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世界の礎

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第五話 ナイル川その九

「あの大陸は実はだ」
「かなり広く」
「様々な地域がありな」
「ジャングルも高原もサバンナも砂漠も」
「そして欧州からこのメソポタミアに船で行くとだ」
 そうすると、というのだ。
「喜望峰を通らなくてはならない」
「アフリカの南のな」
「そうするとかなりの距離になる、だが」
 それがというのだ。
「スエズから行き来出来るとな」
「その距離がかなり短縮されます」
「そうなるからだ、将来はな」
「スエズに運河を築きますか」
「そうする、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「我々は今はな」
「地中海からメソポタミアの船の行き来が出来る様に」
「運河を築く、いいな」
「そうしてですね」
「民に仕事も与えよう」
 そうしようというのだ。
「ピラミッドも築いていいが」
「私のものもですか」
「そうだ」 
 またラダメスに話した。
「無論な、あれはただのファラオの墓か」
「それで公に民に仕事を与えて築かれて」
「他にも何かとあるな」
「実は宗教的なものも」
「そうだな、そうしたものもあるからだ」
 ピラミッドにはというのだ。
「これからもだ」
「ピラミッドを築いていいのですね」
「そうするのだ、民の仕事の為に建築もしていくが」
 民に仕事があれば彼等に収入が生じ消費を行い経済も動く、義青はその経済の摂理も頭に入れつつ話していった。
「私のものはいい」
「義青様ご自身のものは」
「宮殿に興味はない」
 一切というのだ。
「また私の像も墓もだ」
「そうしたものもですか」
「不要だ、築くのは公のものだ」
 あくまでというのだ。
「私個人のものはだ」
「興味はおありではないですか」
「全くな、また言うが壮麗で巨大な宮殿なぞ築いてもだ」
 そうしてもというのだ。
「やがて壊れるものだ」
「だからですね」
「築かなくていい、形あるものは何時か必ず壊れる」
 ラダメスに冷静な声で話した。
「しかも興味自体がない」
「ご自身の為の建築は」
「一切な、このままでいい」
「左様ですね」
「あくまで公のものをな」
 そうしたものをというのだ。
「築いていきな」
「そうしてですね」
「国を整えてだ」
 そうしてというのだ。
「民の仕事とする、いいな」
「それでは」
「今は内政に専念する」
 ナイル川を掌握した今はとだ、こう言ってだった。 
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