前に斧を持った獣魔将軍が立っていた。
「暗黒大将軍! ご覧になっておりますか? 只今この獣魔将軍がマジンガーZの首を帝王様に捧げます!」
天空に向って叫ぶ。そして斧を大きく振りかぶる。狙うはマジンガーZの首である。
「マジンガーZよ! その命を暗黒大将軍様に捧げられる事を光栄に思いながら死んでいくが良い!」
勝ち誇った声で叫び、斧を振り下ろそうとする。だが、その時であった。
”待てぇぇぇい!”
突如声がした。その声を聞き、斧を持っていた手が止まる。
「な、何だ! 何処から声がした?」
ロボット軍団達が声の主を探す。だが、何処にも見当たらない。
「あぁ、獣魔将軍! あそこに」
「何?!」
幽霊型の敵が指差した場所。それは切り立った崖の上であった。其処に一人の青年が腕を組んで立っていたのだ。
青年は淡々と語り始める。
”愚かな者達よ、キサマらには決して勝利は来ない!
たとえ殺されようとも、悪に屈しない心! それがやがては勝利の風を呼ぶ・・・。
人、それを・・・【凱風】という!”
「生意気な事を! キサマは何者だ!」
獣魔将軍が青年を指差す。それに対し、青年は睨みを利かせて答えた。その瞳には悪を許さない熱い闘志が宿っていた。
”貴様等に名乗る名前はないっ!”
青年が言い放つと、手を天空に翳す。眩い光が現れ、其処から一本の剣が姿を現した。
「剣狼よ! 勇気の雷鳴を呼べっ!」
剣狼を天空高く掲げる、其処へ一筋の雷光が放たれる。雷光は青年を包み込み、やがて青い体の巨人へと姿を変える。
何処からともなく声が聞こえてきた。
【光のエネルギーが頂点に達すると、剣狼は次元の壁を越えて、ケンリュウを呼び寄せるのである。
ロムは、ケンリュウと合身することにより、その力を数十倍に発揮する事が出来るようになるのだ!】
「闇あるところ光あり・・・悪あるところ正義あり!
天空よりの使者! ケンリュウ、参上っ!」
剣狼を手に青い巨人、ケンリュウが現れる。ケンリュウは飛翔し、マジンガーZの前に立つ。
「おのれ! 我等ミケーネ帝国の邪魔をすると言うのか?」
「生きとし生ける者を殺す悪党よ! 例え神が貴様等の所業を許したとしても、この俺が許さん! 正義の名の下、貴様等に天誅を下す!」
「ほざけ! たった一人で何が出来る! マジンガーZ共々奴を叩き潰せ!」
獣魔将軍が号令を掛ける。一斉にロボット軍団がケンリュウ目掛けて押し寄せてきた。
「天空宙心拳・卍拳!」
一瞬の出来事であった。一瞬の内に押し寄せていたロボット軍団が吹き飛ばされたのだ。ケンリュウが目にも留まらぬ速さでロボット軍団を殴り、蹴り飛ばしたのだ。
「おのれぃ、何をぐずぐずしているのだ! さっさと片付けろ!」
苛立ちを隠さず獣魔将軍が怒鳴り散らす。だが、その時、天空から雷鳴が響き渡った。その雷鳴はまた別の方の崖の上に落ちる。そして、其処にはまた別の巨人が居た。
「な、何いぃ!」
「あれは…マジンガーZ、嫌違う!」
その姿に獣魔将軍達は勿論ロムも驚いた。其処に居たのはマジンガーZに良く似ていたロボットだったからだ。
巨人は雷光を天空に翳した腕に集める。そしてそれを放った。
「サンダァァァブレィィィク!」
集めた腕から凄まじい稲妻が発せられた。斜線上に居たロボット数体がそれに巻き込まれ爆発した。
「おぉっ、暗黒大将軍様が選りすぐった精鋭が! キサマ何者だ!」
「お前達墓場から蘇った亡霊共を再び地獄に叩き落とす為に目覚めた偉大な勇者だ!」
