インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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一夏は弱い
「んで、生徒会長。俺たちをここに呼んだのにはわけがあるんだよな?」
「ええ。それと私のことは楯無でいいわよ。たっちゃんでも可」
ということなのでお言葉に甘えさせてもらう。
楯無は(面倒なので)虚先輩がお茶を入れている間に本音にケーキを取りに活かせる。
「ふたりとも、ここはねー。ここのケーキはねー、ちょおちょおちょおちょお~……おいしいんだよー」
そう言いながら自分の分を取り出して食べだした。
「やめなさい、本音。布仏家の常識が疑われるわ」
「だいじょうぶ、だいじょうぶっ。うまうま♪」
「………」
ケーキのフィルムについたクリームを舐めようとしたので俺はフォークを取り上げて綺麗に取って本音の口に突っ込んだ。
「本音。食べるならフォークで取らないとダメだろ。それに口の周りも付いてるぞ」
「取って取って~」
「動くなよ~」
そして拭って近くのゴミ箱に捨てる。
「えへへー、ありがと~」
そして俺が席に戻ると、シヴァが膝の上に乗った。
「一応、最初から説明するわね。二人が部活動に入らないことで色々と苦情が寄せられていてね。生徒会は君たちをどこかに入部させないとまずいことになっちゃったのよ」
「それで学園祭の投票決戦ですか……」
例えどこの部活動に行っても俺は絶対にサボる。
「でね、交換条件としてこれから学園祭の間まで私が特別に鍛えてあげましょう。ISも、生身もね」
「遠慮します」
「必要ない」
「そう言わずに。あ、お茶飲んでみて。おいしいから」
「……いただきます」
俺もそれに合わせて飲んでみる。……あれ?
「? どうしたの、祐人くん」
「……いや、昔に飲んだことがあるような気がしただけだ」
そう答えると、一夏は「へ~」と答えるが生徒会メンバーは全員こっちを見ていた。
「おいしいですね、これ」
「虚ちゃんの紅茶は世界一よ。次は、ケーキもどうぞ」
勧められるがままにケーキを食べようとしたら―――
『あら、案外美味ね』
すでにシヴァに食われていた。まぁ、うらやましそうに見ていたみたいだからって俺にちょっとくれたが。後で食べれるんだよなぁ。
「そして私の指導もどうぞ」
「いや、だからそれはいいですって。大体、どうして指導してくれるんですか?」
「そりゃ、君が弱いからだよ、一夏くん」
そう言うと、一夏は少しばかり怒ったみたいだな。
「それなら何故祐人にもしないんですか?」
「まぁ、俺は強いからな。生身も、ISも」
と敢えて言っておく。
「じゃあ、勝負しましょう。俺が負けたら従います」
「うん、いいよ。だけどその前に―――君、何者なの?」
そう言ってセンスでシヴァを指した。
『シヴァ・風宮と答えても不満かしら?』
「もちろんよ」
『………まぁ、別に話してあげてもいいけど、このメンツじゃ無理ね。何より信用できないわ。理由はどうあれ、予めなんの説明もなしに人を売るような女にはね』
どうやら勝手に俺を賞品にしたことで相当ご立腹のようだ。
「じゃあ、後で聞かせてもらうわ。ところで祐人くん」
「何だ?」
「あなたは勝負しないの?」
「いや。俺はいいわ。結果は目に見えてるから」
そう断ると楯無と一夏はそのまま外に出る。
「一つ聞いていいかしら」
すると、俺の隣に虚先輩が座った。
「なんですか?」
「さっきの言葉。「結果は目に見えてる」って言ってたけど、自分が勝てると思っているかしら?」
「ええ。楯無はそれなりに楽しめそうだけど―――それでも俺には勝てないと思います。それに勝ったら即会長なんて嫌なので遠慮させてもらいました。それに―――もっと紅茶を楽しみたいってのもありましたので」
そう言うと、「そう」と答えて俺に体を預けた。
「………無防備過ぎません?」
「……大丈夫でしょ、あなたなら」
「俺の何を信用しているか知りませんが、俺はあなたが思っているほど紳士ではありませんよ」
すると、シヴァが急に動き出して虚先輩の膝に乗って抱きついた。
「……どうしたんだ、シヴァ」
『……ううん。ちょっと気になってね』
「ふ~ん」
そして腕を体に回している。
『………おかしい』
「……何が?」
『ねぇ祐人、ディアンルグ貸してくれないかしら』
「? いいけど」
そして俺はディアンルグをシヴァに渡す。シヴァなら問題はないんだけど、
「って、何をやってるんだ!?」
いきなり虚先輩の手に持たせる―――が、何も反応がなかった。
『本音』
「え? ちょっと!?」
今度は本音にパスすると、本音が触っても何も起こらなかった。
「『おかしい………』」
俺とシヴァが同時にそう言った。
「え? 何がおかしいのかしら?」
「ディアンルグにはある特殊な機能があるんです。触ると電撃が走るという防御装置が」
『それが作動しなかったってことは―――故障ね』
「マジかよ……」
今までこれに頼っていたからちょっとは目を離していても大丈夫だったけど、少し心配になってきた。
「後でちゃんと直しておかないと……」
『そうね……』
そう二人で言っていた。
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