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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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2学期開始

 9月に入り、俺たちのIS学園生活が再開した。

「遅い!」

 俺の相手はデュノア。高速切替(ラピッド・スイッチ)もディアンルグの前ではただの手品でしかない。

「くうぅ」

 今のは俺が飛び蹴りで着地する前に身を捻ってビームライフルによる射撃を行っただけだ。ただ、デュノアの持つ《ガーデン・カーテン》も徐々に使い物にならなくなった。

「こいつで止めだ!」

 そう言って投げた《対IS用手榴弾》。ただし、これは特殊型であり、爆発と同時に敵がいる場所に向かってエネルギー弾が飛ぶ。福音のデータを流用している。

「う、うわぁっ!?」

 それが宣言通り止めとなり、試合は幕引きとなった。

「あ、相変わらず強いねぇ」
「まぁ、用心棒とかしていたからな。多少の心得ぐらいはある」
「いやいや。あれで多少ってどうなの………」

 それは誘拐されたことを言っているのだろう。
 入院された時の話だが、あれは巻き込まれた生徒の親には話しているが他言無用ということになっている。

(あの時はマジでブチギレたからな………)
『あんなゴミクズと一緒にされたからでしょうが』
『ですが、手加減ぐらいは覚えておいたほうがいいですよ』
(おいセバス。手加減ぐらいは覚えているぞ)

 などと突っ込んでいると、別の方で戦っていた一夏と凰の試合も凰の勝利で終わっていた。





 ■■■





「はぁ……。それにしてもなんでパワーアップしたのに負けるんだ……」
「だから、燃費悪すぎなのよ。アンタの機体は。ただでさえシールドエネルギーを削る使用の武器なのに、それが二つに増えたんだからなおさらでしょ」
「というかお前の場合は零落白夜に頼りすぎているんだ。それを無くせば少しはマシになるだろ」

 と、一応口に出してみる。ちなみに今は昼食で、一夏に「白式について話がある」と言われたからだ。

「ま、まあ、アレだな! そんな問題も私と組めば解決だな!」

 あ~、なんか荒れそうだな~。

「何を難しそうな顔をしているか。お前は私の嫁だろう。故に私と組め」

 うん。荒れそうだ。

「悪い。先に行くわ」

 それをわざとデュノアに言って俺は即座に退散する。
 あのままいてもどうせ「祐人と組む」という発言で俺が睨まれるだけだ。まぁ、「お前みたいな雑魚と組むなら一人で戦ったほうがマシだ」と言ってやるが。

『……祐人、気付いてる?』
(………ああ。追けられているな)

 と、後ろから近づいてくる人影に警戒を強める。

(セバス)
『わかっております』

 セバスに指示する。それは―――誰もいないところで付いてきている人を縛れといった内容だ。
 そしてアリーナに入って着替えていると、

『―――え? ちょ!? なにこれ!?』

 どうやら誰かが罠に嵌ったようだ。

(よくやった)
『ええ。どうします?』
『焼却炉に突っ込んでおいたら』
(賛成)
『………まぁ、火を入れるわけではないのでいいでしょう』

 少し遠慮気味にセバスはそう答え、俺は頷いた。
 ちなみにだが、

「……遅刻の言い訳は以上か?」
「いや、あの……あのですね? だから、見知らぬ女生徒が―――」
「ではその女子の名前を言ってみろ」
「だ、だから! 初対面ですってば!」

 一夏が遅刻したので織斑先生がご立腹だった。

「ほう。お前は初対面の女子との会話を優先して、授業に遅れたのか」
「ち、違っ―――」

 いや、弁明ぐらい聞いてあげましょうよ。

「デュノア、ラピッド・スイッチを実演しろ。的はそこの馬鹿者で構わん」

 ………この先生、実は弟が嫌いなんじゃ………?
 俺は()()()常識人のデュノアを見るが、

「それでは先生、実演を始めます」
「おう」

 どうやら、俺が出るしかないようだな。

「始めるよ、リヴァイヴ―――!!」

 ―――パシンッ!
 
 デュノアの道を鎖が阻んだ。

「何のつもりだ、風宮」
「いえいえ。高が遅刻程度でいくらなんでも酷いと思いまして。少しは弁明ぐらい聞いてはいかがですか? その様子じゃ何らかの妨害があったようですから」

 俺の言葉に(何故か)渋々納得して一夏の発言を許可する。
 そして一夏が全てを話し終えた時、織斑先生は頭を抱えた。

「デュノア、的は変更だ。風宮にしろ」
「了解」

 その時、俺はほくそ笑っていたのだろう。すぐに織斑先生が俺に手加減するように言う。だが、

「無理です」

 そうにこやかに答えた。

『そりゃあね。勝手に追いかけられるわ、ISを展開していないのに勝手に攻撃しようとするわで怒るわよ。ということで、お兄ちゃん変わって』
(いいぜ)

 俺はすぐに答えると、中に誰かが入ってくるような感じがした。

「『さて、シャルロット・デュノア。あなたは用無しだから散りなさい』」
「おい待て! これはラピッド・スイッチの実演でお前の強さを肯定させるものではない!」

 どこからともなく氷の大雨が降り注ぎ、デュノアを襲う。

「『なら簡単よ。この中でラピッド・スイッチを使って防げばいいじゃない。まぁ、この雨は無尽蔵。防げるのなら防いでみなさいな』」

 シヴァの容赦ない攻撃にデュノアは奮闘するも、呆気なく敗れた。
 俺は理不尽なことが嫌いだったからちょうどよかった。

「おい風宮、今のは何だ?」
「ディアンルグの特性です」
「どこがだ」
「まぁ、開示はしませんよ。バラしたらどこの国も狙ってくるので。あの惨劇は回避したいでしょ?」
「……………」

 遠くで「どういうことよ! 誰か教えなさいよ!」と叫んでいるが、1組のみんなは話せなかった。何故なら―――壁や床を生身で凹ませるような人間相手に喧嘩を売りたくないだろうから。 
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