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ヘタリア大帝国

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TURN53 ハワイの戦いその六

「それが一番効果的です」
「一瞬でも遅れても早くても駄目なんだな」
「そうです」
 まさにその一瞬のタイミングだというのだ。
「やれますか」
「やれないって言うと思うのかよ、この俺が」
「私もです」 
 田中だけではなかった。〆羅も言う。
「やれないで提督になれるかよ」
「その一瞬、やってみせます」
「そうでなくてはなりませんね」
 エルミーも二人の言葉を受けて静かに頷く。
 そのうえで敵の先陣を見据えてこう言ったのである。
「潜水艦に乗っているのなら」
「じゃあな、その瞬間にな」
「見事撃ってみせましょう」
「それではです」
 エルミーは二人の言葉を受けた。そのうえで照準を合わせる。
 ガメリカ軍の先陣は彼等には気付いていない、コロニーにその神経を集中させている。その隙にだった。
 コロニーを撃とうとしたその瞬間が何時かを見切った、そしてだった。
「魚雷発射!」
「魚雷発射!」
 攻撃が復唱され全ての潜水艦から魚雷が放たれる。エルミーは魚雷を放ったその直後に田中と〆羅に告げた。
「すぐに場所を変えましょう」
「狙撃手と同じですね」
「はい、一度狙撃したならば同じ場所に留まってはいけません」
 陸上戦での鉄則である。
「だからすぐにです」
「場所を変えますか」
「そうしましょう」
「わかりました。それでは」
 こう言ってそうしてだった。彼等は。
 命中を確認することをせず場所を変えた。そして放たれた魚雷は。
 今まさにビームを放ちコロニーを消し飛ばそうとしていたガメリカ軍の先陣を撃った。忽ち戦艦や巡洋艦のいくつかが火を噴く。
「くっ、まさか!」
「日本軍か!」
「もう戦場に来ていたのか!?」
「そうなのか!」
「あれね!」
 キャロルも火を噴く自軍の艦艇を見て声をあげる。
「セイレーンね!」
「あの噂のですか!」
「インド洋でも暴れ回ったという!」
「ええ、間違いないわ!」
 キャロルは瞬時にこう見抜いた。だが。
 何処から攻撃が来たのかはわからない。それでこう言うも言うのだった。
「けれど。噂通りね」
「姿が見えませんね」
「それも全く」
「魚雷が来た方角を調べて」
 姿が見えなくともそこにはいる、そう確信しての言葉だ。
「そこに集中攻撃を浴びせましょう」
「いや、それは待ってくれ」 
 キャロルの今の命令はアメリカが止めた。それでこう言うのだった。
「スナイパーは一度撃ったら場所を変えるじゃないか」
「そういえば」
「そうだな。だから今はだ」
「攻めるべきじゃないっていうのね」
「そうだ。地点攻撃を仕掛けるつもりだな」
「隠れているのならね」
 それで攻める、キャロルはそう考えていたのだ。
 それでそう攻めつつもりだった、アメリカはそれを止めたのだ。
「攻撃を受けたんだ、それはわかるぞ」
「けれどいない可能性が高い場所には」
「攻撃を仕掛けたら駄目だ」
「じゃあどうするべきなの?」
「全軍攻撃態勢から防御態勢に入ろう」
 陣形をそれに整えるべきだというのだ。
「それで備えよう」
「じゃああのコロニーは」
「放置はできないな」
 アメリカも今彼等の目の前にいるコロニーを見ている。やはり無視はできない。
 それで彼もこう言うのだった。
「最低限の艦隊で攻撃しよう」
「それで消しちゃうのね」
「他の艦隊は防御だ」
「じゃあどの艦隊に攻撃をさせるの?」
「イザベラがいいんじゃないのか?」
 アメリカが推したのは彼女だった。
 
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