魔法少女リリカルなのは〜転生者の誓い〜
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第七話・出会う転生者
「どうしてこうなった…」
現在、俺はなのはの友達のすずかちゃんの家に来て
すずかちゃんやアリサちゃんと一緒にお茶会をしている。
最初はなのはと恭也兄さんしか行かない予定だったのだが、
なのはがどうしても付いて来て欲しいというので着いて来たのである。
しかし、はっきりと言って俺は非常に浮いた存在となっている
理由は単純、俺と親しい人が一人も居ないのだ。
アリサちゃんやすずかちゃんと面識はあるが、別に特別親しいわけではない
また、恭也兄さんはやって来てすぐにすずかちゃんのお姉さんである忍さんと一緒に別行動である。
前世の頃はこのシーンを見て、
美少女のお茶会とか楽園じゃないか!
参加してー、とか思ってた訳だが
実際その立場になると居心地が悪い事この上ない。
しかも、なのはの友達というのが拍車をかけている、
往々にして兄弟や姉妹の友達とは取っ付きにくいものだ。
それが美少女ともなれば、もはや対応の仕方が分からない
そして
一番の原因は先程から絶える事の無い視線、である。
なのはたちのお茶会を邪魔しないようにと思い、壁際で椅子に腰掛けていたのだが
美少女三人組は、なぜか先程からこちらをチラチラと見ながら笑ったり難しそうな顔をしたりと・・・
要するに俺をネタというか話のタネにしているのは間違いない、
恥ずかしいやら何を言われているのか分からない不安やら
とりあえず居心地が悪いのに変わりはない。
こういう時、話し相手が一人居るだけで全然違うのだが、
一番話し相手にしやすそうなユーノは現在、この家のペットである猫から全力逃走中である。
猫屋敷とさえ呼ばれるこの家の猫の多さは尋常ではなく、
ユーノは念話さえする暇がないようだ。
「しかし、分からないな」
俺がひとりぼっちである事ではない、
なのはのことである。
こうして見る分には普通の少女にしか見えない。
とてもその幼い体と心に重い使命を背負っていると感じさせないほどに・・・
しかも、これから更に多くの困難と苦労を背負っていくのである。
兄としては心配にならざるを得ない
そして、記憶が正しければ今日はその困難の一つに出会うはずだ
どう介入すべきか・・・・・・
「ん?」
「にゃ~」
気付くと俺の足下に子猫がすり寄っていた。
「にゃ~ん」
猫はそう鳴くと、俺の膝の上に乗って来た
そして俺の顔を見つめてくる猫。
「…撫でて、欲しいのか?」
そうして恐る恐る手を伸ばし頭を撫でてみた
「…にゃぁぁ」
気持ち良さそうに文字通り猫なで声をあげる猫。
「癒されるなぁ…」
気付くと自然と口から言葉がこぼれていた。
「ここが良いのか?それともここか?」
喉を撫でると目を細めて手に顔をすり寄せてきた
・・・・・・やばい、かわい過ぎるっ!
そうして俺はめくるめく猫ワールドにのめり込んでいったのだった・・・
「むっ?」
異変が起きたのは数十分後
俺の膝の上で猫があくびをかき始めた頃だった。
強力な魔力の流れ、ジュエルシードものだ。
すぐさまなのはとユーノから念話が送られてくる
「(お兄ちゃん!ユーノ君!)」
「(なのは!みずなさん!感じましたか!)」
「(感じた、……近いな)」
なのはとユーノに念話を返す
「(でも、どうしよう…、すずかちゃんやアリサちゃんもいるし…)」
なのはがもどかしそうに念話を送ってくる。
すると
「(なのは、僕に良い考えがある!)」
そういってユーノがジュエルシードの反応がある方角に向かって走り出した。
「あっ!ユーノ君!」
「あらら、ユーノどうかしたの?」
「うん、何か見つけたみたい…、ちょっと探してくるね」
どうやら、なのはがこの場を上手く離れる為の理由作りのためのようだ
「大丈夫?一緒に行こうか?」
すずかちゃんがなのはに心配そうに聞いているが
「大丈夫だ、すずかちゃん。俺が一緒にいこう」
そう言って膝の猫を椅子の上におろす。
「そうですか、それじゃあみずなさんお願いします」
「了解!行こうか、なのは?」
「うん」
とくに問題なく誤摩化せたようだ。
俺も怪しまれずに出て行けるという点においてはむしろ僥倖とさえいえる。
