インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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戦いの裏の出来事
祐人が暴れている頃、シヴァとフェーニクスはIS学園にある港に到着していた。それなりに距離はあったがこの二人にはその程度の距離だと思える程。例え人間を抱えていても、だ。
その港にはあらかじめ連絡していたこともあり、オルコットとボーデヴィッヒが一夏と共に待機していた。
「何者だ?」
ボーデヴィッヒがシヴァに向けてレールカノンを向けながら問いただす。
「ブリュンヒルデからあらかじめ連絡されているでしょ。簪を連れてきたわ」
「白式のコアはどうした? 確認できないが?」
「―――それならここにある」
別の方からスーツを着たフェーニクス(人間体)が現れた。
「………今すぐ渡してもらおうか?」
「良いだろう………と、通常なら言うところだが、生憎だがこちらにも条件がある」
「……何だ?」
「少しすればこちらにさっきの敵が現れる。だが、その際は邪魔をするなということだ。もし邪魔をすると言うのなら、その時は全身全霊でお前たちを止める」
「……了解した」
ISを使えないのにどうやってと一夏を含め1組所属の専用機持ち三人が思ったが、ボーデヴィッヒはそう返事した。
シヴァは遅れてきたデュノアに簪を渡すが、その場から離れなかった。
しばらくして祐人はアラクネを纏った女と現れたが、そこから無慈悲な攻撃が続き、一夏は行こうとするがボーデヴィッヒに止められる。
そして祐人が完全に落とすと同時に祐人も落ちたことにそこに居た一同は驚くが、二人は動じるどころか助けに行こうとも思わなかった。逆に必要ないと言い張るばかりだ。それよりもさっきの操縦者を捕獲する方を優先するべきだと言い張る始末。
ボーデヴィッヒも二人が言うとおりそうするべきだといい、オルコットと組んで操縦者を捜索する過程でまた別の敵と遭遇した。
「あれは、サイレント・ゼフィルス!?」
その操縦者の手にはアラクネの操縦者が握られており、ボーデヴィッヒとオルコットが応戦するが逃がしてしまった。
■■■
―――簪side
………ここは、どこだろうか?
「―――あ、目を覚ましたんですね」
声がした方を見ると、そこには―――何故かボロボロの虚さんがいた。
「……えっと……」
「簪様はシヴァ様によってIS学園所有の港に運ばれ、特に目立った外傷がないので安静のために保健室に運ばれました」
「……そ、そうですか……」
淡々と言葉を紡ぐ虚さんはどこか苛立っているように見える。
私は今一番気になることを聞いてみた。
「あの………姉さんは………」
『―――あなたのお姉さんは現場の調査に当たっているわ』
いつの間にかシヴァが現れ、虚さんも気づいていなかったらしく驚いていた。………虚さんもかなりの手練だというのに、その虚さんを気づかせないなんて………。
「……そう、ですか……」
『ついでに言うと祐人は簪を私が保護した後にひと暴れした挙句にワンオフ・アビリティーを使用して体力尽きてそのまま海に落下。現在は医療室で昏睡状態に陥っているわ。まぁ、2,3日したら目を覚ますからすぐに隣に運ばれると思うけど』
シヴァからの説明に私は少し安堵した。けど………
『裏切られたとか、見捨てられたとか思っているならそれは勘違いよ』
「え―――?」
『それに、祐人が本当に見捨てるなら―――敵の装甲を再起不能にまで追い詰めるだけでなくそのまま海に落とさないし、ひたすら殴ったりするわけないわ』
ふと、臨海学校前に助けてもらったことを思い出した。あの時は私を助けるだけでなく車の屋根をへこませていた。
(………まさか、相手がISを装着しているからって手加減せずにボコボコにしたんじゃ………)
犯罪を犯したとはいえ、少しばかり同情してしまう。
―――ガチャッ
ドアが開かれた音に反応すると、そこには誰もいなかった。いや、既にこっちに向かって飛んできていた。
「姉さ―――」
―――ドンッ
落ちた。―――いや、叩き落とされた。
シヴァの手から鞭が舞い、姉さんを巻くと同時に床に叩き落としたのだ。いくら更職家の当主とはいえ、大丈夫かな………?
「簪ちゃん!」
「ひぃっ!?」
急に立ち上がったのはいいんだけど………怖い。鼻血を流しながらこっちを見られるとリアルだとすごく怖かった。
『痴女、鼻血拭きなさいよ』
「あ、ありがとう―――って、私は痴女じゃないわよ!」
「『……………』」
姉さんのツッコミにシヴァと虚さんは顔を背けた。
「それで……その………」
「簪ちゃん、大丈夫だった? あの女に何もされなかった?」
「された………って言ったら?」
「ちょっとその女を消しに行こうかと………」
『落ち着きなさい。目が虚ろになっているから』
私の発言で一瞬にして目が虚ろになった姉に、驚きを隠せなかった。
『まぁとにかく、今のでわかったでしょ? あなたのお姉さんは恨んでいないって』
「え? 簪ちゃん、まさかそれが原因で………」
『あ~、はいはい。そういう空気は私がいないところでやってよね。ほら虚、出るわよ』
「え、ちょ―――」
シヴァが空気を読んで虚さんと一緒に保健室から出ていった。
だから―――私は以前のようにお姉ちゃんに甘えた。
「簪ちゃん、私は一人でミステリアス・レイディを組み上げてないわよ」
「………え?」
■■■
これはどういうことだ?
(意味がわからねぇ!!)
あの戦いの後、どれくらい『一週間は寝ていました』あ、そうですか。
と、とりあえず一週間寝ていたらしく、目を覚ませば何故か更職姉妹に挟まれて寝ていたのだ。
(簪さんはともかく、痴女と一緒にって人生最大の汚点だ………)
そう思いつつも俺は起き上がり、織斑先生に懲罰されるだろうと思って移動しようとした。
「―――どこに行くつもりかしら?」
いつの間にか起きていたらしい痴女―――楯無は、何故かパジャマの姿でこっちを見る。
「織斑先生のところだ。勝手に出撃しただろうからから懲罰があるだろう。反省文面倒だな………」
「うん、その前に………簪ちゃんを囮にした件はどう弁解する気かしら?」
「相手が引っかかりそうな手段を選んだ。それに―――例え殺したら五体満足で尋問部屋に押し込んで俺が尋問するつもりだった」
「……参考に聞くけど、どのようにするつもりなの?」
「何もしゃべらなかったら死ぬ。それだけだ」
「……………」
楯無がいきなり黙った。何か不都合でもあっただろうか?
まぁいいや。今はとりあえず寮監室に向かうか。
後書き
山田先生にフラグ―――は立たないと思う。
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