インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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完成と揉め事と趣味と後悔
「……できた」
「やった~!」
「……ふぅ」
俺たちは整備室で倒れ込む。
今度行われる大会『キャノンボール・ファスト』に間に合わせるために打鉄弐式を仕上げた。
まずはディアンルグから流用できるものはすべて流用し、打鉄弐式に合わせて調整。そしてミサイル《山嵐》の砲門48門を4回撃てるようにして、薙刀《夢現》や荷電粒子砲《春雷》の調整。これがかなり疲れるのだ。
(………これで本気を出していないなんて言ったら泣くかな~)
ディアンルグの時は10枚同時進行していたな~と思いながら俺は立ち上がる。
「とにかく、今日はもう時間も遅いし帰るか」
「うん!」
「……賛成」
寮の途中で別れ、俺は自室に向か―――
『だから! ちょっとぐらいは掃除してくれよ!』
『し、仕方ないだろう。忙しいんだから………』
―――っている途中で織斑姉弟の喧嘩が聞こえてきた。
自分の部屋に着くと、そこには少し大きめのダンボールがあった。
「……………」
この中に人が入っていて、誰が犯人かも察しがついた。
とりあえず中に入れてからドアの鍵を締めてからシャワーを浴びるために着替えを用意して―――
「―――じゃーん! 楯無お姉さん、登じょ―――」
俺が着替えている最中に出てきて、顔を赤くした。
やっぱりというか、こいつ初心だったのか。
無視してシャワーを浴び、出てくるときには既にいなかった。羞恥心もあるにはあるが、捨てようと思えば捨てれるものだ。別に結婚する気ないしな。
「………んで、お前も入るのか?」
「ええ。お言葉に甘えさせてもらうわね」
そう言ってシャワーを浴びている間に俺は別の物を作製する。
「………んで、何の用だ?」
出てきたのはわかったので声をかけると、楯無はパジャマで現れたボタンをちゃんと閉めているところから察すると、
「なるほど、ディアンルグのことを聞きたいってことか」
「それと『シヴァ』について、ね」
未だに情報を完全に開示していないディアンルグ。そして謎の少女『シヴァ』。これについては仕方ないというか、各国でも動きそうだが、今のところは学園にしか出没していないということでIS学園に在籍する代表候補生によって捜索が行われている。
「無理だね」
「なら、直接―――!?」
どうやら首筋に違和感を感じたようで、楯無が自分の首に手を当てる。
『あの条件を呑んだことが問題―――って顔をしているようね。更識家当主17代目』
シヴァの鞭が楯無の首を巻いていた。
「……やっぱり、祐人が関係していたのね」
『ええ。最初に言っておくけどどこかの国に勝手に連れていくとかするとかはダメよ』
「まぁ、そんなことした人間は五体満足で生き残れるかわからないけど。もしくは精神的にも崩壊していたりしてね」
「!?」
俺とシヴァの言葉に焦る楯無だが、あいにく俺はお前みたいな人間に手を出す気はなかった。
「もしこれ以上余計な詮索をするなら、簪と本音の命は保証できないよ」
「………(ギリッ)」
そしてシヴァに離すように指示を出すと、楯無はその場からすぐに引いた。
『マスター、盗聴機の類は全て無効化しました』
「ああ。ありがとう。みんな、見張りを頼む………」
俺はそのまま眠ってしまった。
■■■
『……で、何の用?』
簪はシヴァによって尋問を受けていた。
簪が持っているのは明日の着替えと授業の用意だった。それをピッキングで入ってきたので何事かと思ってシヴァが尋問したのである。
「……祐人と……一緒に寝たくて……」
『一応、ボディーチェックさせてもらうわね』
「う、うん……」
そしてシヴァはボディーチェックと称して色々と触った。胸とか、足とか……。途中で我慢できなくて簪は喘いでしまったが、肝心の祐人は爆睡していた。
『せっかく美少女を喘がせたというのに、これは相当重症ね』
「確信犯……。ところで、何かあった?」
『元々久々に疲れたから爆睡しているんだけど、あなたのお姉さんが来てね』
「お姉ちゃんが?」
『ええ。ほら、あなたも代表候補生だから指示が来てるでしょう? 私の捜索とかディアンルグの性能とかね』
「う、うん。打鉄弐式の技術がそれに応用されているから一度回収されるかもしれない」
『それを祐人が聞いたら日本政府を終わらせるかもね』
「………本当に?」
『ええ』
この時、少し簪の顔は引きつっていた。
『話を戻すわね。この時に本格的に動いてきたけど私が止めて、祐人があなたと本音を殺すと言ったのよ。あー、安心しなさい。どうせ極悪非道のことをしても監禁してあなたは浴衣、本音には動物のコスプレしかさせないでしょうから』
「え……? それって………」
『簪のは祭りの衣装、本音はいつものパジャマか完璧の趣味ね』
「……………」
この時、簪は自分の胸を見たとか見なかったとか……。
『まぁ、安心しなさい。少なくとも胸で判断しないわよ。するなら同情と優しさと調教ね』
「……最後の一つ、多い」
その後簪は寝るのだが、翌日目を覚ました祐人は簪が肩を揺するまで動いていなかった。
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