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真剣に私に恋しなさい! ~ 転生者は天下無双な血統種 ~

作者:ラドゥ
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第四話 修業と母の独白ですか。

 
前書き
連投です。今回はわりと露骨な伏線を入れてみました。それではどうぞ。 

 





ちわっす。



どうも、シャオエンです。



ただ今俺は現在進行形で









「ハアァァァァ!」


ブオォン!


「のわッ!?」


ドッゴオォォオン!



殺されかかってます☆



……いやまあ嘘なんだけどね。



ただ今俺は、神奈川県にあるとある山奥で、俺の母親であるガオ・リンメイに武術の修行をつけてもらっている。



なぜこのようなことになっているのか。それを説明するには二カ月ほど前まで時を遡らなければならない。





















「シャオ。今日からあなたには武術の修行を受けてもらうわ」

「は?」


その日は俺の誕生日で、母さんに真面目な話があると言われたので母さんの部屋を訪れると、開口一番そう言われたのだ。



「…え?なんで?」



確かにこの川神市は武士の末裔たちが多く住みことから武術が盛んだけど、この街の出身じゃない俺たちには関係ないはずだ。



「私も初めはあなたに武術を教える気はなかったんだけどねぇ。とある理由で教えざるを得なくなったのよ」

「とある理由?」

「うん。シャオあなた…気って言葉を知ってる?」

「……は?」



思わず呆けたような声を出す俺。



「気ってあの漫画のドラグソボールとかで出てくるあの気のこと?」



ちなみにドラグソボールっていうのはこの世界で見つけた俺の前世でいうドラ〇ンボールのパロディのような作品のことで、世界観は少しスケールダウンしているが、武術的要素とギャグ要素が強くなっていてなかなかおもしろかった。



かなりのヒット作品でマンガをあまり読まない人でも知っているほどの知名度を誇っている。



「ええその認識で構わないわ。シャオ。実はあなたの体には莫大な量の気が宿っているのよ」

「え!?気って本当にあるの!!」



軽い冗談で言ったのに!?



てっきりせいぜいテレビでやっていた胡散臭い気功みたいなことだと思ってたんだが……。



母さんは俺の言葉に訝しげな顔をする。



「本当にあるもなにも普通にあるわよ?というか川神院に所属する武道家なら全員気は使えるわ。準師範代にもなればそれこそあなたの言うドラグソボールみたいな気功波も撃てるし」

「……マジデ?」

「うんマジ」



川神院とはこの川神市にあるお寺のことで、世界最強と名高い武道家“川神鉄心”が最高師範を務めており、世界中から才能ある武術家たちがこの川神院に彼の教えを受けるために集まってくる武道家たちの殿堂とも言える場所……っていうのをテレビのニュースで確かに見たことがある。



その時に確かにやたら人相が悪い師範代が手から気のような物を撃ちだしているところを見たことはあるが、



「あれってCGとかじゃなかったの!?」



てっきり門下生を集めるための宣伝だと思ってたのに!?



「なんでわざわざそんなことするのよ。…あ、そうそう。本当に決まってるでしょ?ちなみにシャオの言っているドラグソボールの主人公は若き日の川神鉄心がモデルになってるらしいわね」

「なん…だと…!?」



ちょっと待てよ。確かドラグソボールの主人公である空孫悟って確か蹴り一発で地面を簡単に砕いて、必殺技のドラゴン波は山を吹き飛ばす威力があったはず……。



(なんだ川神院ってのは!?化け物の巣窟かなんかか!!)



衝撃の事実に戦慄する俺。まさかそんな人外集団が同じ街にいたなんて。



―――彼はこの時はまだ知らなかった。近い将来自分がその人外集団と同じ類の人間になってしまうこと……―――



「ん?」

「どうかした?」

「あ、いやなんでもない」



なんか今不愉快なナレーションが流れた気がしたんだが…気のせいか?



首を傾げていると母さんが「話を続けてもいい?」と言ってきたのでそれに頷きながら母さんの方に視線を戻す。



「さて、あなたが膨大な気を持つという話はしたわね?これからあなたに武術の修業を受けてもらうと言ったのはその気を制御してもらうためなのよ」



なんでも俺の気は母さんが言うには同じ人間とは思えないほどの量らしく、このまま制御できなかったら暴走する可能性があるという。なので武術の修業により気を安定させ、制御する術を身につけるんだそうな。



「でも母さんさっき最初は教える気がないとか言ってなかった?」



俺のその言葉を聞き、母さんはなぜか苦い顔になる。



「そうなんだけどね。どうやらあなたは無意識で気を使うことができるようになっているみたいなの」

「…は?気を使ってるって」



そんな記憶はないんだけど…。



「シャオ。あなた他の同年代の子と比べて自分の運動能力がかなりかけ離れてるって思ったことない?」

「!?」



俺は母さんのその言葉に、思わず驚きで目を瞠る。それは俺がこの世界に転生して前世の記憶を取り戻してからずっと思っていたことだったからだ。



母さんは俺の顔を見て「やっぱりね…」とため息をつきながら呟く。



「それはあなたの体の中にある気が体から洩れて無意識に体を強化しているからなの。あなたそのままじゃいずれ気を暴走させて、故意どうか関係なしに誰かに怪我を負わせることになってしまうわ」



俺は母さんのその言葉に、俺がタツや京。そして母さんを傷つける場面を思い浮かべる。



その場面を思い浮かべて俺は焦燥に駆られている自分に気づく。



(俺が皆を傷つける…。それは嫌だ!俺の大事な人たちが俺のせいで傷つくなんて絶対に!!)