そう言い、その巨人は獣魔将軍の前に舞い降りる。
「君も一緒に闘ってくれるのか?」
「こんな奴等俺一人で充分だ! 余計な手出しをするな!」
ロムの言葉に巨人の操縦者はつっけんどんに返す。どうやら余り親しみは良くないようだ。
「そうはいかん。正義の為に俺も共に戦わせてもらう」
「勝手にしろ」
そう告げると巨人とケンリュウは戦闘を開始した。突如現れた巨人の強さは圧倒的であった。襲い来る敵ロボットを次々と蹴散らしていくのだ。
逆に敵の攻撃はその巨人には全く通じない。恐ろしい限りであった。
「くっ、このままでは! ダンテよ、お前はマジンガーZにトドメを刺せ!」
「承知致しました!」
「そうはさせんぞ!」
動けないマジンガーにトドメを刺そうとダンテが向う。だが、その前にケンリュウが立ちはだかった。
「邪魔だ、退けぃ!」
ダンテが持っていたソーサーを投げつける。しかしそれをケンリュウは持っていた剣狼で真っ二つに切断した。
「おのれぃ、ならばこれでも食らえ!」
ダンテの体から猛烈な突風が吹き荒れた。それを全身に食らったケンリュウも流石に身動きが取れない。
「ハハハッ、このまま朽ち果てるが良い!」
「悪党共! 覚えておくが良い! 貴様等に決して勝利は来ないことを!」
ロムはそう言う。そして、念じるかの様に言葉を発したのだ。
”天よ地よ、火よ水よ、我に力を与え給え…”
ケンリュウの体から眩い光が発せられる。凄まじいエネルギーであった。そのエネルギーの前にダンテの放った突風はすぐに掻き消されてしまった。
そしてロムは叫んだ。
「パァァァァァイルフォォォォォォメイション!!」
再び何処からとも無く声が聞こえてきた。
【ロムの意志を受け、剣狼が空中で光となり、
時を超え次元を超え、バイカンフーへのパイルフォーメーションは完成する。
バイカンフーは地上全てのエネルギーとシンクロし、自然現象さえも変えるパワーを生み出す事が可能となるのである!】
青いボディのケンリュウから、赤く更に大きく雄雄しき巨大なロボットへと変貌した。それこそもう一つの姿であった。
その名も…
「バァァァァイ、カンフゥゥゥゥッ!!」
ダンテの前にパイルフォーメーションを終えたバイカンフーが姿を現す。その巨体とその凄みにダンテはたじろぐ。
「くっ、此処で屈してなる者か! 死ねぃ!」
「悪霊よ! 地獄の海へと帰るが良い! ゴッドハンドスマァァァッシュ!!!」
ダンテの幽体に向かいバイカンフーの鉄拳が叩き込まれた。それを食らったダンテの顔が苦痛に歪んでいく。
「ぐぎゃぁぁぁぁっ!」
「成敗っ!!」
拳を引き抜いた直後、ダンテの体は眩い光に包まれ、やがて消滅した。残ったのはもう獣魔将軍ただ一人である。
「残るは貴様だけだな! 覚悟を決めろ!」
「ほざけ、貴様等などワシ一人で充分よ! 死ねぃ!」
獣魔将軍が口から火炎を放つ。だが…
「往生際が悪いぜ! グレートタイフーン!」
「天空真剣・真空竜巻!」
二人の巨人から放たれた猛烈な突風が放たれた炎を獣魔将軍へと送り返す。その炎は獣魔将軍の体を焼き尽くし、火達磨にしてしまった。
「ぐわぁぁぁぁっ!」
「地獄へ帰れ! ミケーネ!」
「これが正義の力だ!」
燃え盛る体に双方の持っていた剣が突き刺さる。毒々しい色の血を噴出しその場に倒れこむ。
「これでトドメだ! ブレストバーン」
「天空真剣・爆裂空転!」
