彼は いつから私の彼氏?
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13-3
翌朝は、早くからお母さんとお兄ちゃんが来てくれて
「おはよう 眠れた?」
「ううん 私ね どうしてこんなことになっちゃたんだろうとか 全中の大会も近いのに クラブのみんなに申し訳ないなー とか 後悔ばっかりでー でもまた 頂点に立ちたかったなぁー」
「・・・水澄ちゃん・・・あなた 太子女学園の3年生よね」と、慌てたように聞いて来た。
「そーだよ なに いまさらぁー」
「うん いいの 朝ご飯 食べて無いの?」
「う~ん 食べたくないの それよりさー お母さん おトイレ連れてってー 我慢してるの」
「あっ そーなの 2.3日はあんまり動かさないほうが良いって 先生がー だから おしめしてるのよね」
「う~ん みたいね こんなの 駄目に決まってるじゃぁない だからぁー お願い」
と、お兄ちゃんとお母さんとで車椅子で連れて行ってもらって、何とか済ませて
「あのさー 今 穿いてるの もしかして お兄ちゃんのじゃないの」
「うん だってさー 今はギブスとかで固定してるから ゆったりとしたのじゃぁないとねー」
「ギャァー お母さん なんてことするのよー 私に恨み あるのぉー」
「何を大袈裟なー ちゃんと洗ってあるから 大丈夫だよ」と、お兄ちゃんは普通に言っていたけど
「当り前やんかー 赤ちゃんできたら どーすんのよー!」
「アホかぁー お前 そんなこと言っても 俺と一緒にお風呂入るん 平気やってゆうとったやないかー」
「それと これとは 別やー お母さん 何とかしてぇなー 着替えは?」
「わかってるわよー 着替えましょうね 達樹 ちょっと 出てて」と、着替えながら、上は試合着のままだったのだ。何で試合着だったのかしら? と思う私に、お母さんは
「後で、先生とお話しましょうね 今後のこととかあるでしょ」と、言っていたが
そうだ 私は その時は 今後も卓球も続けられるんだろうか とか 色んなことが頭に浮かんできていた。
「なぁ お母さん また おしめ しなきゃぁダメなの?」おしめ以外はひまわりの絵柄の甚兵衛さんだったのだけど
「そうね 今日1日ぐらいわね 我慢しなさい お漏らしするほうが 恥ずかしいでしょ」
「うぅー 這ってでも トイレに行く!」
「何 言ってんの1日だけよ」
「あのさー お母さん ・・・両脇紐になってるパンツあるヤン あれっ いい? だって 脱がないでええヤン」
「・・・わかったわ 明日ね」
「ウン レースのついた可愛いのね! 色が濃い方が良い」
「でも看護師さん達を刺激しないようにしないとね! 水澄 どうして そんなの知ってるの?」
「えっ まぁ 売り場にあるから・・・香とか智子も穿いているの見せてもらったわ」
お昼ご飯が出てきたのを見て、お兄ちゃんが
「へぇー こんなに貧祖なんだー かわいそうにな」 白身魚煮つけに野菜の煮たもの・・・確かに・・・
「じゃぁ 俺 帰るわ 宿題も残っているしー」
「お兄ちゃん お願いあるの みずきのこと あの子 お盆の間 一緒にトレーニングするって言ってたけど 出来なくなったからって謝っておいてー まぁ お兄ちゃんが一緒にやるって言うんならかめへんけどー お気に入りでしょ!」
「水澄・・・お盆の間ってー」まだ 続けようとするのを、お母さんが
「達樹 あのね あのおばあちゃんにも 一応 入院していること伝えておいてちょうだい お見舞いは まだ バタバタしているから、落ち着いてからでいいって」と、お兄ちゃんを連れ出していた。
お昼過ぎから、先生の回診があって
「うん 傷口も化膿もしている様子ないし 順調だよ」
「先生って お盆休みも無いんでしょ? 大変だね」
「うー まぁ お盆なぁ・・・ そんな感じなんだ・・・君は中学のチャンピオンらしいね」