そんな俺の顔を見て、母さんの顔は先ほどの真剣な顔とはまた違った、優しげな表情になる。



「さて、これであなたに武術の修業をさせる理由は理解したと思うがなにか質問はある?」

「えっと武術の修業って誰から教わるの?」



俺の言葉に母さんは何を言っているんだ?という顔をする。



「私に決まっているでしょう?」

「え?でも母さん仕事は?」



確か母さん週六で店に出てたはずだけど……。



「そんなもん美麗《ミレイ》に頼めばどうにでもなるわ。店に出てるのも半分趣味だしね」

「そうだったの!?」



初耳なんですけど!?



ちなみにミレイというのは母さんの友人にして母さんの職場の店長のこと。これがまたキャラが濃い人なんだが……まあそのことについてはまた今度話すとしよう。



「なあに安心しなさい。いざとなったら私とあなた、二人で生活するくらいの貯金ならすでにあるからね?正直働かなくても一生食っていけるほどよ」

「…………」



なぜそんなに金があるのか知りたかったが、どんな答えが出てくるか怖くて何も尋ねることができなかった。



流石に犯罪行為はしてないと思うが……。





……してないよな?





















と、いうわけでこのように母さんに修業をつけてもらっているわけなのである。



ちなみに母さんから教わっている武術の名は“鬼道”という(中国語読みで「グエンダオ」というらしい)身体能力の強化や動き方などを重視した流派で、なんでも“強さを得るために鬼へと自らを変えるための道を歩む”という理念?を持つ武術らしい(物騒だなおい)。



今は気での基本的な身体強化を教えてもらい、それを使用しての組み手紛いのことをおこなっているのだが…、





「ほらほらほらほらああああああああ!!」

ドゴオォオン!!

「うわあああああ!?!」

「まだまだいくわよ!!」

「ちょ、ま!?」

ドドドドドドオォォオオン!!

「はいはいはいはいはいいいいいいいいいい!!」

スパパパパパパパパパーーン!!

「う、うわあ!?い、岩がサイコロ状に切れたあああああ!?」








……俺は生き残れるんだろうか?





「す き あ り ね」

「あ」


チュドーーーーーーン!!





(もう…無理ぽ……)



そして俺の意識は暗転した。








side:リンメイ





「おっと!…さすがに気絶しちゃったか」



地面に倒れようとした自らの息子を見て、不謹慎だが思わず笑みを浮かべてしまう。



息子であるシャオは元々感情の乏しい子供だった。



いつもボーとしていて何を考えているかわからない、そんな子供。



そんな子を育てるのには私も苦労した。



何を話してもなかなか反応してくれない。何を与えても感情の変化が滅多にない。



一時はそのことについて悩んだ。なぜこの子は私に心を開いてくれないのだろうか。



私が彼の本当(・・・)の親ではないから心を開いてくれないのだろうかと。



だが成長するにつれて少しずつ感情も見せてくれるようになりその悩みは杞憂に終わることになる。どうやらこの子は感情の表現の仕方が苦手なだけだったらしい。



三歳になってからは今までが嘘みたいに感情豊かな顔を見せてくれるようになった。


私はそれが嬉しくてたまらなかったが、同時に一つの事実に気付いた。



“この子は私に何か隠している”と。



最初は気になった。なんで私に隠しているのか、なんで私に相談してくれないのかと。



でも今では話してくれなくてもいいと思っている。



そりゃあ話してくれた方が嬉しいが、この子は賢い子だ。私に話さないということは私に相談しなくてもいいことだということなのだろう。



(それに隠し事(・・・)があるのは私も変わらないしね……)



「う…う……ん……」

「おら?予想より目が覚めるのが早いわね」



(もっと時間がかかるかと思ったんだけどこれは予想外だわ。……これならもっと厳しくしても大丈夫かしら?)



将来怨まれるかもしれないがそれでもこればかりはシャオがどんなことを言おうとやらなくてはならない。









愛しい我が子が自身の運命に負けないようにするために……。

 
 

 
後書き
どうでしたでしょうか。主人公が気づくのが遅い気がしますけどそこは前世の常識に轢きづられてるということで。

本当はトイレできばってたら目から気のビームが出て自分の異常に気づくみたいな感じにしたかったんですけどその展開はよく考えたら別のマジ恋二次で見たなぁと思ってやめました。……危なく盗作になるとこだったぜえ。

あ、あとドラグソボールの設定については適当に考えたので突っ込まないでくれるとありがたいです。
 
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