革命を知らない愚か者
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第二章
「そうだったのがね」
「処刑されて」
「そうまでしたのに」
それがというのだ。
「皇帝よ」
「本末転倒と言うとね」
「そうでしょ、ナポレオンが悪いとかじゃなくて」
「何か流れがおかしいわね」
「結局ナポレオンも失脚したけれどね」
その彼もというのだ。
「革命で自由で平等な社会にしようとしたら」
「滅茶苦茶人が死んで」
「皇帝が出たのよ」
「そういえば清教徒革命も」
亜美はここでこの革命のことを思い出した。
「クロムウェル滅茶苦茶やったわね」
「独裁者になったわね」
「反対派は全部弾圧してね」
そうしてというのだ。
「アイルランドも攻めて」
「やっぱり王様処刑してね」
「独裁者になったわね」
「それでもう何でも禁止の」
これはクロムウェルが極めて禁欲的なピューリタンの信者であったからだ、その為革命もピューリタン即ち清教徒の名前となっているのだ。
「自由も何もないね」
「王様いた頃より酷くなったわね」
「それでクロムウェルも沢山人殺したし」
「いいものじゃないわね」
「もうロシア革命は言うまでもないわね」
静はこの革命についてはこれまで以上に冷めて言った。
「あれは」
「ああ、共産主義のね」
亜美の返事も冷めていた。
「もう殺して殺してね」
「殺しまくってね」
「出来たソ連もね」
「スターリンが出たわね」
「それで粛清したわね」
「食べものなんて無理矢理徴発して」
ホロドモールが有名だが革命とその中の内戦の時も行っていたのだ。
「大飢饉起こったし」
「革命の為にやって」
「大勢の人がよ」
それこそというのだ。
「飢え死にしたのよ」
「それがあの革命よね」
「それで大勢死んで出来たのが」
「ソ連で」
「ソ連になってからも人が死んだのよ」
「スターリンが出て。あんなのが出るなら」
亜美は顔を顰めさせて言った。
「革命なんてなかった方がいいわね」
「何でも急に変えようとしたらよ」
姉は林檎ジュースを飲みつつ話した。
「歪みが出るでしょ」
「そうよね」
「それで大騒ぎになってね」
そうもなってというのだ。
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