「まぁ 去年のね 今年も頑張るつもりだったんだけど・・・大会直前にこんなことになってしまって 夢が飛んでしまったの 練習中 みんなから 無理するなって言われていたのに 私 バカだから、調子に乗ってステップ続けていてー ねぇ 先生 私 前みたいに 治るんでしょうか?」
「ああ 焦らずにリハビリを続けて行けばね」
診察を終えて、先生はお母さんに話があるからと、病室を出て行った。その後、検査があるからと、又、MRIの検査を受けて、診察室に連れられて、手術をしてくれた先生とは別の人に、手足のしびれはないかとか、普通に生活の話とかを聞かれたのだ。
終わって、お母さんが先生と話があると言うので、しばらく待たされて、その後、車椅子を押してくれたのだけど「お母さん 違うよ あっち」「いいの 今日から 個室に変わるのよ」と、途中 待合のベンチでクラブの仲間達と監督がお見舞いに来てくれていた。私の姿を見て駆け寄ってきてくれて、真っ先に花梨が
「水澄 ごめんなー あの時 ウチが飛べぇーってゆうたもんやからー」
「なんの話 花梨 いっつも そーゆうてるヤン」
「あっ あー ごめんなさいね この子 先に病室に連れて行くから、もう しばらく ここで 待っててくださる」と、お母さんは慌てた様子で私の椅子を押して、看護師さんと病室に向かったのだ。
「わぁー 広い 窓も大きいわぁー」
「そうね ここなら お母さんも泊まって お世話できるからー」
「お母さん いいよ! だって お父さんもお兄ちゃんも居るんだしー」
「いいの あの人達は子供じゃぁないですから 自分達でなんとかするわよー それより、しばらくは水澄ちゃんだって おトイレ苦労するでしょ お友達 呼んでくるわね」
「みんなごめんね これから大切な大会が控えているのに こんなことになっちゃってー 監督 ごめんなさい」
「えっ ええ いいのよ 2年生も頑張っているし 優勝できるわ きっと・・・」
「そーだね 若葉ごめんね 組めなくて でも ひなたも莉子も居るから大丈夫よね」
「・・・うん でも水澄・・・ 試合のことは 気にしないで 治療に専念してね」
「うん でも 私 スマッシュで飛んだのは覚えているんだけど・・・気がついたらベッドの上だったの ごめんね でも 2連覇はしてよね 私も頂点に立ちたかったなぁー でも、山手丘も来るし、都学院も不気味だわ 頑張ってよ! 花梨も2冠は絶対よ」その時、花梨が泣き出して
「水澄がねー 水澄がいるからーぁー」
「なによー 花梨が泣いたの初めてよねー バッカじゃあないの 私のことを気にするんだったら 練習しなさいよ! 次に来る時は、金メダル見せにきてよね」
「水澄 頑張ってね 私達も水澄が戻ってくるのを待ってるからー」と、監督が言い残して帰ろうとしている時
「若葉 びっこみたいだけど・・・大丈夫?」私 若葉の様子が変だから
「えっ あぁー 大丈夫だよ ちよっと 捻っただけ 何でもないよ」
「そう なら 良いんだけど ここまでこれたのは、若葉がまとめていてくれたからだよ 感謝してる 絶対に2連覇だよ!」
「水澄 ・・・早く 良くなってね」
監督たちが出て行く時、お母さんに何か紙包みを渡そうとしていたみたいだけど、お母さんは「まだ 混乱すると思いますし、もう少し預かっていてください」と言っているのが聞こえていた。何か、変なのと思っていたのだ。
入れ替わりに、智子、十蔵、翔琉が来てくれたのだけど、あの子達は進学する高校の話をしていて、智子は、女子のクラブがあるらしいので学芸大学の付属高校に行って、サッカーを続けると言っていた。
「先輩は大丈夫だよ ウチが 食事作りに行くから・・・」
「そんなこと言って また タンクトップとピチピチのんで誘惑したらあかんでー あっ あれは・・・春休みの時やったんやろーかー えっ バーベキュー? だったかなぁー」
「水澄・・・」
あんまり、翔琉とは話が出来なかったのだけど、帰り際に翔琉は「明日も来るよ」と、そっと言ってくれたのだ。
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