黒い巨人からは赤い熱線が、バイカンフーからは光り輝く光線が放たれ、燃え盛る獣魔将軍の体を粉々に粉砕した。轟々と燃え盛る炎の中、暗黒大将軍の姿が映し出される。
【おのれぃ! だが、この程度で我等ミケーネ帝国七つの軍団はビクともせん。いずれキサマと雌雄を決してくれる!】
暗黒大将軍の姿が消えると同時にその炎も急速に納まっていった。
戦いは終わった。新たに加わった戦士の力により、戦いは勝利に終わったのだ。
***
バイカンフーに担がれながら、甲児とマジンガーZは目の前に立つ黒い巨人を見た。
「強い、君のロボットは何て言うんだい?」
「こいつの名前はグレートマジンガー。マジンガーZの兄弟さ」
「兄弟だって?」
「俺の目的はミケーネ帝国を叩き潰す事だ。また何時か会おうぜ。マジンガーZ」
「ま、待ってくれ! グレートマジンガー!」
甲児が叫ぶもその言葉にグレートマジンガーは耳を貸さず飛び去ってしまった。
強い。その言葉が脳裏から離れなかった。あのロボットは強い。自分が全く勝てなかったミケーネ帝国のロボット軍団をあっさりと片付けてしまったのだから。
「グレートマジンガー…お前は確かに偉大だ。それにしてもあんな凄いロボット…一体誰が作ったんだ?」
甲児は仕切りに疑問に思った。だが、分からないのは分からない。仕方なく話題を切り替える事にした。
「それにしても、またあんたに助けられたなロムさん」
「気にしないでくれ。正義の為に共に戦っただけだ。だが…俺がもう少し早く駆けつけていれば…」
ロムの顔が俯く。それに連動してバイカンフーの顔もまた俯いた。
「良いさ、あんたらが来てくれたお陰で人類は滅びなくて済んだんだ。有難うよ」
「あぁ、ん?」
ふと、ロムが頭上を見上げる。其処には遥か上空から一隻の戦艦が降りてきた。
見覚えのある戦艦であった。
「あれは…アースラ! リンディさんやフェイト達も来てくれたのか!」
「その様だ。どうやら俺が居なくても大丈夫なようだな」
ロムはそう言うとマジンガーZから離れる。
「もう行っちまうのか?」
「えぇ、この世界以外にも悪に苦しんでいる人達は居ます。俺はその人達を救う為に戦っているんです」
「凄いなお前…頑張れよ!」
「そちらこそ」
バイカンフーは頷き、すぐさまその場から消え去ってしまった。相変わらず風の様な男であった。
それと入れ替わりでパイルダーのモニターに映像が映りだす。
映ったのはリンディ艦長の顔だ。
【甲児君! 遅れて御免なさい。今助けに来たわ】
「ははっ、遅いですよリンディさん。もう戦いは終わっちゃいましたよ」
焦った顔で言うリンディに対し甲児は笑いながら言った。何とも間の抜けた会話であった。
すると、戦いの緊張が抜けた甲児はある疑念を抱いた。
(なのはの奴…峠を越したかなぁ)
甲児にとってもう一つの心配の種でもあった。すると、目の前のモニターにまた別の顔が映った。
フェイトであった。
【甲児さん、なのはは、なのはは大丈夫なの?】
「そ、それが…」
甲児は包み隠さずに話した。フェイト達が地球を離れた数日の間に起こった事を。そして、自分が経験した事を…
つづく
後書き
次回予告
人類は滅びの運命から逃れる事が出来た。
だが、それは戦いの終わりではなく新たな戦いの始まりを知らせる事にもなった。
だが、今は人類に束の間の休息が与えられる。
次回「それぞれの道」お楽しみに
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