木の葉芽吹きて大樹為す
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
萌芽時代プロローグ
前書き
にじファン投稿の物をそのまま転載しました。
サブタイトルに変更はあっても、内容の変更はありません。
向かい合う壮年の男性と、未だ幼い子供。
板張りの床に座している神妙な様子の男性と子供を中心にして、数名の大人達が二人の様子を見守っていた。
「お主は本日より数えで七つ。我が一族では仕来りにより、七歳を過ぎて初めて名を与える事を知っておるな?」
「はい」
男性が厳めしいが、慈愛の滲んだ声で子供に声をかける。
床の上に正座していた子供が、声をかけられ、凛然と返事をした。
「良い返事だ。今日を持って、お主も一族の正式な一員として認められる事となった。父よりお主に授ける名だ。――受け取るが良い」
「はい、父上。感謝致します」
小さな手が、男性から渡された巻物を慎重に受け取る。
鮮やかな明け色の紐を躊躇いなく解き、子供はゆっくりとした手つきで巻物を広げる。
渋い色合いの和紙に、黒々とした墨で記された文字。
男性的な勇壮かつ雄大な勢いで記された漢字二文字を見つめて、子供は初めて眉根を寄せた。
「――……父上」
「なんだ」
「これはなんと読むのですか?」
困った様に眉根を寄せながら見つめてくる子供に、男性はふ、と頬を緩める。
そうしてから、よく響く朗々とした声で宣言した。
「柱に間、と書いて“柱間”と読む。今日よりお主の名は柱間である。誉れある千手一族の一員として、日夜修行を怠る事なく、精進に励めよ」
何処か嬉しそうな男性に答える事なく、子供はただ呆然と己の名が記された巻物に視線を落としていた。
後書き
過去掲載時に何度か「どうして主人公を女性にしたのか?」という問いがありましたので、この後書にて説明させていただきます。
この話は、
・原作の初代火影、死んでからなんだかんだで滅茶苦茶不憫。
・原作知識があれば、つまり転生者であればなんとかなるのではないか?
・でも普通に男性として書いてしまったら、転生者にする意味があまりなさそう。
・それに生まれて直ぐに自分が成り代わりだと気付かれてもなんかつまらん。
みたいな考えから始まって、
・だったら女性にしてしまえば?
・これならすぐには成り代わりだと気付かないし、それに戦国最強が実は女性だったらなかなか面白いんじゃね?
みたいな、後々思い返せばかなりの悪ノリで書き始めました作品です。
でもだからといって、原作キャラとの恋愛なんて書く気はありませんので、恋愛要素は皆無です。
ページ上へ戻る