そんなわけでなのはと俺はユーノの走っていった方向、ジュエルシードに向かった。
「発動した!」
「俺も感じた!」
ユーノと合流しジュエルシードに向かっているとその発動を感じた
「ッ!駄目だ、ここだと人目が多すぎるから結界を張らないと…」
ユーノが屋敷の方を気にしながらそう言った
「結界?」
「うん、なのはは見た事あるよね?最初にジュエルシードと戦った時に…」
「うん」
なのはが疑問を口にするが、どうやら見た事があったようだ
ただ俺は知らないので詳しい解説をしてもらおう
「俺は知らないけど…」
「魔力の満たされた空間と外の空間の時間進行をずらす魔法です、そして僕が少しは得意な魔法です」
俺の疑問にも律儀に答え、ユーノは足下に魔方陣を展開する。
「あんまり広い空間は無理だけどこの家の周辺ぐらいなら…」
そう言いながらユーノは結界を拡げた。
この家っていうか屋敷の周辺って十分広くないか?と俺が思ったのは余談である。
そうこう言ってるうちに少し離れたところで光が溢れ出した
俺も見た事がある、ジュエルシード発動の光だ。
・・・無言で木刀を構える。
なのはとユーノも横で身構えているのが見なくとも分かる。
そして時は訪れる。
「にゃぉぉぉぉぉお!」
あたりに咆哮が轟く・・・・・・・?
ん?にゃお?
そうしてその咆哮?をあげた生物を見ると・・・
猫。
それもとてつもなくでかい猫だった。
「うわぁ…」
俺は原作知識で分かっていたはずなのだが、アニメで見るのと実際に見るのとでは大きく違った。
正直、驚きというか呆れというか・・・
とりあえず何とも言えない気持ちになった。
なのはもユーノも同じ気持ちなのか、何とも言えない表情をしている。
「…襲ってくる様子はなさそうだし、ささっと封印を」
「そうだな、さっさと封印するか」
なのはがとりあえず封印しようと言うので肯定の意思を示す。
「それじゃあレイジングハート、お願い!」
そうしてなのはが変身しようとしたまさにその時、
それはやって来た。
黄色の魔力の弾丸。少しなのはのものより鋭そうなその一撃が巨大猫に炸裂した。
「!?」
なのはが驚愕の表情を浮かべその弾丸の出所を見上げる。
「バルディッシュ、フォトンランサー連撃…」
「Photon lancer Full auto fire.(了解、フォトンランサー連続攻撃)」
そこには金色の髪の少女がいた。
既に次の攻撃を始めるつもりなのだろう、
彼女のデバイスに黄色の魔力光が集まっていく。
「あれは!?みずなさん、彼女が僕たちの船を襲った少女です!」
やっぱりか…、と俺は心の中で呟きながら
なのはに注意を促す。
「なのは!次が来るぞ!」
「あ、うん!分かったの!」
そう言ってなのはがバリアジャケットを纏う。
「来た!」
それとタイミングを同じくして、金髪の少女の魔法が飛来する。
「レイジングハート!!」
「protection.(分かっています、プロテクション!)」
なのはのかけ声と共に巨大猫の前に桜色のシールドが張られ、金色の魔力弾ははじかれる。
「魔導士?」
対する金髪の少女は今初めてこちらの存在に気付いたのか眉をひそめる。
「同型の魔導士…、ロストロギアの探索者か?」
質問するというよりは自分の考えをまとめた、といった口調で金髪の少女は呟く。
「ロストロギア、ジュエルシード」
「………?」
金髪の少女の突然のつぶやきになのはが顔をしかめる。
「申し訳ないけど頂いていきます…」
「!?」
前の言葉からいくらかの時間を置いて発せられたその言葉は、
いまからそのロストロギアを奪っていきますという非常に物騒な宣言だった。
「バルディッシュ…」
再び少女が呟くと彼女の持つデバイスが金属音を立てて変形する。
斧の様だったその形状が、鎌の様な形に変形した。
そして、
静から動へ、唐突に金髪の少女がなのはに向かって高速で接近する。
「させるかっ…!」
俺がなのはの前に出て少女の攻撃を木刀で弾くが・・・
「おいおい、そんなの有りかよ…」
今の一撃を防いだだけで木刀が二つに裂けてしまった。
御神流では小刀を二つ使うため、もう一本木刀があるにはあるのだが
やはり一撃で得物が破壊されてはたまったものではない。
ユーノに対抗策が無いか念話で質問する。
(ユーノ!木刀が折れないように出来ないか?)
