| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

クレーマー対処も仕事

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「それはね」
「そうですよね」
「けれどね」 
 それでもというのだ。
「ああした人もいることはね」
「クレーマーのお客さんがですね」
「割り切るの、当然店長さんも本社もわかってるし」
「お話を聞いてですね」
「対処するの、ああした人から何を言われてもクビにはならないから」
「ただの言いがかりってわかっているので」
「そうよ、それにね」 
 和歌子はさらに話した。
「そのうちいなくなるから」
「いなくなります?」
「そうなるわよ」
「あの人ご近所で引っ越さないですよね」
 青空はその話を聞いて知っていて言った。
「うち住宅街の近くにありますし」
「けれどそうなるから」
「そうですかね」
 青空は和歌子の今の言葉は信じられなかった、だが暫くしてその客は来なくなった。そして風の噂で聞いた。
「あのお客さん脳梗塞で倒れたらしいですね」
「それで今入院してるらしいわね」 
 和歌子も噂を聞いていて知っていた。
「どうやら」
「そうですよね」
「ああした人はいつも怒ってイライラしてるから」
「ストレス溜まってますか」
「あら捜ししてクレーム付ける人はね、そんな状態だとね」 
 それならというのだ。
「ストレスは身体にも影響するから」
「よく言われますね」
「それでよ」
「あのお客さんもですね」
「脳梗塞で倒れたのよ」
 そうなったというのだ。
「それで退院してもリハビリ大変でね」
「もううちの店に来ないですね」
「来られる様になってもまともに喋れないわよ」
「クレームもないですね」
「いなくなるのと同じでしょ」
「確かに。そういうことですね」
 青空もここでわかった。
「ああした人はいなくなりますね」
「そうよ、だからクレーマーのお客さんにはね」
「その時対処すればいいですね」
「それもお仕事よ」
「わかりました」  
 青空は微笑んで頷いた、そうしてだった。 
 この日も店で働いた、店に来る客は今はいい客ばかりだった。それで心地よく働くことが出来たのだった。


クレーマー対処も仕事   完


                    2025・2・16 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