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金木犀の許嫁

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第五十三話 家に帰ってその八

「子供の夢を壊したと得意になっていても」
「意味はないですね」
「これ以上はないまでにです」
 それこそというのだ。
「無駄です」
「そうした行いですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「子供の夢はこんなことで壊れず」
「否定してもですね」
「意味はなく」 
 そうであってというのだ。
「全く以て無駄なことです」
「そう言っていいですね」
「左様です、それは科学ではありません」
 幸雄はこうも言って否定した。
「科学は未来に進歩するものであり」
「今が絶対ではないですね」
「今は無理でもです」
「未来はわからないですね」
「そうしたものであって」
 それでというのだ。
「それがわからないのでは」
「科学じゃないですか」
「進歩を否定しているので」
「科学は進歩するものなのに」
「他の学問もです」
 科学に限らずというのだ、幸雄は自分が考えている科学ひいては学問というものについて話を続けた。
「同じです」
「今の時点が全てじゃないですね」
「どんどんです」 
「進歩しますか」
「そうです、宗教学も同じで」
 こちらもというのだ。
「進歩します」
「ただお経とかを覚えるだけじゃないんですね」 
 白華が幸雄に問うた。
「宗教も」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうではなく学び調べ」
「進歩していきますか」
「新たな発見もあり発掘もです」
「ありますか」
「新しい仏典が発見されれば」
 そうなればというのだ。
「その仏典もです」
「研究されますか」
「何かと議論も行われますし」
「仏教もずっと同じじゃないですか」
「そうです」
 こう言うのだった。
「そうしたものです」
「そうなんですね」
「ですから新たな宗派も生まれます」
「今もですね」
「そうです、鎌倉時代もですね」
「禅宗とか浄土宗ですね」
「色々学び考えられて」
 そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「宗派が生まれたんですね」
「新たなそれが」
「そうですか」
「はい、宗教もです」
「進歩していきますか」
「同じ宗派の中でもです」
 宗派が生まれるだけでなくというのだ。 
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