(少しの間ならなんとか…)
ユーノが自信なさげに返して来たが、いまはその少しだけでも重要である。
(少しの間で良いから頼む!)
(…分かりました!)
ユーノがからの答えが返ってくるとともに手に持った木刀からユーノの魔力光である淡い緑の光が溢れる。
何となくだが、木刀の強度増したのが分かった。
(サンキュー!)
ユーノにお礼を述べ、距離をとった少女を見据える。
「魔法が使えない?でも動きは油断できない…」
少女は俺のことも危険と見なしたのか、再びデバイスを持つ手に力を込める。
(お兄ちゃん、来るよ…!)
なのはは魔力の感知できるのか、俺よりも早く少女の動きを読み、俺に注意をとばしてくる。
「Arc Saber.(アークセイバー)」
突如として少女の鎌の刃、それを形成していた魔力の刃がブーメランのように放たれた。
「ッ!!」
なのはがそれを上に飛び上がる事で避ける。
「バルディッシュ…」
「レイジングハート!!」
二人が同時に愛機の名前を呼ぶ。
「Device form.(了解、サイズモードからデバイスフォームへと移行)」
「Shooting mode.(了解ですマスター!シューティングモード)」
それに呼応し、それぞれの形状を主の望む姿へと瞬時に変形するデバイス。
「Divine buster Stand by.(ディバインバスター、いつでも撃てます!)」
「Photon lancer Get set.(フォトンランサー射撃準備完了)」
お互いにらみ合ったまま得物を構え、静寂と緊張がこの場を支配する。
「………」
「………」
お互い無言のまま数秒の時間が流れ・・・
「にゃあ…」
少女の攻撃により今まで怯えていた猫が唐突に鳴き声を上げた。
「……っ!」
なのはがその鳴き声につられてよそ見をしてしまった。
無論、その隙を少女が逃すはずもなく
「……ごめんね」
「Fire.(発射)」
小さな謝罪の言葉と共になのはに対して今日見たどの攻撃よりも激しく鋭い一撃が迫る。
「そうはいかない!」
俺はなのはを助けようと跳び出そうとした
しかし、
「ぐッ!?」
何かが俺の体を捕らえ、吹き飛ばす。
「なん…だと…!?」
そこには先程なのはが避けたはずの魔力の刃が俺の体を切り裂いていた。
「えっ!?」
驚いた声と共になのはが少女の魔法に飲み込まれた。
なのはの小さな体が、大きく空に投げ出される。
「なのはっ!」
叫び声と共にユーノが何らかの魔法で吹き飛ばされたなのはを受け止めようと向かう。
「………」
俺はなのはの事をユーノに任せて、態勢を立て直し目の前の少女と向かい合う。
「随分と戦い慣れてるじゃあねぇか、かわいいお嬢ちゃんよぉ!!」
がらにもない脅しをかける。しかし、
「その状態ではあなたはもう戦えない、これ以上戦うのなら…」
俺の体に付いた傷跡を示しながら、
そこで少女は息を一度大きく吸い込んだ。
「…あなたには死んでもらう」
金属音をわざとらしく立てながら少女がその愛機、バルディッシュを構える。
「……やってみやがれ!」
少女の殺気にもちろん恐怖を感じ得ずにはいられなかったが、
俺には妹を見捨てて逃げ出すつもりは全くない。
「そうですか…」
少女が悲しそうに目を伏せた。
「こっちから行かせてもらうッ!」
多少卑怯ではあるが向こうも同じ手を使って来たのだ、こちらもなりふり構っていられない。
少女が俯いている隙に神速を使い少女に一撃を加える。
いや、そのはずだった。
「死んでもらうと言った…」
「!?」
気付いた時にはもう遅すぎた、
俺の神速にあわせて既に鎌が振るわれている。
「…さよなら」
最後に聞いたのは悲しそうな少女の声。
同時に何か冷たいものが俺の体を通り抜ける感覚。
こうして俺、高町みずなの二度目の人生は幕を閉じた。
後書き
ごめんなさい、休みが思うように取れず更新遅れてしまいました。
休みが取れしだい書かせて頂きます。
※今回の話で終わりではありません><
次回もちゃんと有るので更新をお待ちください。
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