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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語

作者:マルバ
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SAO編 主人公:マルバ
番外編:バトル・ロワイアル
  番外編 第一話 張り紙

 
前書き
規則と対戦表です。 

 
【十一月二十五日、第七十五層主街区《コリニア》の円形競技場においてバトル・ロワイアルを開催する。第三位までの賞品・賞金あり、詳細及び申し込みは血盟騎士団本部まで。締め切りは十一月二十日。諸君の健闘を祈る Heathcliff】
 上記の張り紙がクエストボードに貼られてから一週間がたった。十一月二十二日に、その張り紙に若干被さるように、次の張り紙が貼られた。

**********
 バトル・ロワイアルへの諸君の多数のエントリーに感謝する。戦闘は半減決着モードで行われるが、死亡者を出す可能性を極力減らすため、最高レベル帯の以外の者のエントリーは認めないこととした。結果、バトル・ロワイアルへの参加人数は十二人となる。
 ここに規則と対戦表を記す。


 《規則》
 一、回復結晶、転移結晶の使用を禁ずる。解毒結晶二つ以上の使用を禁ずる。解毒結晶二つ以上の使用、又は回復結晶及び転移結晶のいずれかの使用が認められた場合、使用対象を敗戦扱いとする。ポーションの使用は制限しない。
 二、HP半減を以ってプレイヤーの敗戦とする。HPが半減したプレイヤーは速やかに競技場を後にすること。HP半減を告げるアナウンスを無視し30秒以上競技場内にとどまった場合、棄権扱いとする。
 三、隠蔽(ハイディング)スキルの使用を認める。
 四、使い魔の参加を認める。
 五、試合は二段階で行われる。A~Dの各ブロックでの対戦の優勝者が決勝戦の参加権を持つ。
 六、決勝戦で最後までHPを半分以上保っていたプレイヤーを優勝とする。
 七、賞品及び賞金の権利は決勝戦参加者のみに与えられる。決勝戦に参加しなかったプレイヤーは賞品・賞金を受け取ることはできない。
 八、本来ソードアート・オンラインでは多人数参加の試合は定義されていない。また、規則にもとづいて失格者は即座に敗戦扱いとする必要があるため、普通のデュエルは利用できない。よって今回は特殊な方法を用いることとなった。プレイヤーは当日会場で発表される方法に従ってデュエルを受諾し試合を行うこと。デュエル申請を拒んだ場合、棄権扱いとする。

※規則の追加・変更はあり得る。


 《対戦表》
 Aブロック:アイリア/ジンガ/コーバッツ
 Bブロック:ホーク/エギル/ユカ
 Cブロック:マルバ/ミズキ/クライン
 Dブロック:キリト/ショウキ/イツキ


 試合は午前十時に開始する。Aブロックから順に対戦を行い、Dブロックの対戦終了と同時に一時解散とする。決勝戦は午後一時から開始する。
 各自、万全の準備と共に試合に臨むように。諸君の健闘を祈る Heathcliff
**********

「なんか妙ですね」
「そうだね」
 マルバとシリカは貼りだされた規則を見て疑問を漏らした。
「『HP半減を以ってプレイヤーの敗戦とする』ってことは半減決着モードなんだろうね?」
「そうだと思います……けど、『本来ソードアート・オンラインでは多人数参加の試合は定義されていない』のに、どうやって半減決着モードでデュエルするんでしょうか? 『特殊な方法』って……?」
「それだけじゃない。『HP半減を告げるアナウンス』って書いてあるけどさ、普通はデュエルの勝者の頭上にデュエル結果が出るよね? なんでアナウンスなんてするんだろう?」
「デュエルじゃなくて実際に戦闘をする……とかですかね?」
「うーん……それだと圏外じゃなきゃできないはずだよ。 それに『プレイヤーは当日会場で発表される方法に従ってデュエルを受諾し試合を行うこと』って書いてある。デュエルを受諾するんだから、やっぱり普通のデュエルなんじゃないかなあ」

 二人はそろって首を傾げた。考えても分からないことは多い。マルバはとりあえず不安を棚上げにして、三日後の戦いに備えて必要なものを脳内でリストアップした。
 結晶類は使えないらしいし、ポーションは各二つづつもあれば十分だろう。武器は大丈夫だし、ピックも足りている。

