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彼は いつから私の彼氏?

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 2週間後、退院の許可が降りたのだけど、私は もう 1週間 リハビリのことがあるので、退院を伸ばしていた。その間に、おばあちゃんが シジミの炊いたのを病院食はもの足りないだろうからと持ってきてくれたり、土日には翔琉、十蔵、智子が来てくれたり、みずき、瑠利も、香も一真さんと一緒に見舞ってくれたりしていた。

 私は、リハビリの先生が若い男の人で好感が持てるし、同じリハビリをやっている人で、大腿骨骨折をしたというおばぁさんとか、同じ靭帯断絶をしたという大学でラグビーをやっているという男の人とかとお友達になって、お互い励まし合って楽しく過ごしていたのだ。だけど、神様には 片方のオッパイならって言ったのにー 足は嫌やって言ったやんかー と 文句を言っていた。

 退院した夜は、うちで祝ってくれて、お父さんがスマホを見せてきて

「水澄すごいぞ (太子女学園のふたり 決勝戦すごい  神だ)(香月水澄さん 早く治して 又 元気な姿見せてください 私は あなたから 勇気貰ってます)  とか 水澄を応援する言葉がなー みんな応援してくれてるぞー」

「そう だけど・・・私 もう・・・」

「まぁ 今は ゆっくり 休んで リハビリをなー」 

 退院した後、膝は堅牢なサポーターをして、心元無いので松葉杖をしたまま 登校することにしていた。駅までは、お母さんが付き添ってくれて、それからは、みずきと瑠利に香も学校まで付き添ってくれていた。私には、校長先生に言いたいことがあったので、無理してでも学校に行きたかったのだ。

 途中、私の姿を見た学校の生徒から「がんばってください」「応援してます」とかの声を掛けられながら、ゆっくりと校門をくぐったのだ。とうぜん、クラスの皆からも拍手で迎えられて、私はお昼休みにクラブの仲間達と一緒に、職員室を通って先生方からの拍手で送られて校長室に入った。

「やぁ 出てきたか 良かった 良かった」と、迎えられて

「校長先生 ご心配お掛けいたしました。何とか 登校できるまでに・・・ 私達 校長先生にお聞きしてもらいたいことがあって来ました。私達の石切監督は、いつも みんなの体調に気を掛けながら指導してくださってます。私があんなことになったのは、私が強引に無理をお願いしたからなんです。監督が居られなければ、私達は優勝出来ていません。精神的にも強くしてくれました。日本一の監督さんです。それを証明しろっておしゃるんでしたら、私達5人 成績でも みんな5番以内目指します」

「いやー なんだ と思ったらー そんな無茶苦茶なこと言うなよー Sクラスも居るんやからー 君達が優秀なのはわかるけどなー いや 君達なら 本当にやるかも知れないなー けど 色々と聞いてみるとな 石切監督も予選の時から、苦心して戦ったみたいだなー 君達の体調も考えてー 君達の言いたいことはわかった 石切監督にはワシのほうから敬意を伝えるよ 同時に素晴らしい生徒を育ててくれてありがとう これからもよろしく頼む ともな そうだ 君宛ての手紙を預かっている 封は開けてないぞ おそらく励ましの手紙だろう」

 と、手紙の束を渡された。全国の人からの封書だった。中にはハガキも・・・応援と励ましのメーッセージが描かれていた。小学生らしき子からも・・・

 休憩時間には、同級生とか下級生とかから、サインとか写メを頼まれていて、サインまでは出来ないけど、撮影には応じていたのだ。

 そして、放課後の練習に顔を出して、みんなに心配掛けたことの挨拶をして、しばらく練習を見ていたのだけど・・・莉子の新キャプテンのもと、元気な声が聞こえていて、3年生の中でも花梨だけは参加していた。私は、そのうち 一緒に動けない自分に耐えきれなくなってきて、花梨に帰ると伝えていた。

「そう みずきに一緒に帰るように言おうか?」

「ううん 大丈夫 ゆっくり 帰るから ひとりで」と、言って帰ってきたのだ。家に帰って、励ましの手紙を眺めて、独りで泣いていた。私 応援してもらっても もう 前みたいに動けないかもーと・・・不安だった。

 数日後の放課後、私が帰ろうとすると花梨がやって来て

「水澄 帰るん?」

「うん リハビリに行かなきゃあーね」

「そう クラブにも顔出してよー 2年生を見て欲しい」

「だね でも・・・」

「ウチな 全日本ジュニァに出ようと思う 校長の意向もあるし 監督の立場もあるからな 大人の事情ってやつやー」

「そう 良いんじゃーぁ無い 頑張ってね」

「水澄 その後は ウチは待ってるでー 復帰するの また ペァでー」

「・・・花梨 私は もう 前みたいにステップ出来ひんかもしれん・・・ 以前と同じ状態まで戻すのは難しいって先生もゆうとるんやー 神様にそっぽ向かれたんやー」

「そんなこと無いやろー 水澄は今は 弱気になってるだけやって! 頑張れば・・・」

「もう あかん 神様に見放された気がする」

「なに アホなことゆうとるんやー 仮に左がアカンでも右足があるやろー それでもアカンかったら ウチがおるヤン カバーしたる! それが相棒やろぅ!」

「・・・花梨・・・オリンピック行くんやろー 私は、負担になりとー無い 頑張ってー ペァの相手は高校に行ったら見つかるってー 花梨にふさわしい子が」

「なに言い出すネン ウチの相棒は水澄しかおらへん ず~っとやってきたヤン 絆忘れたんかぁー 乳揉んだろうか?」

「もう ええねん やめてー ・・・ 花梨 あの決勝の前の晩 若葉は足を摩ってくれて、花梨は・・・私の胸を撫でててくれたやんかー あれは、私に 胸に向かって攻めてこいって 意味やったんやろー 私に優勝させようと・・・そやから、花梨との決勝で・・・今までもありがとう 夢の中に連れてきてもらってー 楽しかったよ」

「・・・ 水澄 そんなに根性無しやったんかぁー あんないっぱい 全国から水澄を応援してくれてるんやんかー 応えなあかんやろー ウチ等の絆って そんなにペラペラのもんやったんかぁー? 情けないワー ウチって・・・相棒やって・・・勝手に・・・ウチはなぁー 水澄が居るからオリンピックめざそうと思ったんやでー!  水澄と一緒にって・・・ ウチ アホやってんなぁー もう 知らんわー 勝手にいじけときぃーな! サ イ ナ ラ!」と、涙を拭きながら教室を出て行った。

 私だって、ず~と花梨とやって行きたいわよー でも・・・。独り 駅への道をよたよたと歩いて・・・涙が止まらなかった。花梨 絶対にオリンピックの夢 叶えてよね 花梨なら出れるわよー 私達 別々でも いつまでも相棒だよ 私は忘れないわ と 松葉杖を外して ゆっくりとでも、よろよろしながら駅に向かって自分の足で歩いていたのだ。涙が溢れていた。

 駅までは遠かったけど、このまま学校の体育館に続いてればいいのにと 花梨の居る体育館に戻れ・・・だけど、私の思いとは違って・・・涙に滲んで、駅が見えて来ていた・・・

  Did a great play! Mizumi !
 
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