SAOもう一人の聖騎士
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追想~裏切りの代価
前書き
う~んいいタイトルが思い付かない・・・・・
結晶を使って街まで戻り、リオナ達と別れたキリトとクラディールは、自らのねぐらに到着すると装備も解かずベッドに倒れ込んだ。
「つ、疲れた・・・・・・悪いやつらじゃないのは解るが・・・・・・」
そううめきながらクラディールはベッドの上でモゾモゾと動いて軽鎧(ライトアーマー)や剣を装備フィギュアから解除して枕に顔を埋める。その顔も、心なしかやつれている。理由は・・・・・・
「そうだ、ちょっと宴会やらない?ウチの男衆に強くてイケメンな優良物件が二人も入ったんだからさ」
リオナが創設したギルド、<曙の槍>(アマテラス)はキリトとクラディールの二人を含めても総勢六人しかいない非常に小規模なギルドだ。そんな彼女らが生き残れたのは、個人の実力の高さ、チームワークの合理性、そして何より仲間達の強い結束だろう。背中を預ける相手は絶対に裏切らないと確信しているからこそ、自分の目の前の相手に集中でき狩りの効率が上がるのだ。要するに、仲良しギルドと言うわけだそうだ。とクラディールは適当に予想を立てる。
自分はまだ何か考えていたはずだが、答えを見つける前に二人は眠りについてしまった。
「さって行きますかねぇ」
「よし、ポーションも結晶もちゃんと持ったな、よし!行こうか!」
待ち合わせ場所には、すでに四人が集まっていた。
「よし、予定より30分早いけれど行きましょう。場所は昨日と同じ。今日は少し奥に言って見ましょうか。」
~グラヌフの森奥地~
「ここらから猿人型Mobも多くなって来たわね・・・・・」
奥地には神殿があり、そこでは侵攻する蜘蛛の軍勢を滅ぼし森を救った狼の神が祀られている(と言う設定だ)そうだ。その神殿の内部でクラディールら六人は衛兵の格好をした猿人型Mobに苦戦していた。特に兵士が群がっているところを突き進むと、
「扉だ・・・・・・恐らくここから先は名前付きMob部屋だ。全員回復はしっかりしとけ。・・・・・・いいか、開けるぞ・・・・・・・」
強力な筋力値補正に驚嘆する四人(相棒であるキリトは慣れているのか気にしていない)を尻目に扉を開けていく。そこにいたのは・・・・・・・狼型名前付きMobではなかった。
「おいおい、流石に趣味が悪いぞ茅場晶彦・・・・・・」
そこにいたのは、無惨に首筋を食いちぎられた狼の神と、それを喰らう大きな、本当に大きな蜘蛛だった。
バタン!!
「なっっ!?」
轟音を立てて扉が閉まる。勿論、押しても引いてもびくともしない。
「くそっ!結晶も使えない!やるしかないぞ!」
最も先に覚悟を決めたのはカーンだった。盾を思いきり前面に突きだし前に出る。その姿に押され、全員がそれぞれの武器を構えた。
「まずは俺だ!露払い、請け負った!」
ハフナーの槍が蒼い光を纏い突撃する。両手軽槍単発突撃技<ダッシュショット>。襲い来る蜘蛛の前肢より早くその膨らんだ胴体を切り裂いて後ろに抜ける。
「スイッチ!まずは俺とクラディールで前肢を抑える、それ以外の攻撃は完全回避が可能だ!後ろの弱点を攻撃してくれ!」
「この程度なら俺一人でも十分だ、行っても良いぜ?彼女に良いところ見せてこいよ」
ガンガンと喧ましい音を響かせ左の前肢を受け止める。その鈎爪は紅く輝いていた。やはりソードスキルか。続く右の二撃目、これは避け切れない!
「シッ!相棒を置いていけると思うか?」
ニヤリ、と意地悪く笑いながら右の一撃を受け止める。キリトは続けてこう言った。
「さぁ、フィーバータイムのスタートだ!!」
蜘蛛は予想以上にしぶとかった。
弱点である尻の一部を集中攻撃してHPはそれなりの速度で減っているのだが何かおかしい。おかしいとは思うのだが・・・・・・・具体的に何がおかしいのか分からなかった。その焦燥がクラディールの胸を灼く。
「待てよ・・・・・・・まさか!ヤバい、皆離れろ!」
ドゴン!!と言う凄まじい轟音が轟き、ひび割れた壁から無数の蜘蛛が姿を現した。
クラディールの警告が間に合わなかったら、恐らく全員が死んでいただろう。
「そんな・・・・・・・蜘蛛がこんなに・・・・・・・!」
余りにも絶望的な現在の状況に、思わず呻き声を上げるリオナ。
「丁度いい・・・・・・・あの大蜘蛛を倒せば蜘蛛は消える、全員で奴の背中に飛び乗って攻撃するんだ、そうしたら勝てる!」
「・・・・・・・分かった、どのみち生き残るにはそれしか手がない。いいか・・・・・・・3,2,1,今だ!」
「おおおおおっ!!」
着地寸前に逆手に構えた剣を突き立てたクラディール。その一撃によって蜘蛛は苦しげに身を捩らせた。
「「おあああああああっ!!」」
カーンとハフナーの剣と槍が、赤く、青く光りながら刃の根本まで食い込む。さらにアンナが突き刺した短剣を杭打ちの要領でミーナが叩き込んでいる。
「終わりだァァァァァァ!!」
キリトの雄叫びと共に、キリトとリオナが同時に放った一撃が残りカスとなった大蜘蛛のHPを確実にゼロにしていた。
「ふぅぅぅ。全員、生きてるな・・・・・・」
「じゃあ、そろそろ開始ですね?」
バン!!と扉が開き、オレンジプレイヤーが雪崩れ込んでくる。その数なんと三十人。
「カーン・・・・・・まさか貴方・・・・・・!」
「そのまさかですよ、リーダー。本当に結晶が使えないか、念のため自分で調べるべきでしたね?」
「カーン、こいつらはどうする?」
「別に逃げられても問題は無いでしょう。ベータテスターに恩を売っておくのも悪くない」
「てめぇ・・・・・・・!」
キリトが激昂してカーンに飛び掛かろうとするが・・・・・・・いきなり襟足を掴まれた。
「仕方ない、ここは脱出しよう。直ぐに準備して行けばなんとかなる。・・・・・・・転移!シャマシュ!」
キリトとクラディールは、殆ど逃げるようにそこから脱出した。
・・・・・・・それが、取り返しの付かなくなる事態になると知りながら。
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