 マルバは次に掲示板のCブロックのプレイヤーをちらりと見た。
 クライン。彼はカタナ使いだ。一撃の重さを重視した筋力よりのビルドである。回避が重要だ。軽装備で戦うことにしよう。
 一番の問題はミズキ。マルバの装備は盾に弱い。体術メインで戦わざるを得ないはず。

 そういえばアイリアの方は誰と戦うことになるのだろう……とAブロックの方も確認する。
 ジンガ。彼はマルバと同じくオリジナルの二刀使いだ。マルバの円月輪の代わりに直剣を使う。
 コーバッツはミズキと同じ武装の筋力型プレイヤーだ。様々な攻撃スキルを持ち、クイックチェンジを駆使して片手剣ばかりでなく片手斧や曲刀なども使う、読みにくい相手である。

 そしてBブロックはというと、エギル以外はマルバの知らないプレイヤーばかりだった。
 ホーク。名前すら聞いたことがない……と思ったが、どこかで聞いたことがあったはずだ。確か、アルゴがその名前を口にした……気がする。定かではない。
 エギルは両手斧使いの巨漢だ。恐るべき筋力を持つ反面敏捷性は低いが、武器を素早さに特化して強化しているため素速い攻撃を繰り出してくる。回避は大したことがないが、装備の防御力が一般プレイヤーとは段違いに違うからスキルを当ててもHPが減りにくい、非常に戦いにくい相手である。……まあ、投剣で遠くからちくちくやればあっさり勝てるんだけどね。
 ユカ……は確か、アスナの姉だったはず。あれ、アスナが姉だったっけな? 姉妹そろってしっかりしてるから、どっちが姉らしいとか妹らしいとかがなくて分かりにくい。投剣使いで、正確な攻撃と毒が特徴のプレイヤーだ。攻略組の中でも強さは上位に位置する。手強い相手だが、接近戦に持ち込めば勝機は十分にある。

 Dブロックは恐らく最も観戦者が多いだろう。なにせあの二刀流のキリトが出るのだ。
 キリトは言うまでもない強敵だ。彼の反射神経はとんでもない。初見でマルバの高速短剣技に対抗してみせたあの反射神経は他の参加者を圧倒するだろう。
 ショウキ。マルバは彼についてよく知らない。ただ、敏捷型のカタナ使いだという噂だ。普通のプレイヤーには見えないほど速く動くとか。なんでも、彼とデュエルしたプレイヤーは、確かに斬ったはずなのに空振りして『ふっ、それは残像だ』と言われたとかなんだとか。さすがに嘘だろう。
 イツキ。イツキ……? ええと、彼は確か、体術のみで戦うかなり珍しいプレイヤーだ。そうそう、エギルに負けないほどの筋力を誇る癖に軽業スキルで素早く移動するという、相当珍しい戦闘スタイル。投剣投げてもあっさり避けられるだろう。かといって接近すれば強力な一撃でふっとばされるだろうし。アイリアみたいな槍使いが一番有利に戦えるんじゃないかなあ。

「マルバさん?」
 シリカに呼びかけられてびっくりしたマルバは慌てて彼女の方を向いた。
「どうしたの?」
「いえ、なんだかすごく難しそうな顔をしていたので、どうしたのかなあと」
「あー、ごめんごめん。誰が勝ちそうかな~って思って」
「頑張ってきてくださいね。かっこよく勝ってきてください」
「うー、善処します……」
 マルバはため息をついた。遠くで鐘の音が鳴り、時間を告げる。
「そろそろ帰ろうよ。ミズキたちがお腹を空かせて待ってるだろうし」
「そうですね。今日は何にしましょうか」
 マルバとシリカは夕ごはんのおかずを考えながら帰路についた。 
 

 
後書き
さて、ここでお知らせがあります。

けいすけ.comさん。申し訳ありませんが、メッセージへの返信がありませんのでエントリーを取り消させていただきます。また機会がありましたらよろしくお願いします。

返しの斬り刃さん。感想板に返信を書き込みました。エントリー情報が足りませんので、至急返信をお願いします。Aブロックを書くのに間に合わなかった場合、対戦表を書き直すことになりますので、できるだけ早く連絡をください。

また、完全ランダムで対戦表を決めるつもりでしたが、ランダムで決定した対戦表が展開的におもしろくないものになってしまったため、少し微調整をさせていただきました。
執筆開始します。ご期待に添えるように頑張りますので、どうかよろしくお願いします。 
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